820note

820製作所/波田野淳紘のノート。

台本を書いていたら旅にでたくなった。

2008-04-30 | 生活の周辺。
図書館へ調べ物へ。
駐輪場で小学生が一人、小さなヘルメットをかぶっていて、仲間がそれを囃していた。それで思い出したのは先日ダイエーで目にした「10才以下の児童に自転車運転時ヘルメット着用義務化」という貼り紙。
知らなかった。
ちょっと、それは、ないだろうと思うんだ。
これから、日本の現在を映した映画のなかでは、夏の川べりを自転車で走る少年少女たちの頭に、ヘルメットがなければいけない。
秋、枯葉を踏みしめて離れていく友人の小さな背中と、ヘルメット。
冬、雪の降りそうな夜に隣の村へと急ぐ妹の頭に、ヘルメット。
春、国道を東へ、ゆるやかな傾斜を加速していく彼らの頭に、ヘルメット。
慣らされていくんだろうな、その光景に。
命を守ると言われたら、それは反論のしようがない(あんなヘルメットで本当に安全なのかとは思うけど)。ただ感覚的に拒否はする。
反論のしようがないものは本当にいやだ。

高校の後輩の所属する劇団が先週末、イヨネスコの『犀』を上演していて、今それを取り上げる気概に心を動かされる。

川べりで思い出したけど京都に行きたい。なんだかんだ毎年行ってるし。今年はいつ行けるだろう。ニットキャップシアターを観てから京都へ行きたくてしょうがない。あそこにはきっとちがう時間が流れている。痛いほどきれいな夕焼けを見て、町中のかすかな気配をつかまえて、水路から音の流れる夜を、呆然として歩いていたい。

決めたことがいくつか。

2008-04-28 | 芝居をみた。
昼にコア石響へ。

大通りから公園を横切って、住宅街の細い路地を歩く。
小屋主さんのご厚意によりじっくりと見学させていただいた。ありがとうございました。

メキシカン料理を食べる。
加藤くんがコップをひっくり返し、お店の人からタオルを借りて濡れたジーンズをふいているあいだ、空になったコップに水を入れようとポットを傾けたら、蓋が開いてテーブルが水びたし。
一部始終を呆れて見ているアシベ。

『東京環状→0:旅先のフィルム』の方向性が決まる。

trial playと銘打たれているのだから、今までやらなかったことをやってみよう。

二人と別れて下北沢へ、ニットキャップシアターを観にいった。
ごまのはえさんがとても美しかった。

いつか女装して一人芝居をやることに決めた。

ダンスにおいて振り切れてしまうこと。

2008-04-28 | 芝居をみた。
ストレンジフルーツの『スフィア』を観た。

確かに単調だったし中盤からは眠気とたたかうことになったけどそれはネガティブな意味合いのものではなく快さから導かれるもので、夢の浅い場所にいて醒めまいと次の夢へ落ちていくような感じで、眠るまいとしていた。

ラストの、虹の色に染められてそれぞれが空中を飛び交う姿の、ひどく乱暴に言えば人間がただ揺れているだけのあの時間が、その繰り返しが、圧倒的な高揚を僕にもたらした。それはもう説明がつかない。こういう高揚を僕は自分の芝居のなかに持ち込みたい。

去年の秋だったかに『青い鳥の群れ/靴』の再演を夢想した時に頭のなかにこびりついたシーンがあって、僕が立ち会いたいなと思ったイメージを慎重に根気強く、信頼できる役者と紡いでいければ、少し近づくことができるかもしれない。規模もなにも違っても。

ストレンジフルーツのことを僕は詳しく知らないが、今回は屋外に並べられた高い棒のそれぞれにクラウンたちがのぼりこみ、棒をしならせることでパフォーマンスは行われた。

印象が強烈な分、あまりに制限された動きしか生まれそうになく、それをどう広げられるんだろうと考えながら観て、まぁ見当がつかなかったんだけど、だからとても勉強になった。

