今日は同僚の若手、中堅の機械設計技術者数名に、私が入社した当時のタイムレコーダ2機種について構造や設計思想について実機を分解しながら説明しました。
なにぶん、これらの機械をよくいじっていたのは30年くらい前ですから、分解に手間取りました。(ねじが固着していたことも原因ですが)
世界初の電子タイムレコーダであった機種の分解を進めていくと、昔は気がつかなかった工夫や、生産技術の高さを再認識しました。
部品に要求される特性にマッチするように、板金部品のごく一部だけ、せん断面と破断面を入れ替える “抜き返し” がされた部品や、印字のタイミングを決めるためのメカ式接点の工夫や、駆動用複合カムの形状など、若手の機械設計者にとって、手本になる設計が各所にほどこされています。
現在のタイムレコーダの基本構造を設計したのは平成元年の秋ですから23年近く経過しています。今の同僚たちは、その基本構造しか知らず、タイムレコーダはこうあるべき、という “すりこみ” ができてしまっているため、なかなか新しい構造、構成を思考しにくい状況にあります。
しかし、今日、今日のタイムレコーダとは異なった構成、機構の機種をみて、彼らもきっと思考が広がることでしょう。
先輩技術者の方々が退職された今では、昔のタイムレコーダについての設計思想や構造、生産技術的な工夫などについて語ることができるのは、たぶん、私しかいないと思います。なにしろ、私が設計したタイムレコーダ以前の機種を設計した技術者(元上司)から直接伝聞しています。
少しずつでも後輩たちに伝えていこうと思います。
この20年来、タイムレコーダの機能を獲得するためのメカニズム、構造の進化は停滞しているように感じます。それは、他社も同様です。
進化論で語られているように、進化を促進するには環境の変化が不可欠です。現在の構造では絶対に実現できない仕様や要求・要望の生起という 『環境変化』 が起こり、タイムレコーダのメカニズムの進化が促進されるとよいのですが。
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