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080617 東シナ海ガス田 日中共同開発で合意

2015-10-28 19:44:35 | 政治
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’08/06/17の朝刊記事から

東シナ海ガス田 日中共同開発で合意
利益は出資比率で配分


日中両政府は16日までに、東シナ海の天然ガス田開発問題に関して、境界線問題は棚上げし共同開発することで最終合意した。
①日本側が主張する排他的経済水域(EEZ)の境界線「日中中間線」の中国側海域も共同開発の対象とする
②中国が単独開発している「白樺」(中国名・春暁)を含むガス田にも日本側が出資し一部権益を受ける
③利益は出資比率で配分するーなどの条件で折り合った。
日中外交筋が明らかにした。


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両政府は週内にも正式発表する方針。
最大の懸案だったガス田問題の決着で、5月の首脳会談で合意した「戦略的互恵関係の包括的推進」に弾みがつきそうだ。
日中外交筋によると、共同開発で合意したのは「白樺」のほか、「楠」(中国名・断橋)、「翌檜あすなろ」(同・龍井)などのガス田周辺海域。
具体的な共同開発区域を設定し、双方の民間会社に天然ガスの採掘を発注する。


“DCP_0206"

複数の国が天然資源を共同開発する場合、対象海域の主権国が有利となるよう利益配分するのが通例だが、今回は日中が対立している境界線問題を棚上げするため、出資比率に応じ配分することになった。
日中中間線の中国側海域にある「白樺」については、中国が日本の権益取得を認める代わりに、日本側海域でも今後共同開発を進めることになった。


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080616 新しいグローバリズムへ 均等な配分と魂の安定

2015-10-19 10:40:32 | 評論
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’08/06/16の朝刊記事から

新しいグローバリズムへ 均等な配分と魂の安定
    

法政大教授 田中 優子



1998年に刊行された渡辺京二著「逝きし世の面影」は今こそ読むべき本ではないだろうか。
当初は江戸時代論として迎えられたが、今読むと「私たち日本人にとってしあわせとは何だったのか」と、ふと立ち止まって考えてしまう。
著者は、幕末から明治の日本を記録した外国人たちのまなざしの中に、にこやかに満ち足り、笑い上戸で冗談が大好きで好奇心あふれる日本人たちを見た。
それは今の、金を稼ぐことにやっきになっている日本人や、過労死と老後の不安とワーキングプアに苦しむ日本人とは、ずんぶん異なっている。


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幕末の庶民のほうが、ずっと貧しかったはずだ。
病気も簡単には治らなかった。
幼児死亡率も高い。
しかし、そこここに見られる落ち着きや満足感や笑いから、「しあわせ」という言葉が浮かび上がってくる。
明治以降の日本人たちは、いったい何を目指して頑張ってきたのだろうか。
記録というものはどこに注目するかによって、驚くべき発見があるものだ。
そしてこの発見は、私が江戸時代の文学を通して感じていた日本人像と大きな差はなかった。
そしてまた、私が子供のころに知っていた大人たちとも重なっている。




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高度成長で喪失
私は高度経済成長期に大人になった。
下町の長屋に生まれ育った私は、自分を貧しいとは思っていなかったが、他人と「比較する」ようになって初めて、貧しかったのかもしれない、と気づいた。
それでも卑屈にはならなかったし、さまざまな民族がいた横浜で、差別すら知らなかった。


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むしろ大人になって気づいたのは、日本の高度成長のただ中で私は何かを失ったのではないか、ということだった。
この喪失感が、後に江戸文学を研究するひとつの動機になったのだと思う。
藤原新也氏は「東京漂流」で、生まれ育った門司の旅館が開発のために壊され、そこを立ち去ってゆく時のことを書いている。
私はそのくだりを読むたびに不覚にも涙ぐむのだが、それは私の経験と重なっているからである。


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多くの人が高度成長のなかで、何らかの喪失を体験しているのではないだろうか。
それはあの、少々のことでは動じない人々の安定感と笑いと知恵、他人の生活と自分の生活とが截然せつぜんとは途切れていない不思議に空間、そして、動植物と人間とが入れ込み合ったような生き方ではなかったろうか。
それらはすでに遠い。




