BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

蒼穹のファフナー EXODUS 第23話 『理由なき力』 感想

2015-12-09 17:41:30 | ファフナー
なんていうか、最終章の序幕という感じ。

静かすぎて気持ち悪いし、気味が悪いなぁ、というのが率直な印象。

なんか、前回までと異なる物語を見ているみたいで、見終わってからも、なんかもやもやした感じで、何を書いていいのかよくわからない、という感じ。

もっとも前回が、派遣組と島の合流に加え、甲洋に加えて操の再登場、というカタルシスとクライマックスを一気に畳み掛けるように押し出してきたのだから、それと落差が生じてもしかたがないのだけれどね

それにしても、動きのない回だった。
というか、あっさりしすぎ。

真矢はあっさり解放されるし、
ジョナミツは何故かまだ意識というか人格を残しているし。
パペットは、アルタイルミールの分身という割には、ジョナミツが個体としての存在を残しているのが不思議だった。
それに、総士があれだけ覚悟を決めて旅だった割には、大した活躍もなく、むしろ、レゾンのお披露目の前座みたいになっていたし。

そのくせ、見た後の後味はあまりよくない。
理由はきっと、人間同士の争いを見せつけられたからだろな。
信念・政治にしても、暴力・戦闘にしても。

で、そのどちらにおいても、真矢無双!
これが「調停者」としての誕生なのだろうか。
戦士にして政治家というポジション。
なぜなら、真矢は、いわゆるトロッコ問題、つまり、一人の犠牲で5人を助ける、って決断をしてしまったわけだから。
それもあって、やたらとヘスターとの並行性を示唆するような展開だったのだろうけど。

それにしても、ヘスターの物語をこれだけ差し込んでくるのは意外を越えてビックリ。
とりあえず、人類軍が新国連によるシビリアン・コントロールの悲しいくらい統制下にあることだけはよくわかった。

大方の予想を裏切って、軍部によるクーデターを企てようとしていたバーンズは、あれだけ思わせぶりだったにも関わらず、あっけないくらい落城。

まぁ、それもデュランがパペットで二重スパイだったから、ということだけど。

それにしても、ベイグラントの謀反を除けば、これまでの物語はすべて基本的にヘスターの手のひらで踊らされていた、ということだったわけで。彼女が、完全なるゲーマス。

ぶっちゃけ、ヘスターの側近ってもうみんなパペットじゃねえの?と思いたくなるくらい。
アルゴス小隊なんてみんなパペットじゃないの?
だったら、キースは超お笑いだけど。

ていうか、ここまでくると、ジョナミツだけでなく、ビリーやアイもパペットなのでは?
マカベ因子、というのは、都合のいい隠れ蓑なのでは?

とりあえずはそんな風思えてしまうくらい、ヘスターのゲーマス的万能感がハンパない。

しかもベイグラントの謀反に対しても終始冷静だし。
ベイグラントが意志をもって離反することすら、彼女のシナリオには最初から組み込まれている感じがする。

まぁ、赤い靴作戦というのがホントならば、絶対死守すべき5万人を除けば、残りの人類は誰の手で殲滅しても構わないので、怒り心頭のベイグラントがそのまま残りの人類を殲滅してくれれば、むしろ手間が省けるはずだし。

問題は、都合よく5万人だけ残すことがホントに可能なのかってことだけど。

それでも、そうでも考えないと、わざわざこの段階になってレゾンを起動させる意味が無いと思うんだよね。

ヘスターの意図が明らかにされる前までは、レゾンは、竜宮島の力と同等の力を手に入れてフェストゥム退治を効率的に進めよう、という、戦術的な意図が優先されていたように思えるけれど、

ヘスターの意図がわかった段階では、そんなことはまさに戦術的些事に過ぎなくて、大きな絵としては、つまり、戦略的には、最小エネルギーでフェストゥムと人類のほとんどを殲滅する、ってことだものね。

