残照日記

晩節を孤芳に生きる。

妻の一年忌

2011-07-22 16:51:47 | 日記
○風蘭のゆれて妻思(も)ふ一年忌  楽翁

∇私事ながら、今日は家内の命日。こゝまで来るには色々あったが、過ぎてみれば、あっという間の一年だった。早暁より車を飛ばし、浦和にある霊園に向かった。今日、猛暑は一休み。お蔭で涼しい中での墓参を済ませた。数日前から老生の末弟、友人・知人たち、そして家内生前の「お仲間」グループ、今日も仙台の「うまのすけ」さんやM・Iさん等々が、忌日を覚えていてくれて、香華や供物そして便りの数々を。──改めて有難さに手を合わせた次第である。

∇難聴の老生が聞き取れた、家内の最後の言葉は、「皆、優しかったよ。あいがとう(有難う)」だった。老生「よかったね」家内「(頷く)……」。それから一週間後、疼痛に耐えてきた家内の顔に精気と安らぎが戻り、やがて身体全体を揺すぶるような深い呼吸と眠りの状態に入った。そして7月22日午前8時45分、さながら京都市太秦広隆寺に鎮座まします、かの弥勒菩薩の如き穏やかな表情で他界した。享年58歳だった。老生にとって、かけがいのない、人生最良のパートナーだった。生前沢山の素晴らしい先輩・友人知己に恵まれ、愛された家内。そして終末に施された優れた医師団・看護師・ヘルパーさんらによる手厚い看護や介護の数々。本当に皆々様「あいがとう」ございました。妻よ、天地の大部屋に大の字になって、永遠の偃息を堪能していて欲しい。老生ももう少しこちらにいて、時至れば、そちらに行く。準備は万端整えてあるよ。もっとも、二度と会うことはなかろうがね……。そう/\、キミが友人から株分けして頂いて、玄関前の樫の木に移植した「風蘭」が、心地よさそうに風にゆら/\揺れていた。(写真)