遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

ガラス35 故玩館のガラス建具ーすりガラス花鳥吉兆紋引戸

2023年10月21日 | ガラス

故玩館のガラス建具を紹介します。

故玩館の内部は基本的に明治のままですから、書院横のガラス窓(改修時に撤去)を除いては、ガラスの建具はありませんでした。しかし、故玩館を大改修するにあたって、採光などの関係から、ガラス戸がどうしても必要となり、それらしき雰囲気の品を私が探し求めて、改修工事に組み入れました。

主な物は二つ。玄関を上がってすぐ、仏間との境の戸と台所の間仕切りの戸です。

まず、仏間の戸です。

92.6㎝x176.5㎝(1枚)。昭和。

花鳥模様が下方にあります。

このようなガラスは、すりガラスの一種で、ガラスに型を置いて金剛砂を吹き付けると、型の部分だけが透明なまま残り、模様になります。

すりガラスの部分が白っぽくなるので、透明の部分が黒く見える場合が多いです。この品は、線描き模様です。

 

もう一つのガラス建具は、台所の間仕切りです。

ここはもともと土間でしたが、床を張って部屋にしました。

 

71.3㎝x175.8㎝。昭和。

三枚の戸に、異なった模様が描かれています。

これは、松竹梅ですね。

しかも、先のガラス戸と違って、線描きではなく、メリハリのある絵画的表現になっています。

実は、この戸はもう一枚あります。

 

先の線描きの戸較べて、非常に重いです。ガラスが分厚いのです。木枠の黒漆も、本格的な塗りです。上手の品ですね。

この一枚を加えれば、元々は、松竹梅+牡丹の吉祥紋だったのです。台所の間口の大きさの都合で、松竹梅の3枚を使いました。

しかし、残りのこの一枚。もう、使途がありません。

この品も、粗大ゴミの運命です

 

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ガラス34 『大金魚鉢』

2023年10月19日 | ガラス

大きな金魚鉢です。

口径 20.5㎝、胴径 24.3㎝、高 29.5㎝。重 1.47㎏。中国製。現代。

この品も、先回の透胎七宝花紋鉢とほぼ同じ時期に、骨董市で求めたものです。

上の写真のように大きな気泡が所々にあります。

これは戦前の金魚鉢ではないか。しかも値段は相場の十分の一。スワっとばかりに入手しました。

グラビールで花模様が彫ってあります。

しかしっ!!

彫りがいかにも粗雑です。

どうもこれは、中国で作られた新物の可能性が大

そうこうしているうちに、どの骨董市でも似たようなガラス鉢が並ぶようになりました

オンリーワンの掘り出し物!と思い込み、あわてて手を出して小火傷(金銭的には)。先回とおなじく量産品をつかむことになりました

初めて出合うと、あばたもえくぼに見えてしまうものですね。

好環境において、しばしの間、輝かせてあげました

ずっと昔、空箱から金魚を取り出すマジックで使った日本製の金魚鉢と較べても、大きさでは圧倒的。

一度、水をはって金魚を泳がせてみるのも一興かと。

その後は、粗大ゴミへまっしぐらの運命です

 

 

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ガラス33 透胎七宝花紋鉢

2023年10月17日 | ガラス

25年ほど前、いつものように骨董市をひやかし歩いていた時、見慣れない物に目がとまりました。それが今回の品です。

口径 13.9㎝、高台径 5.4㎝、高 6.3㎝。中国。現代。

珍しい物にはすぐ手が出る性格なので、すぐにゲット。

当時、ガラスや七宝に興味がありました。特に、金属のボディに植線した通常の七宝の金属ボディを溶かした省胎七宝に憧れていました。しかし、手が届かない高嶺(値)の花(^^;

そこへ、この器が現れたのです。

しかも、お値段は省胎七宝の20分の1。ビンボーコレクターが飛びつくのは仕方ありません(^^;

真鍮ボディの網目に、水で溶いた色ガラスを入れ、焼成した物です。網目の作り方はわかりません。

家へ帰ってじっくり見ると、いくつかの疑念が。

とにかく、省胎七宝特有の上品な透明感がないのです(^^;

七宝の透明度が悪い、ムラがある、色に深みがない、造りが粗雑・・・・

これは、省胎七宝!!?

