6年近く前だが台北空港に夕方到着して、出迎えてくれたビジネス相手である若いリュウ氏と握手をして、予約してるホテルにチェックインに向かおうとすると、1時間後に姉が日本から帰国するのでピックアップして一緒に食事をしようと彼が誘ってくれる。すぐ仕事の話を始めたかったのだが、なんとなく機内で飲んだアルコ-ルの酔いも残っているので、酔い覚ましにも良いかという気持ちで空港で到着便を待つことにした。時間ピッタリに荷物を持ってお姉さんが到着ゲ-トから出てきた。OLにしたら化粧も服装も少し派手だし、日本人の顔と少し違うのだが日本語が意外と流暢なので、日本で何の仕事をしてますかと聞くと歌手だという。驚いていると、プロ歌手だという事を歌って証明すると言って、彼の車で飛行場からホテルに行かないで直接カラオケのお店に連れて行かれた。彼女は、いつもなら無料で歌わないけど今日は弟のお客様なので特別よと言いながら、山口百恵の”いい日旅立ち”を歌ってくれた。その後は津軽海峡冬景色や雨の御堂筋、ベサメム-チョなど5-6曲立て続けに歌ってくれる。聞けば、石川県の加賀温泉に住み込んで歌謡ショ-で毎晩歌っていて、時折チャリティコンサ-トで各地を訪れていると言う。歌のうまさと、紹興酒の酔いも手伝って結局3時間近くカラオケで騒いだあとに、彼等の自宅に立ち寄った。今度は彼等のお母さんも参加してまた飲みなおし、結局ホテルにチェックインしたのは午前3時も過ぎていた。今思い出しても、初めての台湾の夜が、こんな風に強烈だったので細かい出来事まで覚えている。帰国後、時折、はがきで季節の便りをくれるのだが彼女の事はすっかり忘れていた。次に彼女の名前を思い出したのが2003年の新聞記事だった。この年に新型肺炎(SIRS)に感染した台湾の医師が、小豆島のホテルに宿泊していた事が判明して、宿泊客が激減したという事を彼女が知って、同じ台湾人として知らない顔は出来ないと、私費でホテルを借り切り無料で宿泊客を招待して自分の歌で、小豆島の人を応援した話が美談として載っていたからである。今週の金曜日10月7日(金)の夜7時から、新宿文化センタ-で、台北市立国楽団の伝統楽器を使ったオ-ケストラとの共同公演を開催するので来て欲しいという彼女からの誘いもあり、久しぶりに懐かしい歌声を聞くために出掛けてみようと思っている。歌手名は”寒雲”本名はリュウ・ハンファさん。彼女は歌う時は台湾の美人歌手、欧陽菲菲(オーヤン・フイフイ)と雰囲気が似ているし、普段の顔は小柳るみ子風の弟思いの姉ちゃんである。あれからお母さんの消息も聞いていないが、あのときにお母さんが台湾の人間国宝の候補に挙がっていたので、それも今回確認してみようと思っている。彼女のステ-ジ写真が載っているホ-ムペ-ジは、次の通りです。百聞は一見にしかずです。”寒雲メモリアル”でも検索できます。
http://www1.odn.ne.jp/~ceu55990/KANUN.html
http://www1.odn.ne.jp/~ceu55990/KANUN.html