全身で泣きいるひとのからだから七月の草のにおいしている
(鶴田伊津)
入れかはり立ちかはりするヘルパーの作る三食全力で喰ふ
(有沢螢)
きはまりてかういふ色になりました蚯蚓あらはるくろぐろ濡れて
(杉山春代)
役人に「動くがれき」と言はれけり被曝をしたる牛のいのちは
(洞口千恵)
ベビーカー来り赤子の蹠に十指みなひらく花のごとく
(酒井佑子)
見て聞いて知つてわたしをそのあとは忘れてそしていつか思つて
(阿部久美)
花の苗植えたるのちに外したる軍手の<軍>に戦きており
(加藤隆枝)
遠き子に年に三度を会ふとしてわが逝くまでに幾度会ふや
(竹浦道子)
夏の空を見あげてをればからつぽのわたしのなかを雲ながれゆく
(花鳥佰)
はらほろり風船かづらの白花にほらふりはらり七月の雨
(佐々木通代)
****************************************
短歌人9月号、同人1欄より。
花びらのうすさと思ふほのぼのと紅(こう)をおびたる嬰児の爪は
(近藤かすみ)
(鶴田伊津)
入れかはり立ちかはりするヘルパーの作る三食全力で喰ふ
(有沢螢)
きはまりてかういふ色になりました蚯蚓あらはるくろぐろ濡れて
(杉山春代)
役人に「動くがれき」と言はれけり被曝をしたる牛のいのちは
(洞口千恵)
ベビーカー来り赤子の蹠に十指みなひらく花のごとく
(酒井佑子)
見て聞いて知つてわたしをそのあとは忘れてそしていつか思つて
(阿部久美)
花の苗植えたるのちに外したる軍手の<軍>に戦きており
(加藤隆枝)
遠き子に年に三度を会ふとしてわが逝くまでに幾度会ふや
(竹浦道子)
夏の空を見あげてをればからつぽのわたしのなかを雲ながれゆく
(花鳥佰)
はらほろり風船かづらの白花にほらふりはらり七月の雨
(佐々木通代)
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短歌人9月号、同人1欄より。
花びらのうすさと思ふほのぼのと紅(こう)をおびたる嬰児の爪は
(近藤かすみ)