気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人9月号 同人のうた その3

2014-09-19 19:28:58 | 短歌人
叔父さんのアメリカ土産パーカーの万年筆の矢羽(アロー)クリップ
(平林文枝)

「あれから」と娘の言いあれから止まりいし時間の窪にこころさしのぶ
(佐藤慶子)

今し方去りしわたしの抜け殻をぽんと投げ捨て米研ぎ始む
(齊藤和美)

日本人は忘れる民と見抜きたる折口信夫の言を忘れじ
(諏訪部仁)

台風の近付く夜よ恐れつつひと待つやうなたかぶりのあり
(高田流子)

夕暮れの闇を集めて鎮もれるあぢさゐは明日の力ためゐる
(藤本喜久恵)

白鷺のさざ波たてぬ歩みありなかなか昏れぬ六月の水
(平野久美子)

生家にて今年は白が優勢と父の言いおり立葵の花
(長谷川富市)

炎天の風鈴市の音の渦、妻子ともなひ近づきゆかな
(宇田川寛之)

ひさびさに書斎の窓より風入れて空気うるほひゆくを味はふ
(斎藤典子)

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短歌人9月号、同人1欄より。

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