simagonia

しまなみ海道周辺で季節を通じて遊んでいる活動内容の記録。山登り、釣り、テレマークスキー、ロードバイク、ゴルフなど。

穂高縦走  【3日目】

2005年09月25日 | 山登り
【山行予定】 穂高岳山荘~奥穂高~西穂~上高地

 2時間ほど寝たと思う…ほとんど寝れなかった。天気は、曇り。昨夜降った雨のせいで、ガスがかかっている。風も少しある。もともと、穂高岳山荘のテント場は、風の強い場所である。なんとか、テントを撤収。奥穂高への登りにかかる。
 朝一で、いきなりの梯子である。少しきついが、雨で滑りやすくなった岩場、梯子を注意して登っていく。
 30分ほどで、奥穂へ到着。山頂からは、ガスで何も見えない。しかし、西穂高方面は、ガスの切れ間に青空も見え始めた。天気予報では、曇り/晴れである。西穂へ行くかどうかは、この奥穂高の山頂で、みんなで協議することにしていた。風も止んでいた。天気も回復傾向にある。行くしかない。
 先ずいきなり、難所馬の背が現れる。左右切り立った岩のわずかな隙間に足を入れて、下っていく。初めは、どこに足を置くのか迷うが、よく見れば足元に足場があるので落ち着いて越えて行く。


   馬の背を下る

 ロバの耳まで来れば、ジャンダルムは、もうすぐである。ジャンダルムの登りの分岐に到着した時には、ガスが晴れた。視界良好。ザックをデポして、ジャンのピークを目指す。
 素晴らしい景色だった…ガスは、全くなくなり、眼下には雲海が広がる。笠ヶ岳、乗鞍岳、焼岳、奥穂高そして槍ヶ岳すべてが見回せる。来て良かった。もちろんピークには、誰もおらず4人だけ。テンションは、急上昇。写真を撮りまくる。そのときに、自分たちの立っている場所のすごさに、改めて実感させられる。そして、ジャンダルムを満喫した4人は先を急いだ。


    ジャンダルムより(焼岳)


    ジャンダルムより(笠ヶ岳)

 天狗のコルへ到着した時だった。またくわさんが、なかなか来ない。「ガラガラガラガラ…!」落石の音が辺りに響く!まさかっと思ったが、その落石の張本人は、やはり彼であった。半べそ状態で、フラフラしながらやって来た。到着するとすぐに座り込み、

「さっきも滑って落ちそうになった…腰が引けてよう歩かん…」

 30過ぎたおっさんが、目から涙を流してそう訴えるのである。奥穂から、ここに来るまでにこれで、2回目であった。昨日の滑落がかなり尾を引いているみたいだった。この精神状態だと西穂までは、到底無理であろう…協議の結果、天狗沢から、上高地への下山を決断した。しかし、彼は自分のために西穂へ行けなくなるのは、どうしても嫌だという。そして、話し合いの末、くわさん夫妻は2人で下山。ともやと2人で西穂までの縦走を続行することになった。もし、自分が逆の立場でも、やはりそうしたであろう。

 「それじゃあ、上高地で!」

 と再会を約束して、西穂を目指した。ここからは、きついアップダウンの連続。登りもロッククライミングのように、垂直に近い岩を登っていく。そして下る。その繰り返し。天狗の頭、間ノ岳、赤石岳とピークを踏破して、西穂へ到着した。ここまで来れば、危険箇所は大分なくなる。しかし、体力も無くなっている。
 くわさんと別れてからは、ともやの独壇場であった。まるで、水を得た魚のように泳ぎだした。後ろを気にすることがなくなった今、彼は自分のペースでやっと歩き出した。あいつに遅れないように、ついて行くのがやっとである。
 ジャンダルムからは、またガスってきて余り景色も良くなかった。景色を楽しめないのと、上高地で待っているであろう、くわさんに再会するため、足早に進んだ。
 西穂山荘到着。そして、山荘で昼食をとる。名物と書いてあったのでラーメンを注文した。腹を満たし、シャツを着替え、靴下も替え、上高地への下りにかかる。
 ここまで来るのに、体力もだいぶ消費していた。しかし、ラストスパートである。とにかく、できる限りかっ飛ばした。足にできた靴ずれが、痛いがそんなこと言ってられない。あいつが心配だった…ちゃんと下山したのだろうか?膝も痛くなり、あまり曲げれない状態で歩いた。いつしか、頭の中で「サライ」が流れてきて、上高地に下りるまでずっと頭で廻っていた。24時間テレビのラストシーンのようだった。
 山荘から1時間15分で、穂高橋に到着。バスターミナルへ急いだ。そして、観光客と登山客でごった返す人ごみの中、くわさんを見つけた。そこには、いつもの奴の笑顔があった。安堵感で胸の中は、いっぱいであった…
 
 そして、土産屋の売店で冷たい牛乳を買い一気に飲み干す…
 


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