パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

「指揮者の使命」を読んで

2024年02月26日 09時28分32秒 | 

自分が羨ましいと思う能力は2つある
一つは抽象的な数学の式から宇宙の成り立ちを想像することのできる能力
もう一つはフルスコアから音響のみならず、作曲家の意図を読み取る能力

前者の能力を持っている人は、いつまでも正解が見つからず
本当は苦しくて仕方ないかもしれないが
後者はいつも音楽と接していられるのでとても幸せになれる能力と思える

ピケティの本の前に読んだのが「指揮者の使命」ラルフ・ヴァイケルト


指揮者と言われる人々は何を感じ、何を考えているかを文章で説明している
自分はスコアから音響を想像することはできないが、時々スコアを見ながら
音楽を聴くことはある

その時に感じるのは、スコアを見ている時の音楽と見ずに聴いている時の
音楽の印象が少し違うように思える
大好きなブルックナーの8番をスコア無しで聴いていると
作曲技術的なことには関心が払われず、それでも時々フトこのフレーズは
あの主題の変形か、、、などと思うことがあるが
スコアを見ながら聴いていると、そこに記された膨大な記録、もしくは構造物の
(それらは時間がかかって作られたものだろうと想像できる)
緻密さに驚いてしまう

指揮者は音がなっていなくても、自分の頭に音を想像することができる訳だが
それだけでなくテンポ、強弱、休符の意味等を自分の頭で作曲家の意図を探そうとする

指揮者は世間的には支配者のような存在と思われそうだが
現実は、いつもテストされている存在のようだ
それはオーケストラのメンバーはもう何度も演奏していて曲の隅々まで知っている
そこに例えば客演指揮者として登場するならば、オーケストラメンバーは
指揮者としての能力を疑いながら接するにことなっても不思議ではなく
実際に練習時に言葉による音楽の解釈とか指示をして、それで初めて認められるようだ

この本は現場での準備や、起きていることを一般人にも伝えてくれてるのだが
指揮者というのは傍目から見るよりはしんどそうな職業に思える

それでもやはり羨ましい能力の持ち主たちと思えてしまう
素人は、その特別な能力の持ち主たちの心情を
少しでも分かることで我慢するしかないかもしれない



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