残照日記

晩節を孤芳に生きる。

政治改革Ⅸ

2011-07-04 19:33:49 | 日記
【最新の全国世論調査】(7/4毎日・読売、6/27産経より)
≪退陣時期≫:早期に+8月末までが71%(毎日)、72%(読売)、64%(産経)。≪内閣支持率≫:19%(毎日)、24%(読売)、23%(産経)。≪政党支持率≫:民主党13%、自民党16%、支持政党なし54%(毎日)。≪次の首相に誰が最もふさわしいと思うか≫:前原誠司前外相14%、枝野官房長官12%、自民党の石破政調会長10%。小沢一郎元代表8%、岡田幹事長7%、野田財務相4%。自民党では石原幹事長8%が2番目、谷垣総裁は4%だった。>(読売)。≪菅首相の評価≫:<大震災や原発事故への対応に「指導力を発揮していない」が82%、61%が退陣発言を「延命の口実としている」。一方、首相の原発依存度を減らす方針は68%が「評価する」。次期衆院選で「脱原発派」かを重視するとの回答も58%で、首相の「脱原発」方針が一定の支持を得ていることが明らかになった。>(産経)。≪政治空白≫:<現在の国会情勢に対して回答者の9割が「政治空白が起きている」。政治空白の一番の責任は「民主党など与党」が29%、「菅首相」が24%、「自民党など野党」も23%だった。>(産経) 注:数字は四捨五入。

∇約7割の回答者が、菅直人首相は8月末までに退陣すべきだと思っている。8割の人が大震災・原発事故対応を批判。ただし6割以上の人が、日本の脱原発方向には賛成。国会情勢に対し、“政治空白”が起きていると9割の人が答え、その責任は首相、民主党、そして野党側それぞれに同程度ある、と。「支持政党なし」が相変わらず5割台で、民主・自民支持率が2割前後と、統計上の有意差はない。次期首相候補には前原・枝野・岡田がやゝリード、自民党の石原、殊に谷垣総裁の人気は依然低い。──大雑把に読めばこういうことだろう。マスコミが折々行なう「緊急アンケート」は、細かい数字に気を取られる必要はない。大まかな傾向をつかめばよい。内閣支持率一つとっても、19%(毎日)~24%(読売)までばらつくのだから。「世論」を裏付けるように、政治に大きな失望感をいだいている福島の高校生の様子が、3日の朝日「声」欄に届いている。≪政治経済の授業で生徒たちに「いまの世の中について思うこと」を書いてもらったところ、以下のような嘆きが相次ぎました。「もう少し政治がまともに機能してほしい」「こんな時に政権争いしている政治家は消えてしまえばいい」「政局優先で復興が進まないのは困る」「なぜ政治家の皆さんには東北が見えないんですか」「世の中を悪くしているのはきっと政治家だ」……そして「小学生が、首相になりたいと思える世の中になってほしい」と。…福島県郡山市 高校教員 熊谷彰彦氏≫

∇さて、当ブログは、こうした世論を形成する「橋渡し」役たるべきマスコミや、有識者・専門家を取り上げ、偏狭・固陋化して公平性を欠き、空疎なる常套語を以て政権批判して、独りほくそ笑む評者たちを、義憤已むなく批判している処である。昨日はシャシャリ出たがり屋・香山リカ女史を、今日はもう一例として五百旗頭氏を。先ずは以下の記事を読んでみて欲しい。≪「首相は組織的対応が苦手」五百旗頭・復興会議長が批判──東日本大震災の復興ビジョンを練った菅政権の「復興構想会議」議長の五百旗頭(いおきべ)真・防衛大学校長が2日、大阪市内であった社団法人日本私立大学連盟の学長会議で講演し、震災や福島第一原発事故への菅直人首相の対応について「組織的な対応が苦手」と批判した。 有識者や被災地の首長らでつくる復興構想会議は4月に発足。五百旗頭氏は先月25日に復興策をまとめた会合で、「菅内閣は(復興構想会議に対する)完全な自由を保障し、いかなる介入もなかった」と菅首相を評価していた。 五百旗頭氏は講演で、1995年の阪神大震災の発生時に当時の村山富市首相が閣僚らに復興対策を一任したことを挙げ、「菅さんは一人でいろんな指示を出し、新しい組織をつくって自分で出て行く」と指摘。「日本の弱さはトップの国家戦略的観点に立った思考が足りないこと。トップリーダーを養成する教育の役割は大きい」と述べた。…≫ (7/3朝日新聞)