拡大してみると、色ガラスが融けきらずに色ガラスの粉が散らばっていて、焼成も不十分であることがわかります。

調べてみると、ボディの無いこのような七宝は、透胎七宝と呼ばれていることがわかりました(たいていは、この品より造りが丁寧(^^;)

中国のこの手の品は、その後、どの骨董市でも見かけるようになりました。

そうなるともうその気がなくなり、ずっと放ってありました(^^;

今回、ブログでかろうじて日の目をみたのです。この機会です。実際に日の光をあててやりました。

いつか、本家の省胎七宝でブログアップしたいものです。

 

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ガラス32 和製無色花鳥ステンドグラス

2023年10月15日 | ガラス

久しぶりにガラスです。

故玩館へ通じる階段の横は・・・

洗面所兼書庫兼作業場です。

目隠しを兼ねて、ステンドグラスを入れました。

下側は、英国製。

30.3㎝x67.7㎝。20世紀。

洗面台の陰になって光を拾わないので、ステンドグラスが生きていません(^^;

もう一方の方もステンドグラスです。

34.0㎝x77.6㎝。大正ー昭和。

和製のステンドグラスです。

色ガラスでないステンドグラスは珍しいと思います。

地はダイヤガラスです。

通常の色付きステンドグラスと同じく、鉛で縁取りをして、内に無地のゆらゆらガラスを嵌めてあります。

無色で地味ですが、光を受けると輝きを増します。

雀でしょうか、なかなか面白い構図です。

あちこちにヒビが入っています。木枠も相当傷んでいますので、このブログにアップした後は、処分される運命です(^^;

 

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故玩館の館板

2023年10月13日 | 故玩館日記

すっかり秋の陽気になりました。

故玩館の階段を上がると、

『故玩館』と書かれた板が掛かっています。

これをどう呼んだら良いか??

「看板」?・・商店ではないし、

「表札」?・・個人の建物ではありますが、一応古民家美術博物館、表札は隣接家に掛かっています。

適当な呼び名はないものか?

調べてみると、建物の名を表す板は「館銘板」と言うのだそうです。

そのままではあまりにずぶずぶなので、新たに「館板」と名付けました(^^;

さて、故玩館をオープンするにあたって、「館板」をどうするか、いろいろ迷いました。

業者に頼むのは味気ない。それに、費用も大分かかるに違いない・・・・・・きょろきょろ見回してみると、ずーーーーっと以前、ガラクタに興味を持ち始めた頃に入手した古板がありました。当時は、古民芸に入れ込み、古びた舟板(寺院の板?)を女主人のすすめるままに、かなりの値段で買いました。まあ、古壷の下に敷いて花をいれたら絵になるだろうとの思いからでした。

大きさ:29.2㎝x78.4㎝、厚 4.4㎝、重 5.1㎏。

大きさの割に重く、ずっしりとしています。

サイズは、故玩館玄関口にピッタリ。

これで行くことに決めました。

字はどうする!?

同じ下手でも、下手ウマなら味がありますが、下手ヘタではシャレにもなりません

 ===> 姉に書いてもらいました

「故玩館」と書かれた紙を貼り付け、さあ彫るぞ!!!

小学校の図工で、かまぼこ板を彫って木版画を刷ったことを思い出しました。

鼻唄交じりでザクザク彫りすすむはずでした。

ところが、この舟板、とてつもなく硬いのです。

彫刻刀セットでは、1ミリもすすみません。それどころか、力を入れたら、刃が折れました

ならば、ということで、大工道具の中にあった鑿で挑戦!

が、これもあえなく討ち死に。刃がかけました

どうしたものかと思案にくれているうち・・・ヒラメキました。

刀剣製作用の特殊な鑿です。これまたずーーっと以前、福沢諭吉先生と引き換えに入手した物です。どうしてこんな品を買ってしまったのか、今では思い出せません しかも、そうめんの入っていた木箱に、下手な字で「刀剣製作用のみ入れ」と書かれています。

大丈夫か?

おそるおそる蓋を開けると・・

それらしい鑿が11本。

研ぎながら使われていたようです。

特筆すべきはこの2本。

刃が丸い!!!!

曲線も彫れるぞ!!!!

これはいけそう

しかし、舟板は非常に硬く、この鑿をもってしてもほんのわずかずつしか彫れません。凸形の字を彫るのは不可能です。やむなく凹形にしました。それでも3mmの深さがやっと。しかも、鑿を金槌で叩いてしか彫れないので手が痛くなります。一日に彫れるのはほんのわずか。全部を彫り終わるのに1か月かかりました。

凸の部分を島のように残すのは大変難しかったです。上の丸い刃の鑿や極細の鑿が活躍しました。

凹面を濃緑塗料で塗りました。しかし、どうも締まりがない。

そこで、白塗料で字の縁を塗り、輪郭をくっきりさせたところ、なんとか見られるようになりました

何事も、やってみないとわからないものですね

コメント (11)
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