明治大正期の作家である森鴎外氏が生前、こんな事を言っていた。曰く「僕は生まれながらの傍観者である。どんな感興の沸き上がった時も、僕はそのうずまきに身を投じて、心から楽しんだ事がない。僕は人生の活劇の舞台にいた事はあっても、役らしい役をした事がない」と。その客観性が、恐らく鴎外氏の作品にも影響を与えていると思うが、物事を決めるのは主観である。小生の趣味は、そのバランスがものを言うが、相手がオーディオ機器なだけに、アクシデントが起きると、原因を解明しなければならず、その時に、ある程度の客観性がないと、判断を誤る。そこには絶対と言うものはなく、流動的な変化がある。なのでその中から、その時点の“最適”を見つけなければならないのだ。
そこでいつものカセットデッキだ。修理が終わり、メンテをしながら使用を始めたVictor「KD-970SA」は、最適なキャプスタンベルトが中々決まらず、その都度の規格が変わる。それは御蔵入りをしていた期間が長かったからだ。なので実動状態になると、元々の機械の癖みたいなものも見つかる。本来の状態だ。なので長さや太さが日々、変わるが、数日前からは何となく、そのカセットデッキの標準が見えてきた。そこで「やはりその辺か?」と納得をするのだが、走行系は長時間のテストをしないと解らないものだ。てな感じで、ようやく落ち着きそうだ。幸い後から復帰したTechnics「RS-670U」には、そんな苦労はないが、それでも古い物だけに、パーツが製造当時の物はなく、代用品を探さねばならない。そんな苦労もあるが、その2機種は共に1970年代中期の高級機だ。それぞれの工夫が解ると面白いものだ。だから長々と、「こんな趣味をやっているのかな?」と納得する。
さて「巷では?」だが、ジャニーズ事務所が創業者存命の頃より、何となく勢いがないように感じるのは気のせいか?だがテレビコマーシャルは、相変わらずの「どこでもジャニーズ」だし、実際、「いつの間に?」と思える程の独占状態だが、これが業界の多様性を妨げているのも見た通りである。そのジャニーズ事務所だが、嘗ては【渡辺プロダクション】の子会社だっただけに創業者の渡辺晋氏の手口をジャニー喜多川氏が学んだ事は容易に感じ取る事は出来る。(ちなみにジャニー氏は、米国出身の日系人だった。)なのでナベプロの独占振りに反旗を翻す動きは、ハナ肇とクレージーキャッツの人気が衰退した頃からあり、日本テレビの「金曜10時!うわさのチャンネル!!」は、その産物だった。その辺の話は長くなるので割愛するが、場合によっては嘗てのナベプロを凌ぐジャニーズ事務所も、創業者他界後は、その求心力が弱ったようにも思える。それが(株)ジャニーズアイランド (Johnnys' Island) なる子会社で、「タッキー&翼」解散後に芸能活動も引退した滝沢秀明が社長に就任をしていた会社ではあったのだが、その滝沢氏が突然、退任。そりゃあ「何かある」と勘繰られても仕方がない。何せ滝沢氏の社長就任は創業者案件なのだ。そこで「王国の崩壊」等と揶揄もされるが、今や老舗のジャニーズ事務所も、色々な意味で潮時なのかも知れない。そこでこんな言い方も何だが、この芸能事務所の勢力が衰えると、業界のバランスも良くなるだろう。あまりにもジャニーズ事務所は調子に乗り過ぎた。
ほころびを見せたジャニーズのシナリオ──滝沢秀明氏の退社が予想させる“ふたつの未来”
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichiromatsutani/20221101-00322138
滝沢秀明がジャニーズ事務所と”決別”した全内幕
https://friday.kodansha.co.jp/article/273332?page=1