’08/10/27付朝刊記事から
アフガンへ 陸自派遣を 米が医療任務打診
日本は回答留保
【ワシントン26日共同】米政府が7月、アフガニスタン本土での「テロとの戦い」への貢献策として、陸上自衛隊を現地に派遣し、各国軍兵士らの治療など医療任務をできないか検討するよう日本側に要請していたことが26日までに分かった。
複数の日米関係筋が明らかにした。
日本側は憲法上の制約などから慎重姿勢を示し、議論は事実上の棚上げ状態。
治安悪化が続くアフガンの情勢次第で米側が再考を求めてくる可能性もあり、日本政府が難しい対応を迫られる局面も予想される。
国防総省当局者は取材に対し「米国はアフガンでの取り組みを拡充させる。同盟国にも同様の行動を求めており、日本の(インド洋での給油活動以外の)追加的役割も歓迎する」と、実現に期待感を示した。
関係筋によると米側は、陸自医官らを中心とする医療部隊の編成を要望した。
陸自の大型輸送ヘリコプターCH47や航空自衛隊のC130輸送機で医療部隊を運び、米軍や国際治安支援部隊(ISAF)兵士らの治療に当たる任務を想定している。
7月に訪日したウィルクス国防副次官補(中央アジア担当)が外務、防衛両省幹部らに持ち掛け、関係者の間で「空飛ぶ救急車」案と呼ばれた。
欧米は以前、日本に兵士や物資の輸送任務を求めたが、福田康夫前首相が断念。
医療任務はその代替案と位置づけられる。
自衛隊の活動地域を直接の戦闘地域から遠ざける配慮もうかがえる。
ただ実現には新たな法整備が必要となる上、治療した兵士が再び戦場に戻って戦闘に参加すれば、憲法が禁じる「他国の武力行使との一体化」に抵触する恐れもあり、日本側は回答を留保した。
各国のアフガニスタン派遣
北大西洋条約機構(NATO)が指揮権を持ち、アフガニスタン本土で治安維持に当たる国際治安支援部隊(ISAF)の規模は約40カ国の計約5万人。うち英国は8300人、ドイツは3300人が参加。
米国はISAF要員と、米中枢同時テロへの反撃として始まった米軍主導の「不朽の自由作戦」(OEF)に合わせて3万3000人を派遣し、さらに最大5700人の増派を表明している。
ドイツも近く1000人を増派する。
海上自衛隊はOEFの一環として、テロ組織などの海上取り締まりに従事する各国艦船に燃料や水を無償で提供している。 (ワシントン共同)