気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人9月号 同人のうた

2015-09-01 12:18:46 | 短歌人
全身で泣きいるひとのからだから七月の草のにおいしている
(鶴田伊津)

入れかはり立ちかはりするヘルパーの作る三食全力で喰ふ
(有沢螢)

きはまりてかういふ色になりました蚯蚓あらはるくろぐろ濡れて
(杉山春代)

役人に「動くがれき」と言はれけり被曝をしたる牛のいのちは
(洞口千恵)

ベビーカー来り赤子の蹠に十指みなひらく花のごとく
(酒井佑子)

見て聞いて知つてわたしをそのあとは忘れてそしていつか思つて
(阿部久美)

花の苗植えたるのちに外したる軍手の<軍>に戦きており
(加藤隆枝)

遠き子に年に三度を会ふとしてわが逝くまでに幾度会ふや
(竹浦道子)

夏の空を見あげてをればからつぽのわたしのなかを雲ながれゆく
(花鳥佰)

はらほろり風船かづらの白花にほらふりはらり七月の雨
(佐々木通代)

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短歌人9月号、同人1欄より。

花びらのうすさと思ふほのぼのと紅(こう)をおびたる嬰児の爪は
(近藤かすみ)

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