普請道楽

建築家との普請の記録のためのブログ。
しかしすでに家も建ち、今では徒然なるまま感じたことを書く「日日雑記」であります。

無伴奏チェロ組曲

2008-06-13 02:14:11 | 観た、聴いた、読んだ
仲間を送り出すことは、様々な心のざわめきを呼ぶ。
辛いし、切ない。
仲間を失って、これからやっていけるのか不安もある。

瞬間瞬間、感情が大きく揺さぶられる。

バッハに、「無伴奏チェロ組曲」という壮絶な名曲がある。
チェロひとつで、起伏にとんだ情感を表現する難曲中の難曲。
今の僕の気持ちは、まさにその「無伴奏チェロ」のようだ。

これまであまたのプレイヤーがこの難曲に挑んだ。
しかし名演奏は一握りだ。
中でも僕が、個人的に好きなのはミッシャ・マイスキーの演奏だ。



ラトビア出身のユダヤ人。
旧ソビエト連邦、22歳で強制収容所に送られるなどその人生は起伏に富む。
そうした波瀾万丈を経て、30代半ばでこの組曲は録音された。

一般的には、カザルス盤が良いとされる。
しかし若きマイスキーがその情熱を傾けて望んだこの盤には、カザルス盤にはないまっすぐな感情表現がある。
時に、激しく、時に切なく、そして時に壮絶に美しい。

今はあまりに忙しいが、時間が出来たらゆっくりと時間をかけてこの曲と向き合いたい。
そして自分の感情を解き放ち、前に進むための力に変えたい。