こばなし

日々のよしなしごと

「誰でも、みんな、愛される価値があるのよ。」

2010年04月25日 | 映画
1987年、ニューヨーク・ハーレムのゲットーに、
その少女は暮らしていた。

精神的、肉体的虐待を続ける母親の
身の回りの世話をさせられ、
さらに、父親からの性的虐待により、
2人の子どもを出産していた。

映画『プレシャス』は、
そんな、16歳の少女、
クレアリース“プレシャス”ジョーンズの物語だ。

この映画は、第82回アカデミー賞で、
ジェフリー・フレッチャーが、脚色賞、そして、
映画史上最悪ともいえる母親を演じた
モニーク(Mo'Nique)は、
ゴールデングローブ賞と同様、
助演女優賞を受賞した。

さて、最悪の母親を演じたモニークが、
アカデミー賞授賞式の後の記者会見場に登場した。
そこで、1人の女性リポーターが、
モニークに、こんな質問をした。

「まったく酷いメアリー・ジョーンズ(母親)ですが、
 あなたと共通する部分を見つけることはできましたか?」

どういうつもりで、こんな質問をしたのかは知らないが、
このリポーターは、その後、ちょっと後悔したかもしれない。

「そうね。最後のシーンでね。」

モニークは、そう答えると、質問したリポーターをにらみつけ、

「私からも質問するけど、あなたには、今までに、
 誰からも愛されなかった真っ暗な日々はあった?」

あっけにとられ、黙っているリポーターを指さしながら、

「あなたに質問をしているのよ。」

「はい」

リポーターは、そう答えた。

「その時、誰かに、愛してほしいと思った?」

「はい」と、
リポーターは答えた。

「わたしも、同じよ。」

そして、モニークは続けた。

「まったく酷いメアリー・ジョーンズだって、
 人とは言えないような彼女だって、
 たとえ犯罪者でも、
 何も愛する部分がないように見える人だって、

 誰でも、みんな、愛される価値があるのよ。」

史上最悪の母親を演じ切った、
女優であり、コメディエンヌのモニークは、
そう語った。



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関連リンク

映画『プレシャス』公式サイト(日本)
http://www.precious-movie.net/

Backstage Interview | 82nd Academy Awards
Actress in a Supporting Role
http://www.oscars.org/press/transcripts/text/04b.html

Oscars 2010: Few surprises, but a bit of history
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/8555194.stm



mixi内コミュニティ『世界の肖像』より転載

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