’08/09/15の朝刊記事から
潜水艦 領海侵犯か
足摺岬沖 国籍不明、海自が捜索
14日早朝、高知県・足摺岬沖の豊後水道周辺の領海内で、国籍不明の潜水艦が潜水航行しているのを、海上自衛隊のイージス艦「あたご」が発見した。
間もなく潜水艦が領海外に出た後、見失ったが、海自は領海侵犯とみてP3C哨戒機などで周辺海域の捜索を続けている。
林芳正防衛相は同日、記者団に「(領海侵犯は)大変遺憾。全力で捜索するよう指示した」と説明。
潜水艦の国籍が判明した場合は「きちんと抗議する必要がある」と述べた。
海上警備行動を発令しなかった点については「潜水艦と確認できた時点で領海外に出ただろうと判断し、戻ってくる可能性も低かった」とした。
防衛省によると、同日午前6時56分ごろ、あたごが足摺岬の南南西57キロの海域で、潜望鏡のようなものが海面から出ているのを約1キロの距離で確認した。
あたごは追尾を始めるとともに、ソナーなどで捜索。
海自や米海軍に該当する潜水艦がないことから、海自は国籍不明の潜水艦と断定した。
潜水艦は発見された数分後に領海外に出たとみられ、同8時半過ぎに見失ったという。
国連海洋法条約は、領海内の外国船について、沿岸国の平和、安全を害さない限り自由に航行できる「無害通航権」を保証しているが、潜水艦は浮上して所属国の国旗を掲げなければならず、沿岸国に事前通告する場合が多い。
今回は潜水艦が領海内を潜水航行していたため、防衛省は「無害でない通航」と判断したとみられる。
潜水艦による領海侵犯をめぐっては、2004年11月、沖縄の先島諸島海域の領海内を国籍不明の潜水艦が航行しているのが見つかり、海上自衛隊に海上警備行動が発令された。
政府は中国海軍の原子力潜水艦と断定し、中国側に抗議した。