’08/10/24付朝刊記事から
北大でエボラウイルス研究に取り組む 高田
感染者の大半が死に至るエボラ出血熱。
野生動物の体内に潜むウイルスが原因で、アフリカで流行を繰り返すが、まだ有効な治療法がない。
北大人獣共通感染症リサーチセンターの副センター長として、この謎の“殺人ウイルス”の解明に挑む日本の第一人者だ。
2年前からアフリカのザンビア大学と共同で、エボラウイルスを媒介する野生動物の特定を進める。
「ジャングルでコウモリやサルを捕獲し、血液や臓器から生きたエボラウイルスを探す。実に地道な仕事です」。
フィールドワークの一方、危険性の高いウイルスが扱えるカナダの研究施設で、病気を引き起こすメカニズムやワクチンの有効性を調べる実験を続けている。
エボラウイルスとの出合いは12年前。
留学先の米国の病院で、日本のエボラウイルス研究の権威、東大医科学研究所の河岡義裕教授が指導教官だったのが縁だ。
新型インフルエンザの関心の高まりで、市民向けイベントで話す機会が増えている。
「媒介する野生動物を特定し、その生物と人間の接触を防げば、感染症は怖くない」と研究の必要性を説く。
北大獣医学部研究科博士課程から東大医科学研を経て、2006年3月から現職。
東京育ちだが、両親が北海道出身のため「北海道は第二の故郷」と話す。
妻と札幌で2人暮らし。39歳。 (河村史子)