青空市に花柄パラソル置かれをり昭和の少女がすわつてをりぬ
(金沢早苗)
書き初めに「美しい空」書かせつつ子か孫なのか 墨の匂えり
(林悠子)
こんなにも空あをあをと晴れわたり田村よしてるさんがゐない
(佐々木通代)
しらしらとかほを灯(とも)して過ぎゆきぬスマートフォンを見ながらのひと
(菊池孝彦)
春近しウィンドウのなかのピンヒールもう履くことのなきピンヒール
(斎藤典子)
「生きるのは面倒なり」が口癖の男がふっと消え失せて冬
(おのでらゆきお)
ゆつくりと粥のあまさをふくらます土鍋の肌のしづかな呼吸
(人見邦子)
つつましくあらへんかつたな堪忍な 深く息をし腹に手を当つ
(原野久仁子)
大晦日にアマゾン律儀に働きて囲碁の読本とどく玄関
(椎木英輔)
この先も使わぬ鍋を仕舞いおく階段下の暗がりがある
(水谷澄子)
***********************************
短歌人3月号、同人1欄より。
磨りガラスごしに光のながれきてページ明るむ地下の図書室
(近藤かすみ)
(金沢早苗)
書き初めに「美しい空」書かせつつ子か孫なのか 墨の匂えり
(林悠子)
こんなにも空あをあをと晴れわたり田村よしてるさんがゐない
(佐々木通代)
しらしらとかほを灯(とも)して過ぎゆきぬスマートフォンを見ながらのひと
(菊池孝彦)
春近しウィンドウのなかのピンヒールもう履くことのなきピンヒール
(斎藤典子)
「生きるのは面倒なり」が口癖の男がふっと消え失せて冬
(おのでらゆきお)
ゆつくりと粥のあまさをふくらます土鍋の肌のしづかな呼吸
(人見邦子)
つつましくあらへんかつたな堪忍な 深く息をし腹に手を当つ
(原野久仁子)
大晦日にアマゾン律儀に働きて囲碁の読本とどく玄関
(椎木英輔)
この先も使わぬ鍋を仕舞いおく階段下の暗がりがある
(水谷澄子)
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短歌人3月号、同人1欄より。
磨りガラスごしに光のながれきてページ明るむ地下の図書室
(近藤かすみ)