智徳の轍 wisdom and mercy

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ダンマディンナー

2005-02-11 | ☆【経典や聖者の言葉】

一 バドゥムッタラという名の勝者、一切の法における究竟者であるグルは、今から十万カルパの昔に出現なさいました。
二 そのとき、私はハンサヴァティーのある良家にいて、他人の女中でしたが、賢く、戒によって自分を制御していました。
三 仏陀パドゥムッタラの第一弟子であるスジャータは、精舎を出て托鉢【たくはつ】に行きました。
四 そのとき、水汲【みずく】み女の私は水瓶【みずがめ】を持って行きすがら、その方を見て清らかな信心を持ち、自らの手によってスープを施しました。
五 その方はそれを受け取って、そこに座って召し上がってくださいました。その後、その方を家に導いて、食事を施したのです。
六 それにより私の主人は満足し、私を自分の義妹【いもうと】にしてくださいました。そして、義母【はは】と共にお伺いして、等覚者に礼拝をいたしました。
七 そのとき、そのお方は法を説く比丘尼を賞賛され、その第一の位に置かれました。それを聞いて、私はうれしくなりました。
八 善逝、世界のグルをサンガと共にお招きして、大いなる布施を施して、その地位を願い求めました。
九 それにより善逝は、厚みのある、よく響く声でこうおっしゃいました。
「私への奉仕を楽しみ、サンガにも食を施す、
一〇 正法の聴聞に専心し、徳の至る意がある、賢い者よ、喜びなさい。誓願の果を得ることだろう。
一一 今から十万カルパの後に、オッカーカ族の生まれで、ゴータマという名の師が、この世に出現するだろう。
一二 お前は彼の法の中において、法によってつくられた後継ぎの子であって、ダンマディンナーという名の、師の弟子の尼となるだろう。」
一三 それを聞いてうれしくなって、一生涯、偉大なる牟尼、指導者に、優しい心で必需品を奉仕いたしました。
一四 その善をなしたカルマと思願によって、人の身を捨てて、私は三十三天に行きました。
一五 この賢なるカルパにおいては、バラモンの末裔であって、大いなる名声がある、カッサパという名の、論者の中で最も優れた方が出現なさいました。
一六 そのとき、大聖の従者は、バーラーナシーで最高の城にあった人間の主、カーシ王キキーという名の者でした。
一七 私は彼の六女であって、スダンマーとして知られていました。そして、最高の勝者の法を聴いて、出家を希望したのです。
一八 私達の父が許さなかったので、そのとき私達は家で二万年の間勤精進して、
一九 幼い娘としては梵行を行じ、幸福に暮らしていた七人の王女としては、仏陀へのおもてなしを楽しみ、喜んだのです。
二〇 その七人とは、サマニー、サマナグッター、ビックニー、ビッカダーイカー、ダンマー、およびスダンマーと、第七はサンガダーイカーでした。
二一 それは今生では、ケーマー、ウッパラヴァンナーと、パターチャーラーと、クンダラー、ゴータミーと、私、そして第七はヴィサーカーです。
二二 その善をなしたカルマと思願によって、人の身を捨てて、私は三十三天に行きました。
二三 そして今、最後の有では、最高の城ラージャガハの裕福な長者の家に生まれました。その家は裕福で一切の欲がかないました。
二四 容姿と徳とを具え、年頃を迎えたとき、他家に嫁いで幸福に暮らしました。
二五 世間の帰依処のみもとに伺って、説法を聴き、善き覚慧【かくえ】がある私の夫は不還果を体得いたしました。
二六 そのとき、私は許しを得て非家者となり、間もなく阿羅漢の位に到達いたしました。
二七 そのとき、あの優婆塞【うばそく】が私のもとに来て、甚だ深遠で微妙な質問をしました。私はそのすべてに答えたのです。
二八 勝者はその徳に満足なさり、私を法を説く比丘尼の第一の位に置いてくださいました。そして、
「それほどの者は、他に見ない。
二九 法を与えられた者【ダンマディンナー】のように賢明である。比丘達よ、このように記憶しなさい。」
とおっしゃいました。私はグルの身に余る哀れみによって賢者となったのです。
三〇 私は師に帰依し、仏陀の教えを実践し、重荷を捨てて有に導く煩悩をすべて取り除いたのです。
三一 その意義のために、私は在家から出家者となりました。生存の束縛を滅尽する、その意義を、私は体得いたしました。
三二 私は神足と天耳界において自在となり、他心通を知り、師の教えを順守する者となりました。
三三 宿命を知り、天眼は清浄となり、一切の漏を捨てて、清浄でけがれなき者となったのです。
三四 私の諸々の煩悩は焼き尽くされ、有はすべて断じられ、一切の漏は尽き果てて、もはやこの世に転生することはありません。
三五 実に私はよく至れる者です。我が最勝なる仏陀のみもとで、三明は体得され、仏陀の教えは実践されるのです。
三六 四無礙解と、またこれら八解脱と、六通を現証して、仏陀の教えを実践いたします。
――このように、ダンマディンナー比丘尼は、これらの詩句を唱えたのである。

