ガラパゴス通信リターンズ

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熊、人に出あう

2008-08-22 08:20:35 | Weblog
 秋来りなば、冬遠からじ。これから冬眠に向けての熊の活動が盛んになる季節でございます。しかしなんですな。月の輪熊も最近はとんと弱くなったもんでございます。先日は、72歳の老人に胸をパンチされて、敗走した月の輪熊がおりました。さらにその前には、キャンプ地でテントを揺らしていたところ13歳の女子中学生にキックされて逃げ出した熊の話が出ておりました。この女の子は寝ぼけていて、妹がまたふざけてテントを揺らしていると思ったそうです。熊と間違われる…。どんな妹君なんでございましょうか。

 しかし、相次ぐ敗退は、熊の世界に大きなショックを与えたようでございます。「熊日日新聞」(略称 熊日)には、「熊、人間に惨敗」の大きな見出しが踊っておりました。「少女の次は老人に!揺らぐ熊の優位」という解説記事には、「最近の熊は生活圏のすぐそばに人間が住んでいるので、残飯をあされば食べるものに困ることがなくなった。昔のようなハングリー精神をなくしたことが人間に勝てなくなった一因」という識者の談話が載っておりました。いるんでございますね。熊の世界にも精神論を説く「識者」が。

 同紙の記事は、「人間の世界では中学生の女の子は部活で、老人はスポーツクラブで熱心に身体を鍛えている。それに対してわれわれは旧熊(ママ)依然。体格の優位にあぐらをかいていたつけがまわってきた。このままでは、人間に出会った時、熊の方が死んだふりをしなければならない時代が遠からず訪れるであろう」と結ばれておりました。

 「犬が人を噛んでもニュースにならないが、人が犬を噛めばニュースになる」という格言がございます。こうして人間の勝利が報道されるうちは、まだ熊の優位が続いているということでございましょう。熊が負けてもニュースにもならなくなれば、力関係は完全に逆転したといいわなければなりません。その時、熊の識者たちは憂い顔でこういうのでございましょう。「くまったものだ」。おあとがよろしいようで。