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 何年か前の新聞記事 070110

格差社会を考える

2007-01-17 10:29:33 | 評論
'06/3/9の新聞記事から

格差社会を考える
大阪大教授 大竹文雄さん
所得再配分機能強化を

所得といっても賃金や生涯所得などいろいろあるが、年間所得に限ってみれば、世間で騒がれているほどには格差は拡大していないというのが私の結論だ。
統計的に所得の不平等度を測る指標であるジニ係数は、1980年代半ばから格差の拡大傾向を示しているが、年齢層ごとに分析してみると、同一年齢層内の拡大傾向はほとんど見られない。
ジニ係数は見かけ上の傾向を示したにすぎない。

高齢化進み拡大
なぜ、そうした数値がはじき出されるのか。
第一に人口の高齢化がある。
同一年齢層内の所得格差は年齢が高くなるにつれて大きくなる。
高齢化により、もともと所得格差の大きいグループの比率が相対的に大きくなり、社会全体の不平等度が増した。
さらに、世帯所得が少ない単身世帯が増えたのも、見かけ上の所得格差を広げる原因になっている。
ただ、最近になって、見かけだけではない所得格差の拡大傾向が、30歳未満の若年層で見られる。
これは、フリーターの増加が大きな原因だ。
フリーターが増えたのは一義的には不況の影響なので、今後景気回復が続けば、ある程度、格差は改善されるだろう。

学歴の違いでも
若年層では2000年以降、学歴の違いによる賃金格差も徐々にだが広がる傾向にある。
これは、技術革新や経済のグローバル化による構造変化の影響が考えられる。
もしそうだとすると、景気が回復しても、そう簡単にはこうした格差は元に戻らないかもしれない。
また、親から受け継いだ遺産などを含めた生涯所得についても、緩やかな拡大傾向がうかがえる。
少子化に伴って子供が親から受け継ぐ資産額が大きくなり、どんな親を持っているかの違いが、子供の教育、将来の経済力に大きく影響するようになってきている。
90年代以降は所得税の累進税率の傾きを緩めるなどした結果、高所得者から低所得者に所得を再配分する社会的機能も低下した。

階層化招く社会
今の日本のような成熟した社会は、階層化を招きやすい。
そのため、人生のスタート時点では、なるべく平等になるような政策が必要になる。
公教育の質を高めて、教育費を下げるなどのほか、相続税率を引き上げるなど所得の再配分機能を強化する必要もあるだろう。

など評論している。



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