朝方になって数時間寝れたものの、やはり雨音で起こされる。しかし、起きてみてびっくり、テントの中が水浸しである。テントの通気口が開いていたらしく、シュラフカバーの上は水浸し、その周りには小さな水溜りがいくつもあった。
まずは排水作業から始めた。それと平行して朝飯を食べた。何も作る気が起きず、パンを2つかじった。昨夜から思い続けていつることはだたひとつ、一刻も早くこの場から立ち去りたい、それだけであった。多分他のメンバーも同じ思いだったと思う。
飯を済ませ、片付けられるものは全て片付けた。合羽も着て準備万端でテントの中で出発の合図を待った。しかし、激しい雨は一向に弱まらず、テントを撤収するタイミングが切り出せなかった。
8時頃、くわさんから天の声が出た。強行撤収である。テントもフライシートもずぶ濡れの雑巾のように丸めて無理やりザックへ押し込んだ。水分を十分に含んだ荷物やザックはずっしりと重かった。
しかし、足取りは軽かった。早く帰りたいという気持ちがそうさせた。剱沢の雪渓を上り、間もなく剱御前小舎に着き、小休憩をとりすぐに下りに掛かった。ここからの下りは、雨も弱まり少し余裕が出てきて、雪渓下りを楽しめた。しかし、登山道は沢のようだった。
雷鳥沢キャンプ場へ到着。雨も大分弱まり、視界も少し良くなってきた。今回、やっとほんのわずかだが、周りの景色を眺めることができた。それでも足早に室堂を目指して、歩き出す。
悪天候にもかかわらず、室堂は観光客でいっぱいだった。
そして、この山行にめげずに次回の山行の約束をして、くわさん夫婦と別れを告げ、バスに乗り込んだ。