ことあるたびに、やたらと核を撃っていたのも、フェストゥムの殲滅よりもむしろ人類に対するコラテラルダメージの方が目的だったからなんだなー、と納得。要らない方の人類をいかにして効率よく消すか、というのが長期目標だったわけだから。ヘスターが人類軍や新国連を作った過程が今更ながら紹介されたのもそういうこと。

ついでにいえば、ことあるごとに溝口さんに「同じ人間を撃つのか?」とか、「お前らとフェストゥムと何が違う?」と糾弾させていたのも、そうことだったってことで。

ともあれ、そうするとヘスターから見れば、竜宮島なんてフェストゥムと人類が遺伝子的に交わった存在を生み出しているわけだから、殲滅して当然、ってことなのだろうな。

あと、竜宮島前史としてしばしば史彦たちによって語られる「人と戦った時の後遺症」というのも、瀬戸内海ミールと接触してしまった当時の日本も隔離し殲滅対象にせざるを得なかったということだよね。

うーん。

それにパペットを産み出す技術もミツヒロによって作られていたということだから、一期の時にはすでに、現在のようなヘスター体制は生まれつつあったということだよね。

で、一期最後のヘブンズゲイト作戦に乗じてベイグラントを確保することで、唯一、制空権を得た存在となったので、その情報の独占状態をもしかしたらアルタイルが崩してしまう、というのを恐れて、アルタイル襲来前に、地球上の残存ミールを互いに潰し合わせてヘスターたちが唯一アルタイルに対峙する構図を作りたかったんだろうな。

となると、レゾンは竜宮島を滅ぼすために作ったのか?

それでも相変わらずわからないのは、なぜヘスターはあそこまで真矢に執着するのか。今回たまたま真矢を拉致できたわけだけど、もしもアルゴス小隊が広登ではなく真矢を撃っていたらどうしてたのだろう。ジーベンは撃つな、という命令がくだされていたのか。あるいは、今回は、真矢を拉致せよ、という命令だったのか。このあたりは、描写が全然ないから、正直なところ、ものすごく都合よく、ご都合主義で話が進んでしまったようにしか思えないのだけどね。

有名な裏設定として、ファフナー世界の人類は、太古に到来した超古代ミールが手を加えて進化の階梯をのぼり、現在の人類に至っているということなので、純血種の5万人すらミールの息がかかっているということになる。

あるいは、本当にミール因子がないとしたら、むしろ、その5万人の方が変異体ということになる。まぁ、圧倒的希少性からすればマジモンで変異体なのだろうけどね。

で、どう見てもヘスター自身はその一人ではないだろうから、最後は自分も消滅するのか?
でもそうだとすると、なぜ後継者として真矢を取り上げたい、というようなことをほのめかすのか?
もしかしたらヘスター自身も、因子があることの方が人類としても自然であることに気づいてしまっているのだけれど、いまさら振り上げた手を下ろすわけにはいかないということで、自分が周りに示したプログラムを、自分自身も無意味だとわかった上で遂行しているのか?
だから、アルヴィスの子である真矢に望みをつなごうとしているのか? 

まぁ、アトランティス・ミールを手に入れたあたりで、超古代ミールの話とかミツヒロから聞かされていそうだしなぁ。今回の、ヘスターの回想が、新国連設立のところで終わっていたのは、その後の回想を後で入れる前フリなのかもしれない。

それにしても、この終盤に来て、いまさらながら、真矢に、総士や一騎と同様の物語的「業」を背負わせる展開になろうとは。

もっとも、序盤も序盤でジョナミツが登場した時点で、こうなることは物語構成上はすでに組み込まれていたんだよな。いや、まったく凄い構成力だよ。

ともあれ、おそらくはこのまま真矢と総士は竜宮島に帰投するのだろうし、そこから、第三アルヴィスに向かうということなのだろう。となると、今度は、織姫の予知に示されたように、第三アルヴィスで現在の一騎的状態になるのだろうか。

あるいは、真矢&総士組は、そのまま第三アルヴィスを目指すのだろうか。

しかし、そこでいまさら何が起こる?

