最近はとんとなくなってしまったけど、気合を入れて写真散歩するとき迷いなくカバンに放り込むのはこのGR DIGITALなのは間違いない。それでもこのデジカメが登場したときはそれほど好きじゃなかった。あまりにも銀塩版を意識したような外観もさることながら、一番の理由は某カメラ評論家のステルスマーケティングもどきの賞賛が嫌いだったからだ。
その評論家自体は嫌いじゃなくむしろクラカメに愛情を注いでいる姿(少々ライカ偏重すぎるとしても)はクラカメファンとして嬉しかったし、ライカ以外では好みの傾向が似ていたので「おぉ!同志」なんて思ったこともあった。
それがいつの頃からか「クラカメ道」みたいなことを書くようになってから心が離れていった。た「かがクラカメに訳のわからない思想など説くな」というのが正直なところだ。
それがこのデジカメではその思想が大手を振って歩いていた。ムック本を読んでビックリ「何じゃこりゃ?」。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」じゃないが、このデジカメまで嫌いになってしまった。
時が流れたある日店頭で見かけ「そういえば」と思い出してお迎えしてから一番のお気に入りになってしまった。
デザインは相変わらず好みじゃないが、一番のお気に入りはサイズだ。流行のカードタイプより大きいけど、カバンに入れるのを前提とするなら、このくらいが取り出しやすい大きさなのだ。カード式だとカバンの中で行方不明になる。当然、持ったときの安定感は抜群。悔しいが銀塩版のデッドコピーとも言えるスタイルは実用では取り回しが実に良い。
短焦点というのもお気に入り。ズームでも良いけど、散歩写真では積極的にズームは使わない。デジカメのズームは操作性が悪いしかえって迷うからズームをするのが面倒くさいというズボラな私なのだ。
それとこれは気のせいかもしれないが、このデジカメはバッテリーの持ちが抜群に良いように思えてならない。スイッチオフの状態で数ヶ月放置していても全くバッテリーが減らない。普通なら一月程度が限度なのに、私のように一度持ち出して数ヶ月ほったらかしにした後でおもむろに電源を入れてもバッテリーがほとんど減ってない。なので充電を忘れて持ち出せなかったという記憶があまりない。どうしてこんなに持ちが良いのか不思議だ。
いざというときは単四電池が使えるというのも素晴らしい。
通常ズームとして使われるレバーを露出補正レバーにするなど、操作性が非常に良いのも素敵だ。とかくコンパクト系はメーカーによって操作がバラバラなうえにオリジナルのモード持つので「どこをどうすればよいのか」さっぱり解らない(そもそも大量にあるシーンモードを使いこなしているユーザーなどいるんだろうか)。とにかく銀塩時代の操作を引きずっている「いつまで経ってもデジカメ初心者」な親父には使いやすいカメラなのだ。
中古しかもってない私が物申すのは失礼千万なんだが、あえて希望があるとすれば次の二つ。
第一に光学ファインダーを内臓式にしてほしい。だってスペースがあるじゃないですか‥ストロボいらないです。ちうか、そもそもこのデジカメを使う人の何割がストロボ使っているんでしょうね。多分「発光停止」にしてるでしょ。どう考えてもファインダーの方が優先度高いはず。
次にこれは無理を承知で希望するのですが「レンズの繰り出し量をもっと少なく」、せめて従来の半分にして欲しい。いや、デジタルだと光の直進性が重要になるので対象式よりレトロフォーカス式の方が光学性能で有利に働くし、まして画質優先を謳ってるこのデジカメにそれを求めるのはないものねだりに等しいことは重々承知してます。でもなぁ、やっはり広角カメラでレンズが飛び出てる姿というのはオールドタイマーには馴染めないんだよなぁ。