磔刑されてハッピー。

2008-04-27 | 生活の周辺。
憂鬱になっている場合ではない。
全身が白い人に裸で持ち上げられておいてなにが憂鬱であるものか。

書かなくてはいけない。

予定が積み重なってしまい、行くつもりだった芝居がどうしても都合つけられず泣く泣く見送り、Nさんとインドカレーを食べて彼女の「物語」に耳をすまし、たまたま網谷くんと路上で会って彼の疲れた顔を心配し、『地下室の手記』を読んでげんなりしつつ爆笑しこれは俺だと思い、ないんさんに言葉遣いのだめ出しを受け、横浜をひたすら歩き回り、加藤くんと一緒に六本木の洒落た街並みを缶コーヒーを探して彷徨するという日々だ。

幸せになるのさ。

そんな夜はさ、ロックを鳴らして。

2008-04-26 | 生活の周辺。
《鬱とはイメージに実体が殺される病である》(赤坂真理 関係性がすべての時代

24日はnani-soleさんとパフォーマンスを組み立てていく稽古。
すげぇ楽しい。まだまだ、心もからだも自由にならなくてもどかしいけど、隙を見て手なずけていこう。

この頃はなんだか、脳みそがへちまになってしまったような変な感じが続いて、まったくもってぷしゅーだ。
帰宅してすぐにばたんきゅー。
夢を見る。
何の変哲もない生活の夢だったのだけれども、そこで僕はひどく焦燥にかられていて、打ちのめされた気持ちがずっと続き、取り返しがつかず、そんなはずはない、そんなはずはない、と心のなかで唱えながら目が覚めた。
朝からじっとりと憂鬱な気分。よくない兆候。

桐野夏生を読んでいるからかもしれない。

久しぶりにいつもとは違う駅へ向かい、駅舎が目にうつったとたん、一年前にその場所で友人のとった行動がふと思い出され、そのことの意味に今さら気づいて愕然とする。
ありがたいことだとその時にも思ったが、とんでもない、そんなレベルの話じゃない。
彼のおかげで確実に俺は救われていたのだ。

小学校からの友人たちと夜、会って話す。
一人はどうにもこうにも闘い疲れてぐでんぐでんである(ように見えたよ)。
一人は落ち着いて今は少し息を抜き次の展開を待ち受けている(ように見えたよ)。
僕は立ち止まっちゃってるなぁ。

くふふ、と笑いながら三人で夜を走る。

僕は太るとメランコリーになる。
計ってみたらやっぱり、いつの間にかちょっとした体重になっていた。
調子にのって不摂生な生活を続けていたからだ。

痩せよう。
もう寝る。

神様はなにも禁止なんかしてない。

2008-04-22 | 生活の周辺。
川本真琴から僕ははかり知れない影響を受けてきて、まあ、あんまりそれはいま表にあらわれているわけではないけど、あの歌たち、詩と、その衝動を完璧にかたちにしていく音とリズムのあの感じ、もつれていく言葉たち、その尖りかた、とか、相当に酔っ払いました。
デビューアルバムなんてあまりの眩しさに年に一度しか聴くことができず、時代が下るにつれて彼女の歌の在りようも変質してきたとはいえ、やはりそこには川本真琴という存在を透さなくてはあらわれない光というものがあって、今でも僕は新譜を心待ちにしているんだ。

なぜ所属していたレコード会社から離れて現在のスタイルになったのか何も知らないのだけど、ホームページで時折更新される「ひとりbbs」の4.15付けの記事にその経緯らしいことが書かれていて胸をうつ。いきなり「今からデビューは12年前にもなるんだけど、毎日最悪だった」というのだから。

齋藤さんと夜、中華料理屋さんでご飯。
すごくいろいろな話をする。たまげたりする。読んでいた本が近くてにやりともする。ここにもビシッと筋の通った生き方をしている人がいて、その構えの大きさに敬服。とても繊細にその場所を支えているのだな。
いつか一緒に舞台を創れることを願う。

