元祖 ひまうま本舗

「ひまうまの世間は、鬼ばかり?」後身blog

常に時と共に、

2024-05-23 07:40:42 | 訃報


「芸術は醜いものを生み出すが、しばしばそれは時と共に美しくなる。一方、流行は美しいものを生み出すが、それは常に時と共に醜くなる」。これはフランスの戯曲家(で芸術家の)ジャン・コクトー氏の名言だが、ピカソに影響を受けた岡本太郎氏も似たような事を言っていた。コクトー氏が現在の行き過ぎたポリコレをどう思うか、もし生きていたら聞いてみたいものだ。さて俳優の中尾彬さんが亡くなった。その存在感、全てが個性になっている。中尾さんも元は日活俳優だ。映画斜陽期の1964年にデビューした。第5期のニューフェイスとはなっているが、所属は半年前なので、後から編入された。当初は二枚目俳優で、恰幅が良くなってから悪役が多くなった印象がある。しかしながら「本陣殺人事件」(1975 ATG)では金田一耕助を演じており、その頃が「転換期だったのかな?」と思う。意外な処では、AKB48のPV(「ギンガムチェック」)にも出演していた。妻は5代目古今亭志ん生の孫である池波志乃さんだ。夫婦共に美食家だった。とにかく語ると枚挙に暇がないので終わりにするが、盟友だった江守徹氏との(見せる為の)喧嘩も面白く、色々と記憶に残る。享年81歳、大往生である。御冥福を御祈りする。かなり以前に写真の仕事で関わった事があったが、とても品の良い人だった。




中尾彬(Wikipedia)

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B0%BE%E5%BD%AC
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規則に合った事?

2024-04-05 07:35:41 | 訃報




指揮者の小澤征爾さんは言う。「楽譜に書いてある通り、非常に几帳面にやって、規則に合った事をやって、「はい、これで終わり」の演奏会をされたら、みんなバカバカしくなって、音楽会に来なくなっちゃいますよ」と。曾ての新即物主義はそうだった。昔話で恐縮だが、そのひとつの砦的な存在の指揮者にヘルベルト・V・カラヤン(氏)なる名匠が居た。アンチも居り、それに対する砦はカール・ベーム博士(実際に法学博士だった。)だった。(だがベーム博士も新即物主義者だった。そんなオチがある。)確かに浪漫主義は19世紀を代表する表現方だ。なので20世紀は、その反動だったと言う訳だ。しかしながら譜面の音を正確に再現するには、それに似合う技巧が必要だ。だからこそ基盤にある音楽性がものを言うのだろう。その点では、小澤征爾さんは新表現主義と言える。実際、譜面の裏の音に対する拘りは素晴らしいものだった。集中力も然りだ。



話は変わるが、いつもカセットデッキの回転ムラのチェックに使っているマウリツィオ・ポリーニさんが弾く、ショパンのポロネーズ集があるが、そのポリーニさんも技巧派で知られた。流石、1960年のショパンコンクールの優勝者だ。当時は18歳だった。当時に録音されたレコードの演奏なんぞを聴いていると、「こんなに粒立ちが良く、細かい音まで聴こえるショパンがあったかしら?」と思う程だ。本当に素晴らしい技巧のピアニストだ。だから後年に発売されたショパンのポロネーズ集は、賛否両論で、演奏に魂がないだのと言われたものだ。とは言え小生、ショパンのポロネーズをまとめて聴いたのは、ポリーニさんの、そのレコードが最初で、然も当時の友人から譲り受けた物だった。実はそれ、その友人が小学校の卒業式前日に突然、脳溢血で亡くなったお父様が聴いていた曰く付きの物。「形見で持っていた方がいいよ」と当初は断ったのだが、「好きで聴いている人の手に渡った方が父も喜ぶ」と言われたので譲り受ける事にした。それ以来、何かにつけて、そのレコードを聴いている。さてそのポリーニさんだが、実は今年の3月23日に北部ミラノの自宅で亡くなっており、「そう言えば」と、そんな昔話を思い出していた。人は一生のうちに色々な事を体験するものだ。享年は82歳だった。御冥福を御祈りする。小生が学生時代に夢中になった音楽家は、気がつけば、そんな御歳である。



マウリツィオ・ポリーニさん死去 世界最高峰の伊ピアニスト、82歳
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024032400018&g=int

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大きな苦痛

2024-03-09 07:04:44 | 訃報




「旅から旅への生活には、楽しいなかにも大きな苦痛がある事を彼は理解しました」。「気持ちはいつも張りつめたままで、少し休んだと思っても、そこを去って新しい楽しみを見つけなければならず、そうなればまたしても神経を張りつめる事になる」。「それが延々と続くのです」。これはいつもの英国の女流作家、メアリー・シェリー原作の「フランケンシュタイン 或いは現代のプロメテウス」からだが、今回はフランケンシュタインの台詞だ。フランケンシュタインが自ら造り上げた怪物に失望し、その存在を認められずに当初は逃げ回り、怪物に追い詰められると、その怪物を自らの手で殺めようと追い掛けまわす。そこで体験した事を語っているのだが、旅を通して自身を見詰め直す事はあろう。「自分探し」なんて言葉もあるが、フランケンシュタインは何処までそれが出来たのだろうか?



さて訃報だが、大人物の死は突然だ。既にテレビ報道でも知られているが、漫画家の鳥山明さんが、急性硬膜下血腫で亡くなった。3月1日の事だった。享年、68歳は若い。正に急逝だ。『ドラゴンボール』は間違いなく代表作だが、やはり世に出るきっかけとなった『Dr.スランプ』が原典だと思うファンは多かろう。画力のある人だった。画力と言えば江口寿史さんも相当なものだが、天才は忘れなくともやって来る。そうも言いたくなるのが鳥山明さんだった。惜しい人を亡くした。速報だが、声優のTARAKOさんも亡くなっていた。63歳は若い。日本の漫画界とアニメ界での損失は計り知れない。

漫画家・鳥山明さん(68)急逝 3月1日に急性硬膜下血腫のため『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』名作うみだす(めざましmedia)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1704333a2cf73ddbce982d56738287cb115f0e9d
声優のTARAKOさん急死 63歳 「ちびまる子ちゃん」を35年 最近までアフレコ参加
https://news.yahoo.co.jp/articles/f53b780a2179f76705482398600acef456386e1a

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