820note

820製作所/波田野淳紘のノート。

夜更け。

2017-04-27 | 生活の周辺。
夜更け、というより夜明けに、自分のつくる芝居のスリルのなさに、ゆううつな気持ちになっている。酷薄になりたい。お行儀のよさをかなぐり捨てたい。やむにやまれずに立ち現われてくるものでなければ、何の意味があるだろう。

夜更けに、ぼくはお腹のぜい肉をふやして、髪の毛をへらして、ゆっくりと縮んでいる。夢を見なくなった。



精神の危機には、大江健三郎の小説だ。幾度も救われた。とりわけ『取り替え子』と『芽むしり仔撃ち』に。ひとりであることを保護し、励ますような言葉たち。主語を無自覚に〈ぼくら〉にしてはいけない。〈だれか〉にしてもいけない。



お風呂に入って、態勢を立て直そう。目をつむって、頭をからっぽにしよう。それからだ。

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