雨があがって。

2008-04-20 | 稽古。
19日はワークショップだったわけだが、前夜眠らずに遊園地跡地の構成を考えていて、家を出る時間が近づき、使用するテキストを用意しようとしたらプリンターが壊れていて印刷がされず、あわててクリーニングをしたけど一向に直らず、時間も時間だし漫画喫茶に寄るほどの余裕も残されておらず、とりあえず保管してある過去の台本を持っていこうと探すが見つからず、ていうか二週間前まで本番だったのにどうしてizumiが見つからないんだよと思いながら唯一そばにあった『スロウ』の台本をひっつかみ、万が一のためにフロッピーディスクも携えて出発した。USB(で合ってます?)っていう便利な代物を持ってないんだ。手書きであればこんなことにはならないのになと思いながら電車に揺られ、稽古場の、受付の職員さんに事情を話し、無理をお願いして印刷していただく。いろんな方にご迷惑をおかけしながら生きてます。

ワークショップ。
宣伝をほとんどしていないのによく来てくださいましたと感謝しつつ、ストレッチとゲーム。稽古場で会うのは6年ぶりの、ゆっこの、反射神経の良さに、なんだろう、とてもほっとした。みなさん勘が鋭く、楽しもうというベクトルに場がうまく乗ることができた。
アシベの持ってきてくれた「写真で物語を組み立てる」エチュードと、言葉から意味を剥ぎ取るコミュニケーションのためのレッスン、それをわれわれは「ゲジゲジ眉毛」と呼んでいますが、この二つは面白いなあ。発展させていきたい。『青い鳥の群れ/靴』再演したいなぁ……。
ゾンビには笑ったよ。ひどいことになっていた。

最後に台本をいじって終了。

参加してくださった方々に心からの感謝。
こんなふうに稽古場で過ごす時間を、何より自分たちがいちばん必要としているのだ。
いつかまた現場でお会いできることを願って。
ありがとうございました。

帰宅して泥のように眠る。

返却日の迫っていた『無理心中日本の夏』を慌てて観た。
すげえ映画や……! とぶるぶる震えながら、「17歳の少年」の役の衣装が『ワニの涙』で崇さんの着ていたものと、ものすごく似ていることに気づく。途中からは顔もそっくりに見えてくる。で、観終わった後に彼が田村正和と知って驚く。

820製作所オープンワークショップ!→『埴輪を掘る』

2008-04-19 | アナウンス。
820製作所は「はにわせいさくしょ」と読みます。
あんまりそのことに意味はありません。
さて、お知らせです。

僕たちは2008年4月19日(土)にワークショップを開催します。

ワークショップとは、僕たちの演劇作りの具体的な作業の一端を、あなたに体験していただいたり、のぞいていただく場のことです。
たとえばそれは言葉を扱う意識の働かせ方や、舞台の上に息づくしなやかなからだを獲得するための試行錯誤の過程を、あなたと共にたどっていきながら、演劇の表現について思考をめぐらせる場でありたいと考えています。
また、11月本公演の『遊園地跡地』の台本を使用しながら、その中にある短いシーンの幾つかを、実際に台詞を発し、動き、演じることで、組み立てることまで出来たら素敵なことだと思います。しかし時間が足りません。なにせ1日だけですからね。ひょっとしたら、物足りない思いをされるかもしれません。もっともっと、深く演じることを体験したいと、あなたは思うかもしれません。そうなったらしめたものです。

扉を開けることで、踏み出すことで、次の風景が得られるのならば、どれほど不安でも、茫洋として晴れない視界の中でも、とりあえずは歩みを進めてみようかと思うのです。
僕たちはまず、この場所でほんのわずかノックをしました。
かすかな音に過ぎませんが、誰か聞きつけてはくれないかと、不安の只中で僕たちは待っています。

*日時 : 4月19日(土) 13時~20時(予定)
*場所 : ふりーふらっと野毛山(青少年交流センター) 203号室
     →JR桜木町駅から徒歩10分、京急日ノ出町駅から徒歩7分。
*料金 : 無料