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わずかな望みも
論語に、「うれへずしてひとしからざるを患ふ。貧を患へずして安からざるを患ふ」という一節がある。
国の長は、土地や人口や物が乏しいのを憂えるのではなく、配分が均等でないのを憂えるべきであり、貧困ではなく、人の心が安んじていないのを憂えるべきだ、というのだ。
なぜなら、均等であれば人々は自分が貧乏だと感じることはなく、心が安定していれば人は互いに和することとなり、人口が少ないことを心配する必要もなく、国が傾くこともないからだ、と。


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これが、江戸の思想の基盤となった儒学の価値観である。
「既に富めり、また何をか加へん」ー生活が安定したら、その上何を加えるべきでしょうかと問う弟子に、孔子は「それは教育だ」とも言っている。
ここで言う教育とは、思想つまり人間としてどう生きるかを学び考えることだ。
さらに富を求めることではない。
人がどうあるべきかを考え、均等な配分に努力し、人の心が安定する方途を探る、ということなのだ。


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幕末、アメリカは自分たちの捕鯨の足場と市場を求めて日本に開国を迫った。
敗戦後、今度は数字を操作して金をもうけることをよしとする価値観を日本は受け入れ、それをグローバリズムと呼んでいる。
そのただ中にいる若者たちは不安と恐怖にかられ、自らの生活を守る姿勢に入っている。


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しかし、私は彼らが積極的に担いはじめたさまざまな活動のなかに、いちるの望みを見ている。
世界が、そこから富を搾取する対象としてではなく、均等な配分と魂の安定を共にめざす現場になる、という可能性だ。
「逝きし世」はそのとき憲法9条と同様、日本だけではなく世界が目指すべきものとなるだろう。
新しいグローバリズムの誕生である。


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080616 イラン 極秘の救出劇  中村さん解放

2015-10-03 20:28:20 | 政治
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’08/06/16の朝刊記事から

イラン 極秘の救出劇 
中村さん解放


旅行中に武装集団に誘拐され、イラン、パキスタン、アフガニスタン国境の三角地帯で拘束されていた横浜国立大4年、中村聡志さん(23)が8カ月ぶりに自由の身となった。
イラン当局は日本政府に通告しないまま、約1週間前に内務省要員を現地に派遣し、極秘に解放作戦に着手していた。
「見返りは一切ない」(イラン当局者)とされるが、武装集団が無条件で要求を取り下げたとは考えにくく、開放劇には不透明さも残った。



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日本に告げず先週着手
暑さが本格化したイランの首都テヘラン。
14日午後6時半、日本大使館4階にある城田安紀夫大使の執務室の電話が鳴った。
イラン内務省からだった。
「今すぐ来てほしい」。
内務省の担当者はそれだけ言って電話を切った。
館内は重苦しい空気に包まれた。
「悪い知らせでなければいいが・・・」
城田大使らが駆けつけると、内務省の幹部は笑顔でこう言った。
「先ほど開放されました。われわれの努力と現地の部族長を通じた圧力が実を結んだんです」


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中村さんが開放される前、事件解決に向けた動きが表面化したことが一度だけあった。
開放と引き換えに、収監中の武装集団の仲間3人を釈放する方向で3月下旬に交渉がまとまりかけたのだ。
しかし、4月に日本の一部のメディアが「開放で合意」との観測記事を流したことでイラン内務省が態度を硬化。
「日本政府が情報をリークしている」と一方的に疑い、大使館との定期的な接触も打ち切ってしまった。



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「無条件」不透明さも
情報が閉ざされた中、日本政府は開放実現に向け必死だった。
今月初めにローマで行われた「食料サミット」に出席したイランのアハマディネジャド大統領に福田康夫首相が直談判して協力を要請。
国連制裁下で核開発を続ける同大統領との会談を欧州首脳がはねつける中で「異例のトップ会談」だった。


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イラン政府当局者によると、交渉が再び活発化したのは先週に入ってからだ。
内務省が開放に向け要員を現地に派遣。
国境を越えてパキスタンに潜入した要員は、引き渡し場所にいた中村さんを連れてイランに戻った。
しかし、なぜ事件が急転直下、解決したのか現時点では不明な部分が多い。
イラン当局者は「武装集団の要求には応じておらず、金銭も支払っていない」と強調するが、具体的な経緯については固く口を閉ざしたままだ。(テヘラン共同)



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