少し前だが、いつものようにセコハンショップを眺めてたら目に飛び込んできたのがこれ。お値段1300円。もう速攻でゲットゲット!
いまでこそデジタルオーディオはMP3の天下となってますが、黎明期にはAppleに対抗心を燃やすSony様がAtracという独自の規格で勝負を挑みました。
ただしですね、当時はまだMDプレーヤーが主流でして、その本家でもあったSonyは軸足を完全にシリコンオーディオに移せず「二兎を追う」商品展開をしていました。
そして出てきたのが2002年に発売されたNW MS70Dというモデル。本体内蔵メモリーモデルが多い中でメモリースティックも使えるという「拡張可能」なのが特徴でした。
そしてこれは後継モデルで2004年発売。初代からの改良点はクレドールで外部から直接録音可能ということです。
スペックは本体の内蔵メモリーが何と256メガバイト。旦那たったの256メガでっせ。しかも拡張用のメモリースティックは何と128メガまでしか対応しない(当時既にもっと上の容量が発売されていたのに)。つまり最大でも400メガまでいかないというものでした。
まぁ当時はメモリーはとても高価で、たとえ対応してても512メガのメモリースティックを買うお客はほとんどいないと思います。
そんな使い物にならない物を何故お迎えしたのか。それはいかにもSONYという尖がったデザインに他なりません。
iPodのデザインは今も昔も変わらないシンプルイズベストを具現化したもの。ある意味ライカに近いものがあります。一方、ウォークマンはモデルごとにデザインを猫の目のように変えてます。これは丁度ライカに対抗したコンタックスを彷彿とさせます。
造りこみもまさしくコンタックス。iPodと比較にならないくらい手間隙を掛けてます。深絞りによる金属ボディにはチタンカラーコーティングがされてます。これに比べると簡単なつくりのiPodはまさにライカ。
そして営業面でもコンタックスと同じようにiPodの前に敗北しMSシリーズは本モデルを持って姿を消す。
しかし今このモデルを手に取ると現代では考えられない手の込んだ造りとなっている。スカイセンサー以来の「メカのSony」という雰囲気がビシビシ伝わってくる。007の秘密兵器、SF映画の小物として使えるくらい先進的で未来感覚溢れるスタイリングに惚れ惚れする。
大柄な操作ボタン、完全にデザイン優先のロックバー、放熱フィンみたいなクレドールとの接合部など、見れば見るほど細部までメカニカルなスタイルへの拘りが感じられる。手にするだけで幸せにさせる物なのだ。
クレドールのスタイルもまた素晴らしい。先代はもっとデザインに拘ったものだったが、これだって負けていない。一体化させた姿がまた惚れ惚れさせる。これに比べたらiPodのコネクターなど「おもちゃ」だと言い切るのだ。
これだけのモデルをポータブルMDを平行して開発販売したのだから当時のSONYは力があったんだろう(この無駄使いでエネルギーを消耗しiPodに敗北したかもしれないが)。何にせよ古きよき時代だから出せたSONY渾身のモデルであることは疑いない。
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