気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人3月号 同人のうた その2

2016-03-15 12:04:57 | 短歌人
青空市に花柄パラソル置かれをり昭和の少女がすわつてをりぬ
(金沢早苗)

書き初めに「美しい空」書かせつつ子か孫なのか 墨の匂えり
(林悠子)

こんなにも空あをあをと晴れわたり田村よしてるさんがゐない
(佐々木通代)

しらしらとかほを灯(とも)して過ぎゆきぬスマートフォンを見ながらのひと
(菊池孝彦)

春近しウィンドウのなかのピンヒールもう履くことのなきピンヒール
(斎藤典子)

「生きるのは面倒なり」が口癖の男がふっと消え失せて冬
(おのでらゆきお)

ゆつくりと粥のあまさをふくらます土鍋の肌のしづかな呼吸
(人見邦子)

つつましくあらへんかつたな堪忍な 深く息をし腹に手を当つ
(原野久仁子)

大晦日にアマゾン律儀に働きて囲碁の読本とどく玄関
(椎木英輔)

この先も使わぬ鍋を仕舞いおく階段下の暗がりがある
(水谷澄子)

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短歌人3月号、同人1欄より。

磨りガラスごしに光のながれきてページ明るむ地下の図書室
(近藤かすみ)

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