写真は820製作所の画伯、加藤好昭の作品群。
『izumi 場所と思い出Ⅰ』の宣伝美術を担当してくださる高橋勇太さんのお宅に初めてお邪魔したのだけど、気持ちのいいくらいの、典型的なベッドタウンだった。
フライヤーをガガッと作り終え、深夜、腹を満たそうと一人で家を出る。
近くの通りにあるファミレスは全滅で、駅前には居酒屋しか無く、線路の反対の方角へ向うと、夜とはいえ車通りの極端に少ない広い道路の両脇に、背の高いマンションが視線のはるか先まで建ち並んでいた。全景にオレンジの淡い光が降っている。
ベッドタウン? それはむしろ大手町や横浜西口にあるオフィス街や、東京湾沿いに並ぶ大きな倉庫の群れ、たとえばそのような場所がまとう空気と、同質のもの。途方のくれるあの感じ。
果てしのない光景にめまいがしたので駅へ戻って、また違う方向に俺は今、一人で線路沿いを歩いているのだけど、残念ながらとても恐ろしい。
俺の地元もさ、相当に田舎で、それこそ取り残されたような郊外にあるんだけど、この町のほうが何というか、東京のくせに闇が残りすぎではないかい。
もともとね、幽霊とか妖怪とか、それ系が心の底から苦手でね、あと蜘蛛も駄目、臆病な性格なんだけどね、町を歩くだけでこんな怖い思いをしてるのは久しぶりだよ。とか思ってたら、そこ、墓場だし。斎場だし。
足音と水路の音以外、ほんと何にも聞こえないのさ。あと風。遠くで寂しく吹いててさ。腹もペコペコだしさ。今はね、書くことで紛らわせてるんだ。でもね、書き終わっちゃいそうだ。お、国分寺のホームの灯りが見えてきた。助かった。無駄に歩いた。
『izumi 場所と思い出Ⅰ』の宣伝美術を担当してくださる高橋勇太さんのお宅に初めてお邪魔したのだけど、気持ちのいいくらいの、典型的なベッドタウンだった。
フライヤーをガガッと作り終え、深夜、腹を満たそうと一人で家を出る。
近くの通りにあるファミレスは全滅で、駅前には居酒屋しか無く、線路の反対の方角へ向うと、夜とはいえ車通りの極端に少ない広い道路の両脇に、背の高いマンションが視線のはるか先まで建ち並んでいた。全景にオレンジの淡い光が降っている。
ベッドタウン? それはむしろ大手町や横浜西口にあるオフィス街や、東京湾沿いに並ぶ大きな倉庫の群れ、たとえばそのような場所がまとう空気と、同質のもの。途方のくれるあの感じ。
果てしのない光景にめまいがしたので駅へ戻って、また違う方向に俺は今、一人で線路沿いを歩いているのだけど、残念ながらとても恐ろしい。
俺の地元もさ、相当に田舎で、それこそ取り残されたような郊外にあるんだけど、この町のほうが何というか、東京のくせに闇が残りすぎではないかい。
もともとね、幽霊とか妖怪とか、それ系が心の底から苦手でね、あと蜘蛛も駄目、臆病な性格なんだけどね、町を歩くだけでこんな怖い思いをしてるのは久しぶりだよ。とか思ってたら、そこ、墓場だし。斎場だし。
足音と水路の音以外、ほんと何にも聞こえないのさ。あと風。遠くで寂しく吹いててさ。腹もペコペコだしさ。今はね、書くことで紛らわせてるんだ。でもね、書き終わっちゃいそうだ。お、国分寺のホームの灯りが見えてきた。助かった。無駄に歩いた。