一 バドゥムッタラという名の勝者、一切の法における究竟者であるグルは、今から十万カルパの昔に出現なさいました。
二 そのとき、私はハンサヴァティーのある良家にいて、他人の女中でしたが、賢く、戒によって自分を制御していました。
三 仏陀パドゥムッタラの第一弟子であるスジャータは、精舎を出て托鉢【たくはつ】に行きました。
四 そのとき、水汲【みずく】み女の私は水瓶【みずがめ】を持って行きすがら、その方を見て清らかな信心を持ち、自らの手によってスープを施しました。
五 その方はそれを受け取って、そこに座って召し上がってくださいました。その後、その方を家に導いて、食事を施したのです。
六 それにより私の主人は満足し、私を自分の義妹【いもうと】にしてくださいました。そして、義母【はは】と共にお伺いして、等覚者に礼拝をいたしました。
七 そのとき、そのお方は法を説く比丘尼を賞賛され、その第一の位に置かれました。それを聞いて、私はうれしくなりました。
八 善逝、世界のグルをサンガと共にお招きして、大いなる布施を施して、その地位を願い求めました。
九 それにより善逝は、厚みのある、よく響く声でこうおっしゃいました。
「私への奉仕を楽しみ、サンガにも食を施す、
一〇 正法の聴聞に専心し、徳の至る意がある、賢い者よ、喜びなさい。誓願の果を得ることだろう。
一一 今から十万カルパの後に、オッカーカ族の生まれで、ゴータマという名の師が、この世に出現するだろう。
一二 お前は彼の法の中において、法によってつくられた後継ぎの子であって、ダンマディンナーという名の、師の弟子の尼となるだろう。」
一三 それを聞いてうれしくなって、一生涯、偉大なる牟尼、指導者に、優しい心で必需品を奉仕いたしました。
一四 その善をなしたカルマと思願によって、人の身を捨てて、私は三十三天に行きました。
一五 この賢なるカルパにおいては、バラモンの末裔であって、大いなる名声がある、カッサパという名の、論者の中で最も優れた方が出現なさいました。
一六 そのとき、大聖の従者は、バーラーナシーで最高の城にあった人間の主、カーシ王キキーという名の者でした。
一七 私は彼の六女であって、スダンマーとして知られていました。そして、最高の勝者の法を聴いて、出家を希望したのです。
一八 私達の父が許さなかったので、そのとき私達は家で二万年の間勤精進して、
一九 幼い娘としては梵行を行じ、幸福に暮らしていた七人の王女としては、仏陀へのおもてなしを楽しみ、喜んだのです。
二〇 その七人とは、サマニー、サマナグッター、ビックニー、ビッカダーイカー、ダンマー、およびスダンマーと、第七はサンガダーイカーでした。
二一 それは今生では、ケーマー、ウッパラヴァンナーと、パターチャーラーと、クンダラー、ゴータミーと、私、そして第七はヴィサーカーです。
二二 その善をなしたカルマと思願によって、人の身を捨てて、私は三十三天に行きました。
二三 そして今、最後の有では、最高の城ラージャガハの裕福な長者の家に生まれました。その家は裕福で一切の欲がかないました。
二四 容姿と徳とを具え、年頃を迎えたとき、他家に嫁いで幸福に暮らしました。
二五 世間の帰依処のみもとに伺って、説法を聴き、善き覚慧【かくえ】がある私の夫は不還果を体得いたしました。
二六 そのとき、私は許しを得て非家者となり、間もなく阿羅漢の位に到達いたしました。
二七 そのとき、あの優婆塞【うばそく】が私のもとに来て、甚だ深遠で微妙な質問をしました。私はそのすべてに答えたのです。
二八 勝者はその徳に満足なさり、私を法を説く比丘尼の第一の位に置いてくださいました。そして、
「それほどの者は、他に見ない。
二九 法を与えられた者【ダンマディンナー】のように賢明である。比丘達よ、このように記憶しなさい。」
とおっしゃいました。私はグルの身に余る哀れみによって賢者となったのです。
三〇 私は師に帰依し、仏陀の教えを実践し、重荷を捨てて有に導く煩悩をすべて取り除いたのです。
三一 その意義のために、私は在家から出家者となりました。生存の束縛を滅尽する、その意義を、私は体得いたしました。
三二 私は神足と天耳界において自在となり、他心通を知り、師の教えを順守する者となりました。
三三 宿命を知り、天眼は清浄となり、一切の漏を捨てて、清浄でけがれなき者となったのです。
三四 私の諸々の煩悩は焼き尽くされ、有はすべて断じられ、一切の漏は尽き果てて、もはやこの世に転生することはありません。
三五 実に私はよく至れる者です。我が最勝なる仏陀のみもとで、三明は体得され、仏陀の教えは実践されるのです。
三六 四無礙解と、またこれら八解脱と、六通を現証して、仏陀の教えを実践いたします。
――このように、ダンマディンナー比丘尼は、これらの詩句を唱えたのである。