今年もあと2週間、どこの店でも聞かれる言葉が、今年は2次会の客がいないという嘆きである。確かに、忘年会という言葉があまり聞こえて来ない。日が暮れた夕方に家路を急ぐ人達を見送る街のイルミネ-ションも寒々しく感じる。
たまたま日テレの近くを通る機会があったので、覗いて見た。
1階にはス-ミンの大きな空気人形だけがやけに目立つが、立ち寄る人はほとんどいない。階段を上がると、夕方のニュ-ス番組が始まる前の光景である。
毎度感じる事だが、こんな小さな面積で撮影しているものが、日本中の茶の間のテレビに写しだされるのが不思議である。まさにマス(大量)コミという言葉通りである。
不景気になれば、テレビ局にCM料を支払って番組作成を依頼する企業も当然予算を減らす。少ない番組予算では、出演料が安いお笑い芸人が増え、どこの民放チャンネルでも学芸会みたいな番組が増え、笑っている芸人ばかりが目立つので、面白くない。自然と映画チャンネルに切り替えてしまう。従って、視聴率が落ち、スポンサ-企業は更に予算を減らさざるを得ない。
どこのテレビ局でも毎日24時間放送に近いロングラン放送である。1つのテレビ局が1週間で作る番組の数は幾つくらいなのか、しかも、ほとんどのテレビ局は職員数で言えば、実質は1000人程度である。経費を抑えるために子会社に出向している社員も多い。これ位の企業規模では番組制作を下請けに出しているのが普通である。下請けは更に孫受けに仕事をだす。末端の製作会社には、費用や給料で辛いものがある。
日テレの場合、売上が3400億円に対して番組製作費は年間1100億円程度なので、支出は4割程度である。差額の2300億円の使われ方が気になる。さらに、番組製作費で言えば下請けの制作会社が多いので価格競争が起き、制作費を抑えやすい。キ-局は日本テレビ・テレビ朝日・TBS・テレビ東京・フジテレビの5社が独占状態であり、ある意味競争がない保護企業である。つまりテレビ局職員は高額な給料だが、下請けや孫請けの番組製作会社の社員となると当然、数分の1である事は容易に想像できる。派手に見えるテレビ世界の実状はこんなものである。東京の5つのキ-局に勤める正職員が全部で5000人程度とすると、番組制作に携わる外部の人は約8倍の4万人くらいいる訳だから、テレビ局は完全にピラミッド型ビジネスである。