最前線の育児論byはやし浩司(Biglobe-Blog)

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●ある弁護士の詭弁

2007-08-08 09:14:33 | Weblog
●ある弁護士の屁理屈

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栃木県S市の保険金目的の殺人事件で
逮捕された男性が自殺した。

それについて、担当のM弁護士は、その可能性を
事前に、被疑者から知らされていたという。
遺書の隠し場所も知らされていたという。

しかしM弁護士は、それを誰にも言わなかった。
結果、その被疑者は、自殺してしまった。

弁護士が接見を終えたのは、当日の午後
8時前。被疑者が自殺したのは、その直後の
8時半ごろと推定される(TBS-i)。

担当のM弁護士は、「死ぬ、死なないは
人間の究極の尊厳。本人意思を尊重した」
として県警に伝えなかったという(毎日新聞)。

しかしこんな屁(へ)理屈が、通るだろうか?

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栃木県S市の保険金目的の殺人事件で、妻殺害容疑で再逮捕された自動車修理販売業、K容疑者(58)が、8月6日夜、県警宇都宮中央署内で首つり自殺した。それについて担当M弁護士が、6日の時点で同容疑者の自殺の意思を把握していたことが分かった。

M弁護士は「死ぬ、死なないは人間の究極の尊厳。本人意思を尊重した」として県警に伝えなかったという(毎日新聞)。

 K被疑者は6月、保険金約600万円を詐取するため自宅近くの物置兼住宅を全焼させたとして、非現住建造物等放火の疑いで、会社の部下ら4人とともに県警に逮捕された。

M弁護士は10分間の接見を終え、面会室を出たのが午後8時前。そして午後9時過ぎ、K被疑者が死亡しているのを署員が発見された。接見が終わった直後、1時間ほど経ったあとのことだった。(TBS-i)

 この記事を読んで驚いたのは、「死ぬ、死なないは人間の究極の尊厳。本人意思を尊重した」というM弁護士の言葉。一弁護士の立場で、被疑者の生死にかかわる問題を、黙認してもらっては困る。もしこんなバカげた論理がまかり通るなら、ではいったい、弁護士とは何かということになってしまう。さらに「法とは何か」、その問題にまでなってしまう。

 弁護士は、「裁き」そのものを否定したことになる。もっと言えば、被疑者の立場に立って、弁護するという、弁護士の義務そのものを放棄したことになる。被疑者の法的権利、法的人権を守る、守らないという以前の問題である。それ以前の段階で、被疑者を自ら消すことに力を貸してしまったことになる。

 こんなのは、被疑者の権利を守ることでもなんでもない。黙秘権ともちがう。弁護士の守秘義務ともちがう。方法はいくらでもあったはず。署員に、「自殺の可能性があるから、注意していてほしい」くらいのことは、告げるべきだった。

 わかりやすく言えば、M弁護士が、K被告の自殺に手を貸したことになる。法律用語を使えば、「不作為による自殺ほう助」ということになる。

 それでもわからない人がいたら、こう考えてみたらよい。

 もしあなたが、身内のだれかから、自殺を予告されたら、どうするだろうか。そして予告通り、自殺してしまった。そのときあなたは、こう言うだろうか。「死ぬ、死なないは人間の究極の尊厳。本人意思を尊重した」と。そして自殺したあと、遺書のあり場所を、警察に通告するだろうか。

 「被疑者は、身内でない」とあなたは思うかもしれない。であるなら、なおさら、弁護士として、何らか手を打つべきだった。被疑者自らが、弁護の権利を抹消するような行為に手を貸しながら、弁護も何もあったものではない。それともM弁護士は、こう考えたとでも言うのだろうか。

 「あなたはどうせ、死刑だ。弁護のしようがない。だから死んでも仕方ない。そのほうが、楽」と。

 弁護士というのは、被疑者の法的権利を守るのが第一の仕事であるとしても、同時に、社会的正義を追求するという使命も負う。ときには被疑者の意思に反して、犯罪の中身を外にえぐり出すこともしなければならない。それが結局は、社会的正義の追求につながる。わかりやすく言えば、被疑者の法的権利と、保険金殺人という社会的犯罪性は、どこかで切り離して考える。

 K被疑者が自殺してしまったのでは、保険金殺人という社会的犯罪性は、うやむやのまま終わってしまう。

 どこかの医師、患者が自殺してしまったことに対して、「死ぬ、死なないは人間の究極の尊厳。本人意思を尊重した」と。

  どこかの教師、生徒が自殺してしまったことに対して、「死ぬ、死なないは人間の究極の尊厳。本人意思を尊重した」と。

 どこかの親、自分の息子が自殺してしまったことに対して、「死ぬ、死なないは人間の究極の尊厳。本人意思を尊重した」と。

そして どこかの弁護士、担当被疑者が自殺してしまったことに対して、「死ぬ、死なないは人間の究極の尊厳。本人意思を尊重した」と。

 ……みんなが、こんなこと言い出したら、この世の中は、どうなる? それにしても常識ハズレな弁護士ではないか。いろいろな意見はあるかと思うが、少なくとも、私は、そう思う。

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