820note

820製作所/波田野淳紘のノート。

『つばめ/鳥を探す旅の終わり』公演情報。

2011-10-11 | アナウンス。
◆820製作所第11回本公演
『つばめ/鳥を探す旅の終わり』
作・演出:波田野 淳紘

こどもたちは、四昼夜脱走した後、郊外のスーパーマーケットで、呆気なくつかまった。
砕かれた心をポケットに拾い集めて。この世界を逃走するこどもたちのものがたり。

◇Player
佐々木 覚
加藤 好昭
印田 彩希子

大谷 由梨佳
洞口 加奈
大田 怜治
宮脇 由佳

渡辺 幸司

櫻岡 史行(Polka dots)
福原 龍彦(CASSETTE)    and more
 
◆2011.10.7fri-11tue
SPACE雑遊(都営新宿線「新宿三丁目駅」C5出口目の前、JR「新宿駅」東口より徒歩10分 )
>>>MAP

-公演日程-
7日(金)19:30
8日(土)14:00/19:00
9日(日)14:00/19:00
10日(月・祝)15:00
11日(火)15:00

※開場は開演の30分前、受付開始は45分前。

◆チケット
前売り・当日共/¥3,000
学生/¥2,700(要学生証)

※早割期間は終了いたしました。

◇ご予約は劇団ホームページの「ticket欄」およびメールにて承っております。
 予約フォームへ。
TEL:090-6476-8200
MAIL:info@820-haniwa.com
※メールでのご予約の際は、[1]お名前、[2]希望観劇日、[3]枚数、[4]電話番号を明記の上、件名を「チケット予約」にしてお送りください。
折り返し確認メールを返信いたします。

稽古場ブログ、絶賛行進中!→出演者・関係者による稽古場の記録。
作品ノート

http://820-haniwa.com/

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季節がめぐります。日々は続きます。
いつかの年のはじまりに、ぼく達は「悲劇」を上演するのだ、と宣言するように言いました。

悲しい「できごと」を描くのではなく、「できごと」に対峙する人の姿を、悲しみに打ちのめされても、なお立ちあがり得る人間の姿を、ぼく達の物語のなかに描出したいのだと、大げさな調子で、そう言いました。

自分のなかにそういう力があるのだと知りたくて、何度でも確認したくて、いまも、芝居を作りつづけています。

あなたと、あなたをめぐるすべてのものが、どうか、優しい均衡を取り戻すことを祈ります。



青春の青は、夜明けの青なのだと聞いたことがある。
闇に抱かれ、遠くに星を数えながらまどろんでいた時代から、あたりがゆっくりと明るくなり、からだの内を流れる血がわき立ち、目覚めはじめる頃。

闇に沈んでいた風景は、薄く、けれど深い青に染まりながら、その輪郭を浮き立たせていく。
やがて、青のなかにすっくと立つ自分自身のすがたとかたちが、まるでいま生まれ落ちたかのように、この世界の只中にあることに気がつく。

そのとき、青の向こうへと、考えるより先に足を踏みだす者もいるだろう。
あるいはその場所にうずくまり、だんだんと強まる光からどうにかして身を隠そうとする者もいるだろう。

そのいずれを生きるにせよ、やがて両者は等しく、自らの内にとても大きな「無力」を抱えていることに気がつく。
ぼく達は空を飛べない。それほどに早く走れない。こころを慰める歌を知らず、眠りつづけることもできず、約束を守れない。本当にできることは、数少ない。

わが身の無力さや、そこに欠け落ちたものをまっすぐに見つめることは、胸が引き攣れるような痛みを伴う。
あなたの捧げ持つ無力に、寄り添うことのできないわたしの無力に、激しくこころは引き裂かれる。

けれど、うろたえ、戸惑い、時には怯えながらもなお人が無力を見つめているとき、そこにある強さはなんなのだろう。
奈落の底に突き落とされるような崩壊と破滅を生きているとき、人はどれほどの勇敢さで次の呼吸を待つだろう。

「無力」を反転するとそれは、わたし達が狂おしく必要としている「何か」のかたちを指し示す。
裏表のその両面は、異なる極を示す石と石とに働くふしぎな力のように、奇跡のように、この世界とわたしとを動かしつづける。

夜明けの青をたたえた舞台を作りたいと思う。わたし達の脆さと頼りなさの果てに、優しくかけがえのない光を導きたいと思う。

いま、そこにある「無力」を認め、愛しみ、畏れ、自らの思う仕方でただしく、抱きしめること。
きっと、それが、夜を越えた者の仕事なのだと思う。



日々は続きます。願わくはぼく達の物語が、こころの内の無垢なるものを守ることのできるように。あなたの闇を払うように。悲しみに打ち克つように。

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