キサーゴータミー

2005-02-11 | ☆【経典や聖者の言葉】

一 バドゥムッタラという名の勝者、一切の法における究竟者であるグルは、今から十万カルパの昔に出現なさいました。
二 そのとき、私はハンサヴァティーの、ある家に生まれ、その最上の方のみもとを訪れて、帰依いたしました。
三 そして、四諦に関連した、微妙で、蜜【みつ】のような、心の寂静と安楽をもたらす、その方の法を聞いたのです。
四 あるとき、勇者、最も優れた方は、粗衣【そい】の比丘尼として、第一の位に置いて、称賛なさいました。
五 比丘尼の徳を聞いて、多くの喜びが生じて、可能な限り仏陀に帰依して、
六 その牟尼に頂礼して、その地位を願い求めました。そのとき、等覚者、グルは、その地位を得ることを喜ばれ、こうおっしゃいました。
七 「今から十万カルパの後に、オッカーカ族の生まれで、ゴータマという名の師が、この世に出現するだろう。
八 お前は法の中において、法によってつくられた後継ぎの子供であって、キサーゴータミーという名の師の弟子の尼となるだろう。」
九 そのとき、それを聞いてうれしくなって、一生涯、勝者、教え導く方に、優しい心で必需品を奉仕いたしました。
一〇 その善をなしたカルマと思願によって、人の身を捨てて、私は三十三天に行きました。
一一 この賢なるカルパにおいては、バラモンの末裔であって、大いなる名声がある、カッサパという名の、論者の中で最も優れた者が出現なさいました。
一二 そのとき、大聖の従者は、最高の城バーラーナシーのカーシ王キキーという名の者でした。
一三 私は彼の第五女であって、ダンマーという名で知られていました。そして、勝者の法を聞いて、出家を希望したのです。
一四 私達の父が許さなかったので、そのとき私達は家の中で二万年の間勤精進して、
一五 幼い娘としては梵行を行じ、幸福に暮らしていた七人の王女としては、仏陀へのおもてなしを楽しみ、喜んだのです。
一六 その七人とは、サマニー、サマナグッター、ビックニー、ビッカダーイカー、ダンマー、およびスダンマーと、第七はサンガダーイカーでした。
一七 それは今生では、ケーマー、ウッパラヴァンナーと、パターチャーラーと、クンダラー、私とダンマディンナーと、第七はヴィサーカーのことです。
一八 その善をなしたカルマと思願によって、人の身を捨てて、私は三十三天に行きました。
一九 そして今、最後の有では、私は困窮した、財産がなく、裕福ではない、商人の家に生まれ、財産がある家に嫁いだのです。
二〇 夫を除いて、残りの人は私を無産者と見ました。そして、子供を産んだときに、すべての人に親切にされました。
二一 その幼く賢い子供は、幸福の中で暮らし、あたかも自らの命のように私に愛されたとき、子供はあの世に行ったのです。
二二 憂いに悩み、言葉も哀れに、目には涙を浮かべ、泣きっ面をして、しかばねを抱いて、私は嘆きながら歩きました。
二三 そのとき、ある人によって同情されて、最上の医者のもとを訪れて、「子供が生き返る薬をお与えください」と言ったのです、友よ。
二四 「死者のない家にあるカラシの実を、そこから持ってきなさい。」
と、教え導く方便に熟達した勝者はおっしゃいました。
二五 それからサーヴァッティーに行きましたが、このような家が見つからなかったので、それではどこでカラシの実を手に入れるのだろうと思い、私は念を得たのです。
二六 しかばねを捨てて、世界のグルのみもとを訪れると、遠くに私を見て、妙なるお声でおっしゃいました。
二七 「生滅を見ることなく百年生きるよりも、一日生きて生滅を見た方がよい。
二八 それは村落の法ではなく、集落の法ではなく、また一家の法でもなく、無常であることは、天を含む一切の世界の法なのだ。」
二九 これらの詩句を聞くや否や、法眼は清められ、法を了知して、それから出家者となりました。
三〇 こうして出家し、勝者の教えに励むうち、程なくして阿羅漢の位を体得いたしました。
三一 私は神足と天耳界において自在となり、他心を知り、師の教えを順守する者となりました。
三二 宿命を知り、天眼は清浄となり、一切の漏を捨てて、清浄でけがれなき者となったのです。
三三 私は師に帰依し、仏陀の教えを実践し、重荷を捨て、有に導く煩悩をすべて取り除いたのです。
三四 その意義のために、私は在家から出家者となりました。生存の束縛を滅尽する、その意義を、私は体得いたしました。
三五 義・法・詞、また、弁における私の智慧は、最勝なる仏陀のみもとで、無垢【むく】、清浄となりました。
三六 ゴミたまりや墓場や道端から、ボロを持ってきて、正装を作って、粗衣を着ました。
三七 勝者は粗衣をまとうその徳に満足なさり、教え導く方は会衆の中で、その第一の位に置いてくださいました。
三八 私の諸々の煩悩は焼き尽くされ、有はすべて断じられ、もはやこの世に転生することはありません。
三九 実に私はよく至れる者です。我が最勝なる仏陀のみもとで、三明は体得され、仏陀の教えは実践されるのです。
四〇 四無礙解と、またこれら八解脱と、六通を現証して、仏陀の教えを実践いたします。
――このように、長老キサーゴータミー比丘尼は、これらの詩句を唱えたのである。