*参加申込は①お名前 ②年齢・性別 ③ 住所 ④ご連絡先TEL&E-MAIL ⑤簡単な自己PRを記入して、ワークショップ前日4月18日(金)までにinfo@820-haniwa.comまでご連絡ください。詳細を追ってご連絡いたします。

参加者の制限はありません。俳優の方も、そうでない方も、年齢がお幾つでも、肌が何色でも、演劇はきっと人間の「存在」を浮き彫りにする表現装置なのですから、どうかみんなでそれをいじくってやりましょう。一緒に遊びましょう。ハッピーな時間を過ごしましょう。ここで待っています。あなたに会えることを願っています。

お知らせと、明日のこと。

2008-04-19 | アナウンス。
演劇ライターの山田ちよ氏が神奈川新聞の文化面で連載しているコラム「神奈川の文化時評-演劇」(通称・神奈川の演劇時評)に、820製作所の第6回公演『izumi 場所と思い出Ⅰ』が取り上げられました。

2008.4.18付けの神奈川新聞です。
昨日の新聞になりますが、もし機会があればご覧くださいませ。

明日のワークショップですることについて考えている。
楽しむためのいくつかの手がかり、を整理。
少人数でわいわいと、結局はいつもの稽古のようになるのだろうが、それが一番だろうが、次の芝居を膨らますための、実験をしてみること。

実り豊かに。

ブログはじめました。

2008-04-15 | アナウンス。
4月19日付けで上記の通りワークショップ情報を載せました。
よろしければぜひお越しください。

ワークショップで何をやるか、ということを昨日の820会議でえんえん話していたのだが、その他にも決まったことがあって、それはメンバーがそれぞれ自分のブログを持とう、ということ。

☆佐々木覚ブログ
さとルール
(http://sasaki-820.seesaa.net/)

本人のご挨拶にも書かれている通り、「820メンバーが佐々木覚に指令(その日一日のルール)を送り、それを実行している過程と結果をブログ上で報告せよ」といった、なんというかゲーム性の高いもの。どんなものだろう。きっと覚さんは無茶をする。俺たちがふざけて書いて送ったものでも何とかしてそれを形にしようと、読んでくれている人に少しでも面白いものを届けようと、どれほど俺たちが止めようとしても、その指令を守るためには何でもするだろう。そのことを思うと今から目頭が熱くなる。宇宙、日本、藤沢でささきさとるが繰り広げる前人未到のミッション・インポッシブル、どうかあんまり厳しくない目でお見守りください。

☆印田彩希子ブログ
愛と笑いと怒りの手帖
(http://inda-820.seesaa.net/)

愛と笑いと怒りの手帖である。印田さんはメンバー中、もっとも古くから僕たちの芝居に関わっていて、すでに820の創り出す世界には欠かせない存在なわけだが、つい最近、名実ともに820製作所のメンバーになりました。頼もしいんだ、この人は。頼もしいんだけど、とびきりにおかしいんだ。唯一無二の特異な爆発力。このごろはとても洗練されて隠せるようになってるけど、いつでも吹っ飛ぶことができる。初めて出会った時の彼女の役柄は少年/パン屋で、その次にはもう河童だったからな。どんな役でも、全力で自分の内に息づかせる。好奇心にあふれ、向上心+イタズラに励む少女のハートをもって日々を過ごす彼女の、おちゃめでキュートなリアルデイズ、どうか要Check it out!

もちろん加藤君のおいでんみりん(http://blog.livedoor.jp/kato_820/)も忘れずにね。

劇団の第Ⅱ期が始動している。

で、今日はずりずりと台本を書き進めていたのだった。
これが、たしか、旗揚げ準備公演から数えたら、ちょうど十作目にあたる作品世界になるはずで、あ、でもその前に6月があるけどそれよりも先に書き始めてるしたぶん書き上げられるだろうから、なんだか今までより見通しがクリアで、きっとここが自分の勝負どころなんだろうなと思う。早めに一皮むけておきたい。