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安田由久が驚くべき聖書の世界をご案内します

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2024-09-10 04:00:00 | 修道院の断食・医術・ハーブ
修道院の医学では、解熱、鎮痛作用があるハーブであり、

万能薬と称賛されています。

特にインフルエンザに好んで飲まれています。

また風邪の予防薬としても利用されています。

学名は、「Sambucus nigra」で英名は、

Elder Flower、和名は西洋ニワトコといいます。

イギリスの田舎を歩くと、エルダー(西洋ニワトコ)の

木を生け垣に使っているのをよく見ます。

そしてエルダーは3mを越すこともあるスイカズラの科の高木で、

若い枝の芯が抜きやすいためパイプツリーの名がつけられています。

学名の「サンブカ」という名はギリシアで用いられた

トロンボーンに音色の似た楽器からつけられており、

また、エルダーという言葉はアングロサクソン語の「エルド(炎)」

から来ています。

芯を抜いて中空にした木を、火を起こすのに用いたためと言われていますが、

その一方で、炎という言葉はメディカルハーブとしての対象者の

症状を表しているとも考えられます。

つまり激しいアレルギー症状を起こし、

カタル(粘膜の炎症)と呼ばれるくしゃみ、

鼻水、涙目などが手のつけようがないほどひどくなった状態を

このハーブは鎮めてくれるからです。

そのため、欧米では「インフルエンザの特効薬」

との呼び名も広まっているほどです。

有効成分としてはルチン、クエルセチンといった

バイオフラボノイド(ビタミンP)やビタミンC、それにパルミチン酸、

リノール酸、リノレン酸などの脂肪酸を含みます。

バイオフラボノイドは植物に広く見られる淡黄色の色素成分で、

エルダーフラワーやリンデン(西洋ボダイジュ)の色が示すように、

これらの植物に多く含まれています

(ちなみに、リンデンも幼児のインフルエンザなどに発汗作用や

抗アレルギー作用を期待して用いられます)。

アレルギーを起こすと毛細血管がもろくなって、

それが広がってしまうため“どうにも止まらない”状況に陥るのですが、

バイオフラボノイドは毛細血管を丈夫にして

アレルギーが広がるのを防ぐ働きをしてくれるのです。

また、ビタミンPはビタミンCと一緒に摂ると相乗効果を発揮します。

レモンの輪切りを考えると果汁にはビタミンCが、

そして房のところには淡黄色のビタミンPが多量に含まれているように、

自然はビタミンPとビタミンCをすでに“ブレンド”しているのです。

エルダーフラワーにも、ビタミンPの他にビタミンCが含まれているため

相乗効果が期待できます。

ただし、炎症によってビタミンCは消費されてしまうので、

さらにビタミンCを補給するとなお良いことになりますから、

エルダーフラワーとローズヒップのブレンドをお勧めしたいと思います。

さて、エルダーフラワーはマスカットの風味を持ち、

大変おいしいハーブティーとしても知られていますが、

このおいしさと効能を生かした飲み物がコーディアルと呼ばれる飲料です。

エルダーフラワーコーディアルは花を砂糖とともに煮つめた花汁シロップで、

ハチミツやレモン、ジンジャーなどで風味を整えます。

最近では日本でも入手が可能になり、かぜのひき始めや

花粉症の症状に効くヘルシードリンクとして広まりつつあります。

冷水で割っても楽しめますが、効果を期待する場合はお湯で割って

飲むことをお勧めします。

メディカルハーブの基準を定めたドイツのコミッションEモノグラフでも、

できるだけ熱くして飲むことを勧めています。


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