残照日記

晩節を孤芳に生きる。

政治改革⑱

2011-07-15 18:06:38 | 日記

≪菅内閣支持、最低の12%=68%「退陣不明確に納得せず」─―時事通信が7~10日に実施した世論調査によると、菅内閣の支持率は前月か9.4ポイント急落し12.5%となった。2月の17.8%を下回り、2009年9月の民主党政権発足以降、最低を更新した。不支持率は11.6ポイント増の71.2%だった。退陣を表明しながら時期を明確にしない菅直人首相への不信に加え、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働をめぐる政府内の混乱などが響いたとみられる。首相の一段の求心力低下は必至だ。首相が退陣時期を明らかにしていないことについて、「納得できない」が68.7%で、今後首相に望む行動については「直ちに退陣」が37.6%で最多。一方、政党支持率は、自民党が15.0%、民主党が10.0%。以下、公明党3.3%、共産党とみんなの党1.1%、社民党0.3%、たちあがれ日本0.2%。国民新党0.1%。支持政党なしは67.4%だった。…≫ (7/14時事世論調査)

∇昨日述べたマスコミ全体を覆う「菅おろし空気」そのものが、世論調査の分析に漂っている。最早菅内閣は風前の灯、時間の問題なのだ! やらなくても分かっていることを更にほじくり出し、追い討ちをかけただけの世論調査に終わっている。内閣支持率が最低になるだろうことは「想定内」で、誰も驚かない。そんなことより、こんな重要なターニングポイントの時期に、支持政党なしが67%にものぼることや、自民支持率がわずか15%、民主党が10%であることの「民意」をどう汲み取り、与野党は次をどうすべきなのか。何も提言がなされていない。又、内閣支持率が最低を更新した理由に、≪退陣を表明しながら時期を明確にしない菅直人首相への不信に加え、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働をめぐる政府内の混乱などが響いたとみられる≫とあっさり片付けている軽薄さよ! 松下秀雄政治担当論説委員の「社説余滴」記事、≪「菅おろし」にみる政治の病≫に、≪ふだんは立場の違う政治家やメディアなどが寄ってたかって引きずりおろす様子は、溺れる犬をたたくようにみえて気にくわない。こんなやり方に、日本政治の病理が見える。≫とあったが、その「病理」の弊害の一番危惧される点は、≪寄ってたかって引きずりおろす≫ことだけに目が向いて、如上の如き「他の重要な問題点」をないがしろにしてしまうことにある。

∇もう一つ例示すれば、≪最低を更新した≫理由にあげられている、≪九州電力玄海原発の再稼働をめぐる政府内の混乱などが響いたとみられる≫という指摘についてだ。時事通信の分析は、飽くまでも、政府内の混乱のみに目がいき、「世論操作」という大罪を犯した「やらせメール」、≪玄海原発、県民説明会 やらせメールで賛否逆転──「世論誘導は傲慢」地元憤り≫(7/13読売)について一言も言及されていない。総じてメディアは、「菅おろし」に興味が偏り、佐賀県知事や玄海町長への同情が過ぎる。この点、14日付「天声人語」の次の皮肉は急所を突いている。≪知事は九電マンの父君を持ち、同社も支援し当選、九電幹部の個人献金を受けてきた。玄海町長も親族の建設会社が、九電から50億円を超す工事を受注してきた仲という。あらら九電ファミリーと知れば、再稼働に前のめりだったのに合点がいく。住民の安全より自らの選挙や商売を案じているとは思いたくないが、板挟みへの同情はおのずと色あせよう。≫ 又、昨日の菅首相会見に関する社説比較で、読売や日経が、≪コストも高い。燃料費がかさんで電力料金が上がれば、産業の競争力低下を招く。工場の海外移転による空洞化も加速して、日本経済は窮地に立たされかねない。≫(読売)と、原発以外の代替エネルギーの高コスト化を過大に懸念する文章があった。未だに確かなコストシミュレーションもなされていないのに、だ!

∇「再生可能エネルギー特別措置法案」が審議に入った。NHKニュースは、≪14日の質疑で、民主党の平智之氏は「買い取り制度の導入は、エネルギー自給率の向上や地球温暖化対策に資する効果がある一方で、電気料金の上昇という形で国民に負担が生じる。制度の施行に際して国民に丁寧な説明を行い、十分な理解を得ることが不可欠だ」と指摘した。一方、自民党の近藤三津枝氏は「法案には経済界から『国民生活や産業競争力に悪影響を与える』といった反対意見が多く出されている。電力を使用することで成り立っている産業に配慮がないこの法案を、本当に意義のある政策と考えているのか」とただし、慎重な審議を求めていく考えを示した。≫と報じている。こゝで、将来の日本の安全を考えた場合、標準世帯約150円/月の≪電気料金の上昇≫は、現在のように節電意識が高まっている状態で、実質家計上どれほど影響するのか。又、≪経済界から『国民生活や産業競争力に悪影響を与える』といった反対意見が多く出されている≫、という「国民生活や産業競争力に悪影響を与える」事実を列挙し、具体的にどのような影響をもたらすかを、自民党内で徹底検証してみたのか。etc etc。「菅おろし」ばかりに目が向いて、非科学的な「空気」に押されて、重要法案を流してしまわぬよう、合理的事実認識を以て「熟議」する国会に戻したいものである。昨日「声欄」にも、「程よく水を差す」優れた投稿が載っていた。一読熟慮してみようではないか。

【辞めさせれば、それでいいか】会社員 佐々木雄二47歳
≪菅直人首相を辞めさせようという声が大きい。納得のいかない所業続きの現状では、それも理解できる。しかし、それでいいのか。本当の目的は菅首相を辞めさせることではなく、次の政権で国民が幸せになることのはずである。だが、次の政権が菅政権よりもいいという保証はない。今の政界を見ると、どの政党の誰が政権を担っても、期待はできそうにもない。議論すべき課題を解決しようとせず、菅政権の過ちを非難し一刻も早く辞任せよと言うばかりだからである。いまなすべきことは、どんな日本にしたいのかを議論したうえで、それを目指して突き進む次のリーダーを早く、しかも熟慮のうえで選ぶことである。国民が熟慮して選択できる状況になるまでは、一年くらいは菅さんに頑張ってもらっていい。頻繁にリーダーが代るのはもうこりごりだ。議員たちは、菅首相を非難する時間があったら、自身の日本再生ビジョンを示してほしい。私は政党にも派閥にも興味はない。目の前の課題と将来をしっかり語れるリーダーと議論したいのだ。次の政権を目指す志のある政治家はさっそく明日から国民に訴えてほしい。議論しよう、今は結論を急ぐ必要はない。≫