820note

820製作所/波田野淳紘のノート。

『踏みはずし(Retake)』公演終了しました。

2014-07-20 | ごあいさつ。
ご挨拶がたいへん遅くなってしまいました。
先週末、調布市せんがわ劇場にて行われた第5回演劇コンクールに820製作所が出場し、グランプリ・俳優賞(洞口加奈さん)・脚本賞・演出賞を受賞することができました。
まずは何よりも、ご来場いただいた方、応援を寄せてくださった方に感謝。

役者たち、スタッフたち一人一人の(絞りつくした)力の重なり合いが今回の結果につながったのだと、あたりまえのことをしみじみと実感します。

公演の記録を、以下に記します。

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『踏みはずし(Retake)』
作・演出/波田野 淳紘

2014.07.13(日)16:20開演-17:00終演
調布市せんがわ劇場

◇出演
洞口 加奈
亀尾 建史
真宮 立佳(CASSETTEmo2
佐々木 覚

荒井 るり子(映像出演)

◇スタッフ
音響/齋藤 瑠美子
照明/南 星
協力/佐々木 志織

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直前まで、それこそ舞台に赴く寸前まで膝突きあわせ話しあいながら、前を向くことをやめずにたたかい続けてくれた役者たち、スタッフたちに、心から感謝。

作品において、個人的な反省は死ぬほどありますが、このメンバーで上演に臨むことができたことを誇りに思います。

もっと鮮烈な、人間の背負ったものを深く炙り出す表現を求めて、また新しい創作に取り掛かりたいと思います。

これからも820製作所を、よろしくお願いします。



『踏みはずし(Retake)』を書くにあたって、自分に突きつけた課題は、「820製作所初のライトノベル」というものだった。……いや、ライトノベルを僕自身あまり読んだことはないのだけれども、それが「この世界の悲惨はそれとして、陽だまりのような心地のいい空間を確保する」物語の一群であるとして、僕はいまご都合主義であろうと何であろうと、そういうものをいったんまずつくりたかった。

だって、気が狂いすぎている、いまここで起きていることは。恫喝の言葉ばかりが耳に飛びこむ。過去と未来に対して閉ざされた空間があちらこちらに広がっている。そういうものを見つめつづけていると、心身がどうしてもかたくこわばってしまう。一度、自分のやわらかくて弱い部分を、そのまま生きられる場所に赴かなければ、息が止まりそうだったのさ。



820製作所の次回公演は9月。
「10周年記念公演その1」として、『悪魔はいる』を横浜のアートスペース、長者町アートプラネット・Chapter2で上演します。自主公演としては2年ぶりとなりますね。
この度はライトノベルではなく、ヘヴィノベルに取り組むことになりますが、作品は作り手の思惑をこえて生成されていくものなので、魔法少女がうっかり教室に呼び出した悪魔が生徒会長に立候補して学園の不正を暴き……のような展開の物語となるかもしれない。きっとそうなるに決まっている。たいへんなことだ。

ともあれ、僕はただしく侮蔑をしたい、未来を汚す意志たちを。