気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人1月号 同人のうた

2017-01-04 12:00:36 | 短歌人
モノレールは意外と揺れて空想をまた取り落とす秋晴れの日に
(猪幸絵)

蛾のねむり知らざりし四十年、ながき絵巻の空のそこここに飛ぶ
(内山晶太)

身支度の鏡のなかに降る雪は着地をなさずのらりくらりと
(阿部久美)

水流が馬の筋肉に見えるとき力が力を征す気配す
(生沼義朗)

ごきげんな秋のわたしをタバコとかくちぶえな気分に巻き込むな
(斉藤斎藤)

顔のなき茹で玉子のから剝きゆけば顔のなきゆで玉子あらはる
(真木勉)

コスモスの庭にたたずみ見わたせば風の抜け道あの世への道
(杉山春代)

朝のゆかより拾ふごきぶりの肢(あし)二本ほか何もなしこの死をよみす
(酒井佑子)

一つずつ終わらせてゆく些事・大事 冬空晴れる東京の街に
(西勝洋一)

渡り来て冬のいそぎに鳴きかはす水鳥のこゑは枯葦のなか
(渡英子)

****************************************

短歌人1月号、同人1欄より。

最新の画像もっと見る