品質管理では 『工程能力指数;Cp』 は計算が簡便なため、気軽に使われることが
多いようです。
しかし、工程能力指数を間違えて理解している人がとても多いと感じています。
工程能力指数は規格に合格した適合品を生産する能力をあらわす指標では
ありません。ましてや、良品を生産する指標ではありません。
工程能力指数は、作業者、生産装置や設備、原材料、方法や手段という生産に
かかわる要件を総合した生産工程での成果物に関するばらつきの状態を
あらわす指標です。
このことが理解できていないため、工程能力指数をめぐった会話がかみあわない
こともよくおこります。
そして、もっと問題があるのが 「かたよりを考慮した工程能力指数;Cpk」 です。
個人的には、なんでこんな指標をつくっちゃったの? と思います。
まったく意味のない指標だと思います。Cpkは『中心付近の値』と『ばらつき』
という重要な2元情報を1元化してしまった値です。
たとえば、『旋盤加工で全長:L=100±0.3の軸を加工した結果、Cpk=1
であった。』という内容で考えると、Lの平均が100mmでs=0.1という事象が
考えられます。同時にL=100.15mmでs=0.05という事象も考えられます。
どちらの事象の結果としてCpk=1になったのか、という判断ができないのです。
そして、このとき、前者の事象で不適合品が生産される確率は0.27%であり、
後者では0.135%になります。(L<99.7mmは9σに相当、したがって、
不適合品はL>100.3mmという片側だけになるため)
本来Cpkとは改善度合いを簡便に評価するための一過性(使い捨て)の
相対指標です。しかも、本当に(何がどのように)改善されたのか?
という評価目的に対して、その事実を明確に提示できないので説得力が
希薄すぎます。
毎回(ロットごと)ねらい値に対してかたよりの量が同じであり、同時に
標本標準偏差も同じ値となるとき、当然、毎回Cpkの値は同じ値になります。
この場合工程の再現性がよいわけですから、かたよりの量をチューニングに
よって減らすことは技術的に十分可能なはずです。そのチューニングが
実現できれば不適合品の数を減らすことができる。あるいは、関連する他の
部品の公差をゆるめることが可能になる。すくなくともその部品の加工において、
標準偏差は大きくなってしまうけれどもコストダウンにつなげる方策
(加工速度をあげる、工具の交換時期をのばすなど)の検討が可能になります。
品質管理の場面では、Cpkを妄信すると痛い目にあう懸念があるので、
使うべきではない、と判断、指導しています。品質工学では感度とSN比という
2つの特性を別々に評価します。そのため、機能の改善活動をスムーズに
進めることが可能になります。品質管理の場面でも、Cpkという分布の中心の
推定値とばらつきの情報を一元化してしまった指標ではなく、感度とSN比を
Cpkにかわる指標として採用するべきです。
さて、昨日は年に2回ほどある期末の土曜日出勤日でした。
帰りにいきつけの馬刺し屋さんへ ・・・
まず、ハツ刺し
つぎは、ご禁制の品ではない馬のレバ刺し
そして、コウネ(たてがみ)、バラ、ひもです。
とてもおいしかった!
当社でも品質指標にCp,Cpkが多様されますが、今度 この事例を用いさせて頂こうと思います。