∇この記事の中で、問題とする処は、①≪先月25日に復興策をまとめた会合で、「菅内閣は(復興構想会議に対する)完全な自由を保障し、いかなる介入もなかった」と菅首相を評価していた≫のに、(社)日本私立大学連盟の学長会議では、手の平を返して、≪「菅さんは一人でいろんな指示を出し、新しい組織をつくって自分で出て行く」と指摘≫して批判していること。②しかも、それをさも裏付けるかの如く、阪神大震災の発生時当時の村山富市首相を比較対象としたこと。③≪「日本の弱さはトップの国家戦略的観点に立った思考が足りないこと。トップリーダーを養成する教育の役割は大きい」と述べた≫こと等である。先ず、①の復興構想会議進行中は菅首相を持ち上げ、会議が終わってしまえば、「実は……」と言う、阿諛迎合から一転して誹謗中傷するような" “面従腹背”男の狡猾さは、断じて許せない。又、そんな男の意見は、事情次第でくる/\変わるので「信」が置けない。②に関しては、似非評論家が使う「こき降ろし定石」みたいなもの。菅首相の不手際を強調するために、“阪神大震災の対応の良さ”(?)を誇張して持ち上げる。当時の新聞を確認してみたまえ、「初動ミス」「内閣の不手際」に関する膨大な批判時評に溢れていることを! それとくどいようだが、この度の「関東東北大震災」と「阪神大震災」を同列に置いて比較すること自体の浅慮・偏狭・固陋さを払拭せよ!

∇③の先ず、≪「日本の弱さはトップの国家戦略的観点に立った思考が足りないこと」≫。これこそ似非評論家らが使う抽象的で空疎なまやかし言葉。「日本の弱さ」とは一体「日本の何の弱さ」か? それは具体的にどんな事実から、どういう基準・事例と比較してそう決め付けられるのか? しかも「国家戦略的観点に立った思考」とはこれ又、具体的に何を指し、過去或は現在の世界各国に於いて模範とする事例を例示できるのか。そういう「思考」を補助するために有識者の知恵を借りる会議が多々用意されるのではないか。まさに五百旗頭氏が政府から依頼された「復興構想会議」こそが、それを具現化する場ではなかったか。自分が率いた会議の内容に、ウームと唸って膝を叩く「国家戦略的観点」はあったのか。「減災」を掲げ高台移転する。東北に「復興庁」を置き、「東北を世界のフロンティア」とする。東北大学などに世界の人材を集結し「知の拠点」とする。「特区手法の活用」「自然エネルギー利用促進」そして「基幹税を中心とした臨時増税措置」等々。これらのアイデアは、わざわざ大仰な復興会議をせずとも、それまでの新聞記事の切り抜きを集めただけでも立案できる凡庸な内容であった。「声」欄には<政府の復興構想会議は答申の中で、復興財源について、臨時増税を主張している。大半が経済の素人の集りであるこの会議の答申には納得できない>(福島市 アルバイト氏)他、復興財源について、「先ず増税ありき」を前提とした、何ら新発想のない答申に批判が集中している。自分を差し置いて、他者を睥睨した物の見方でこき降ろす。こんな有識者・専門家こそが、日本の政治の質を格下げしていることを再々指摘しておきたい。悪口は一旦こゝまでとしよう。明日又!