Boise on my mind

ウェブサイト「Boise on the Web アイダホ州ボイジー地域情報」の作者短信、運営裏話など

相互不干渉主義

2005-05-18 | ウェブサイト運営論
今回は、「狭く深く!」の記事の最後で触れた「相互不干渉」について、私の考えを述べます。

まず、議論の前提として、すでにさんざん語り尽くされた「リンクは自由!」の考え方を確認しておきます。
そもそも、WWW (World Wide Web) とは何か、それは強いて日本語で言い表せば「相互参照情報網」、すなわち「参照」を自在に行うためのシステムなのです。WWWでアクセスできる情報というのは、別のWWW上のドキュメントから参照されるのが当たり前、むしろ、WWWに情報を載せること自体が「どんどん参照してください!」と意思表明しているのと同じことなのです。

そのうえで、私がここで主張するのは、個人ウェブサイト相互間の「棲み分け」「リンク」そして「相互不干渉」です。
すなわち、テーマが近接するウェブサイトが並存する場合や、すでに存在するウェブサイトのテーマに近接するテーマを設定して新たにウェブサイトを作る場合には、

1. それぞれのサイトがカバーする情報の範囲が重ならないようにする(棲み分け)
2. 自分のサイトの情報に関連する情報が相手のサイトにある場合は、リンクによって参照する(リンク)
3. 相手サイトがカバーする範囲の情報については、自分では情報提供を行わない(相互不干渉)

という方針でサイトを運営すべきである、ということです。
以下、1~3 のそれぞれを詳しく述べます。

1. これは、「狭く深く!」で述べたことと同じです。すでにWWW上に存在するウェブサイトの情報と重なる情報を提供するのは、全体の情報量を増やすことにつながらず、労力と資源の無駄です。それぞれの個人ウェブサイトが価値を発揮するためには、それぞれに違った情報を提供しなければならず、そのためには、近いテーマを扱うサイト同士の「棲み分け」がなされていなければなりません。

2. 繰り返しますが、WWWで参照可能な情報というのは、「参照する/されるのが当たり前」です。だから、自分のサイトの守備範囲外だけれど、自分のサイトの情報に関係する情報は、どんどんリンクによって参照すべきです。
逆に言うと、リンクを自由に行ってよいからこそ、自分ひとりで広い範囲をカバーしなくてよい、自分は狭い範囲に集中して、範囲外の情報はリンクによって堂々と他人に依存できる、すなわち「棲み分け」が可能になるのです。

3. これが私の主張の核心なのですが、「棲み分け」を有効に機能させるためには、他人のウェブサイトがカバーする範囲に「干渉」すべきでない、すなわち、他人のウェブサイトの守備範囲に属する情報を自分が持っていたとしても、むやみに自分のサイトの守備範囲を広げて自分でその情報を提供しようと考えてはいけない、その領域は潔く相手に譲るべきである、と考えています。

個人ウェブサイトの並存によって有効な情報提供がなされるようにするためには、境界領域で「競合」してはいけないのです。個々の境界領域で「そっちはあんた、こっちはあたし」という暗黙の境界線をすばやく画定してしまって、「そっち」について自分が情報を持っていたら、惜しみなく「あんた」に与えて、「あんた」のウェブサイトに任せてしまえばよいのです。逆に、「こっち」については、堂々と「あんた」に情報提供を要求すればよいわけです。
「相互不干渉」の立場は、個々のウェブサイトのコンセプトを明確にし、テーマの散逸を防ぐうえでも重要だと考えます。(「テーマの散逸を防ぐ」については別記事であらためて論じます)

Boise on the Web の場合、「こっちはあたし」として主張するのは、

1.ボイジーの基本情報、都市紹介
2.ボイジーおよび周辺地域の観光情報

です。そして、「そっちはあんた」として潔く放棄するのは、

1.在住者のための生活関連情報
2.留学情報
3.アイダホ州一般の情報・ボイジー以外の都市・地域の情報

です。
「そっち」をカバーするウェブサイトが充実するのは、まさに私の望むところであり、私は干渉する気はありません。その一方で、「こっち」については、Boise on the Webと競合するのではなく、Boise on the Webの該当部分に自由にリンクしてくださるか、あるいは、Boise on the Webに情報をお寄せいただいて、Boise on the Webを通じた情報提供に協力していただきたいと願っています。
私が主張する「相互不干渉」とは、そういうことです。

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