似てないもの夫婦

　似たもの夫婦の存在も否定しないが、およそ世の夫婦の性格は正反対と言ってもいいだろう。
　そのほうが磁石と同じように、お互いに引きつけ合うと思うが、そうではないようだ。

　我が家もその例に漏れない。
　潔癖で神経質で自尊心の強い家内に対して、自堕落でがさつ、日和見な性格の私だ。

　そんな私だから、家内にとっては、私の行動や言動、特にこまごまとした事がいちいち気に障るようだ。
　例えば、電気の点けっ放しや水道の出しっ放し、風呂やトイレの後始末、部屋の掃除や消臭など、口うるさく注意される。

　曰く「もったいない」「汚い」「臭い」。
　その言葉の前後には罵詈雑言がセットになっているが、ここでは家内の名誉のために割愛する。

　電気や水道を1時間も2時間も点けっ放し、出しっ放しにするわけもなく、冷蔵庫のコーラを飲む時とか、歯磨きをする時のほんの数十秒だ。
　金額換算していくらになるというのだ。

　たぶん、積もり積もってやっと1円になるかならないかだ。
　まるで明治生まれのおばあちゃんの小言のようだ。

　トイレや風呂の洗い場の汚れも、見えるか見えないくらいのピンポイントだ。
　書斎は出不精の私なので、加齢臭がこもるのは仕方がない。
　換気には気をつけているがそれでは足りないようだ。

　昔はそのフェロモンの匂いに惹かれていたのは、どこのどなたでしょう、と喉まで出かかる。
　まあ、それが家内のストレス発散の一助となっているとすれば、甘んじて受け止めざるを得ない。

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