ユダヤ教は書き物の宗教です。
特に新約時代前後から4世紀にかけて下記のような文書が誕生していきます。
そして様々な律法解釈、日常生活への適用法が誕生していき、
律法学者が誕生します。
この学者たちは法律家であり、宗教家だったのです。
そしてモーセ律法以外にも慣習法がまとめられていきました。
1・ミシュナ
(ヘブライ語: 「反復」の意)です。
紀元前6世紀 - 後1世紀の時代にユダヤ教の指導者・ラビによって
行われたトーラーに関する註解や議論(口伝律法)を集成した文書です。
ユダヤ教ではモーセ五書に次いで重要とされています。
1世紀末から2世紀ごろにアキバ・ベン・ヨセフが集成し、
そののち3世紀頃にユダ・ハナシーによって引き継がれ集大成されました。
2・タルムード
(ヘブライ語:「研究」の意)。モーセが伝えたもう一つの律法とされる
「口伝律法」を収めた文書群です。
6部構成、63編から成り、ラビの教えを中心とした
現代のユダヤ教の主要教派の多くが聖典として認めており、
ユダヤ教徒の生活・信仰の基となっています。
ただし、聖典として認められるのはあくまで
ヘブライ語で記述されたもののみです。
他の言語に翻訳されたものについては意味を
正確に伝えていない可能性があるので、聖典とはみなされていません。
エルサレム・タルムード(英語版)と対比して
バビロニア・タルムード(ヘブライ語版)と呼ばれることもあります。
3・タルグム
(ヘブライ語: 解釈の意味、英語: Targum)は
ユダヤ教の会堂でヘブライ語の聖書を詠唱する時に、
各文章または段落ごとにヘブライ語が分からない会衆のために
彼らが理解できるアラム語で解釈することを意味します。
これは紀元前1世紀ごろ、ヘブライ語がユダヤ人の
学校・礼拝時だけの言葉になり、平素は親近関係にある
アラム語で生活するようになったので、こうした習慣ができたようです。
そしてタルグムを書くことは、初め禁止されていました。
紀元後1世紀中葉にはタルグムの書き物が出始めても、
宗教指導者たちは正式なものと見なさなかったのですが、
その後、バビロニア・ユダヤ人がタルグムを正式なものとして
認めるようになり、現在でも、イエメン・ユダヤ人の礼拝には、
タルグムが典礼に入っているようです。
4・ミドラシュ
ヘブライ語で、「捜し求めるもの」の意味。
聖書解釈法「デラーシュ」と、そこから誕生した文学ジャンルの一つです。
デラーシュとはミクラー註解法の一つで、意味の解説、
隠れた意味を探るなど、決して字義通りではない聖書解釈のことをいいます。
しばしば、文字に書かれていること(ペシャート)とは
まったく異なった内容の解釈を引き出すこともあります。
・ミドラーシュ・ハラーハー
トーラー(創世記を除いた4書)のタナイームの注解書群。
タルムードとは関係がないものです。
・ミドラーシュ・アッガーダー
(「語りのミドラーシュ」、物語ミドラーシュ):5世紀から16世紀に亘り、
膨大な数のミドラーシュが誕生しました。
単にミドラーシュといえばミドラーシュ・アッガーダーを
指すようになっています。
トーラー・シェベアル=ペの成文化された形ともいわれています。