820note

820製作所/波田野淳紘のノート。

しんとした夜。

2015-12-31 | 生活の周辺。
大晦日。自分の一挙手一投足をきりきりと反省する。しきれない。
昼、人でにぎわう本屋へ。欲しい本を三冊。レジに並びながらふと、もしもこれと同じ三冊を手に取る人がいたら、胸が高鳴ってしまうな、と思う。ぼくは読書領域の重なる人に弱い。異郷で、同窓生と再会したような気持ちになる。つなちゃんは元気だろうか、吹き飛ばされていないだろうか、いまは何を読んでいるだろうか。
夜、帰り道の古寺に参詣。お坊さんや手伝いの方がたくさん集まり、目まぐるしく初詣の準備をしているなか、手を合わせる。
帰宅してお鍋を食べる。やるべきことが終わりきらず。



2014年の暮れは『悲しみ|izumi』の準備でそれどころではなく、年が変わったという実感を持てないまま一年を過ごしてしまった。今年も『幽霊』の準備でそれどころではないのだが、それでも、2014年にようやく区切りをつけられるように思う。たくさんの人と出会った。ぼく自身の人間的な限界で、芽生えはじめた関係を引っこ抜くようなこともした。まったく理にかなっていないことだ。足りないことだらけで歯がゆく思う。必要なだけの力をつけたいと思う。

がたがた。

2015-12-30 | 生活の周辺。
夜を徹す。
年内に終わらせねばならないことが山積み。追いつかない。
昼、城戸さんのご厚意で、金沢文庫で稽古。みんなと、この街で会うことがふしぎ。城戸さんにお世話になりっぱなしで、心が軋む。少しだけ『東京聖戦詩集』の話をする。
稽古中、わからないところは役者たちにどしどし聞く。静かな町で、燃えるような情動をたたかわせる。
どたばたと、ぶじに稽古納め。
稽古後、いつかみんなで行きたかったお店に行って、たくさんの中華を食べる。一品運ばれるごとに声が漏れる。幸せ。



帰途、空っぽのようになって歩く。がたがただ。軋んでいる。

それはそれとして。

2015-12-29 | 生活の周辺。
初対面の方に「声が小さい」「あなたのしゃべり方は人を見下している」と、いきなり怒鳴られた。これは、あきらかにおれを戒めるための天使だな、と判断した。自分の狭小なルールに世界の側を押しこめて生きていると、ああなっていくんだろう、と教えられた。演出をするとき、ぼくも気をつけたい。それはそれとして、殺したい。

お正月で何冊の本を読めるだろうか。『ハックルベリィ・フィンの冒険』は読み返したい。なすべきことが終わらない。映画も観たいのに。

からから。

2015-12-27 | 生活の周辺。
小田急線内で、中学生くらいの男の子が「メンヘラ」という言葉をためらいなく使っていて、本当にいやな言葉だな、と思った。言葉じたいが、人間のすべてに対する侮蔑だと思う。そうして名づけられて、そこに安住している精神もいやだ。明るくない。荒涼としている。



やるべきことを放りだして、眠った。少し回復した。
『東京聖戦詩集』も、「年の瀬小景ス2015」も今日が千秋楽。
昼からRAFTへ。ゲネを拝見。
ゲネ後、劇場の外で加藤くんにノートを伝える。
覚さんからメール。ぶじに『東京聖戦詩集』も終わった模様で安心した。
本番。とても豊かな時間だった。川村美紀子さんのダンスに震える。
たくさんの方が来てくださり、お話をできた。本当にありがとうございました。
RAFTでの忘年会では、さまざまな方とお話をさせていただいた。劇団リケチカの力武さんに、書くことについてのお話を伺えてうれしかった。

終電を逃す。
日付の変わった電車内で「あたし、妖精が本当にいるなんて、思わなかったな、先輩に、妖精を見たって言ったら、ああ、いるよね、って普通に返されて、そんな返しがくるなんて、あたし、思ってもみなかったな」と、訥々と話している女性がいた。マンガを読みながらずっと鼻をほじりつづけ、ほじるのをやめたと思ったらスウェットのなかに手を入れてずっとちんこの位置を直しつづけている若いあんちゃんがいた。
行けるところまで行って、歩いて帰った。甘酒を飲みながら歩いた。頭を空っぽにして歩いた。

あたふた。

2015-12-26 | 生活の周辺。
眠ってはいけないタイミングで寝落ちして、目覚めて、慌てる。
用賀に行こうと、二子玉川で乗り換えたら自由が丘行きに乗ってしまい、また二子玉川に戻って、今度は急行に乗ってしまった。何たることだ。
遅刻して稽古場へ。イプセンの稽古。
広い稽古場で助かった。かたちを作れるだけ作っていく。ぼく自身がまだ、大きく迷っている。役者たちは感度よく対応してくれていて、救われる。

夜、劇団晴天の大石晟雄さんからの留守電を聞き、深く、深く、深く頷く。

わけのわからないところで、喪失感に満たされている。

一編の戯曲の生まれる前に、一筋の血の流れる。
ぼくがぼくとして、きちんと眼前の世界を引き受けること、その持続。倒れないこと。

ぱかん。

2015-12-25 | 生活の周辺。
朝から稽古。
昼に東中野へ。RAFTへ。電車がどの線も遅れていて、少し慌てる。
リハ時間をやっぱり押してしまう。
すぐそばに、「Coffee Dogs」という、犬のいるカフェができていた。ココアを飲みながら台本を読む。
16:30から、ゲネを拝見。ごちそうのような時間。
朝から固形物を何も食べていなくて、お腹がきゅうきゅうと鳴る。
19:30より、本番。すこやかクラブさんの作品に今年も撃ちぬかれた。心の戸をぱかんと開け放って笑った。
終わって、観にきてくれた方々と、駅前で少しだけ飲む。「こんなに重たいクリスマスははじめてだ」とさくらさん。あはは、と笑う。加藤くんが名言をいくつも連発していて、胸にしっかりと刻んだ。
砂袋を引きずるようにして帰宅。

てんやわんや。

2015-12-24 | 生活の周辺。
午前中から一人芝居の稽古。
祐天寺の駅改札がすっかり変わっていてしばらく迷う。
『東京聖戦詩集』休演日のため、覚さんとカナが稽古に顔を出してくれた。
昼からイプセンの稽古。てんやわんや。
夜から再び、一人芝居の稽古。ひとりで舞台の時間を担うこと。役者にのしかかるものの重さを思う。

しのびよる。

2015-12-22 | 生活の周辺。
日付が変わってしばらくして、耐えがたい眠気におそわれて、少しだけ眠る。悪夢を見る。「まだそこにいる」という絞りだすような自分の声で目がさめる。音と会話の内容と相手の息づかいと、夢と思えないほど生々しい手触りの夢。

冬至。青空。あたたかな日。
夕方から一人芝居の稽古。
夜、イプセンの稽古。上演台本を使用する。
稽古中、ある場面について自分の読み違いに気づかされ、ぞっとした。とても大切な部分を完璧に読み落としていたこともそうだが、とんでもなく苛烈な構造をさりげなく忍ばせてくるイプセンの筆致に驚嘆する。