ベイグラントがレゾンとともに乗り込んでくる。
その際には、ウォーカーも招集する。
一方、竜宮島組は、シュリーナガルミールの移植を第三アルヴィスに試みる。

そうなると、第三アルヴィスの占有権をめぐって、ベイグラントと竜宮島組が交戦するということになるのかね?

となると、だんだんただの怪しいおじさん、シュリーナガル教の狂信者wにしか見えなくなってきているナレインが何かやらかしてくれるのか?

あ、その前にむしろエメリーの弟、というか家族話が挟み込まれるのか。

何にしても、シュリーナガルミールについては、おそらくは世界樹の形態自体がゴルディアス結晶の走りだと思うので、そのあたりの秘密、というか意図を示して欲しいところ。

あ、そうなると、むしろ、弓子の暗躍になるのか?
真矢も戻ってくれば、久しぶりの遠見家勢揃いだし。

いずれにしても、ナレイン、エメリー、弓子、の真意が明らかにされる、ってことかな。

しかし、重たい話になってきた。
いや、今時、こんなしっかりした物語は他にはないので、全然オッケー、むしろ望むところだけどねw


しかし、冒頭の、人外喫茶「楽園」、笑えた。
あれはあれでいくらでも感想が書けてしまうのだけどw

とりあえず、操はミールでありコアであることが決定。
で、自分で戦闘の先陣を切る。
機体は、やっぱりドライツェンなのかな。。。
いっそのこと、すったもんだした挙句、操がレゾンを奪取してくれるといいんだけどw

ドライツェンはカノンの機体として、カノンによって再び動かされてほしいなぁ。
甲洋の例があるから、カノンの再登場にも期待してしまうのだが。

大穴で、操がゼロファフナーを使う、というのもあるのだけど。
前の操のミールを破壊したのはゼロファフナーだから、その記憶もあってフェストゥム的には模倣できるのかもしれないし。

あ、そういえば広登の帰還があった。
次回、クーラーボックスが帰ってきて、みんなどうするのか。
特に暉。
再び人類軍への憎悪を募らせるのか。
それとも違う方向を向かうのか。

で、暉と同じヤバメのポジションにあるのがビリー。
てか、ビリー、お前、流され過ぎだろう、いくらなんでも。
どうすんだよ、ホントに。

あ、キースは・・・・、どうでもいいやw
ヘスターのレベルで「戦う理由」、「戦える理由」を得た真矢に勝てるわけないしw

あとは、アイかぁ。
ジョナミツ用に、アトランティス・ミールがパペット?を作っていたようだけど、あれは模造品ってこと?それとも、アイももともとパペットで、ジョナミツに機体ごと破壊されたから再製造しているってこと?

それとも、本物の、人間のアイは、まだ生きていて再登場するの?
その場合は、ベタベタに、アイは地球を救う、になりそうでちょっとビビるw

しかし、ホント、面白い。

ただ単にロボが戦う、という話ではなく、そこにちゃんと理由がある。
もちろん、戦う理由に、主人公たちは当然悩むわけだけど、悩んだ上でエヴァみたいな自分探しの泥沼に陥ることなく、戦う理由を見つけてきちんと選択する。
勧善懲悪では決してない。
それぞれの理由で争わざるをえない理由も示される。
そこに抗う大人がいて、その大人を涼しい目で見ながら自分たちの意思を決める若者がいる。
ただの群像劇では決してない。
国家対国家とかイデオロギー対決とか、そんな枠組みは、はなからない。
あくまでも生存戦略が前提で、その意味では生物の進化のプロセス。
その進化のプロセス、種の分化のプロセスを、短い間にフェストゥムが実践する。
個体の発見、生と死のサイクルの取り込み、そして、どうやら今後は、性の分化を進めて単性生殖から脱し男女の区別すら生み出そうとする。
フェストゥムと人類は、安易に融合はしない。
けれども、両者の境界上に混合体は様々なグラデーションで発生する。
操、織姫、甲洋、総士、一騎、だけでなく、弓子、美羽、・・・、と続く。

いよいよ大詰めだけど、あと3話でどんな終幕を迎えるのか。
ホント、楽しみだな。

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