MUSIC IS THE SCENERY

いつも背景には音楽がある。
インディー・ポップ中心の洋楽ブログ。

<この1枚>Snakefarm「Songs From My Funeral」

2007-05-18 00:59:16 | この1枚
80年代に日本でも少し人気のあったベルギー・ブリュッセルのレーベルCrepuscule。英国Factoryレーベルの作品やネオ・アコースティック系、ニューウェイヴ系アーティストの作品を発表したレーベルで、Isabelle Antena、Mikado、後のLouis Philippeの原点であるBorder BoysとThe Arcadians、面白いところでは映画「タクシー・ドライバー」やドラマ「こちらブルームーン探偵社」で知られる女優Cybill Shepherdもこのレーベルからアルバムを出しています。
このCrepusculeの歌姫といえば、一般的には日本でも有名なIsabelle Antenaですが、もうひとりの歌姫として東京生まれの米国人シンガー・ソングライターAnna Dominoがいました。ジャジーな要素とニューウェイヴの要素をミックスしたオシャレ系アーティストとして一部で人気があった人で、84年にミニ・アルバム「East And West」でデビュー、その後90年の「Mysteries Of America」(このアルバムの「Home」という曲を聴くと、この人が米国人ということを思い出させてくれます)までにフル・アルバム3枚とEP2枚などの作品を残して表舞台から姿を消してしまいます。

そしてそれから8年後の98年(日本盤は99年)、パートナーであったギタリストのMichel Deloryと結婚し活動の場をニューヨークへ移し、突如としてSnakefarmの名前で音楽シーンに戻ってきました。そのアルバムが「Songs From My Funeral」です。
これはAnimalsで有名な「Rising Sun」(朝日のあたる家)、Kingston Trioで知られる「Tom Dooley」など、アメリカやイギリスの民謡10曲をDJ的な手法のアレンジとサウンドで蘇らせたユニークなアルバムです。使っている楽器もギター、バンジョー、アコーディオン、ドブロ、管楽器と実に多彩で、アコースティックな面も同時に強調されています。発表当時は「アシッド・ブルース」「フォーク・ファンク」などの全く新しい音楽スタイルとして取り上げられていました。
ここで選んだ10曲は、愛憎劇の末に恋人を殺してしまう曲や葬式にまつわる曲など、死が共通のテーマとなっていることから、タイトルも「Songs From My Funeral」となったようです。

Anna Dominoの名前で活動していた80年代はどことなく気だるいダークなイメージの強い人で、ヴォーカルにしても雰囲気で決めているようなところがありましたが、Snakefarmでのヴォーカル・スタイルは格段の成長を遂げておりサウンドのクリアさと相まって一層魅力的な歌になっています。今聴いても新鮮です。「This Train That I Ride」「Laredo」「Banks Of The Ohio」の3曲はカッコイイです。
結局はずっと期待していたセカンド・アルバムが出ることもなく現在に至っていますが、この人は今頃どこで何をしているのでしょうか。また2、3年後にひょっと出てきてくれないかなと密かに願っています。
(写真は輸入盤のジャケットです。国内盤とはだいぶ異なります)

ここで試聴できます↓
http://www.amazon.co.jp/Songs-My-Funeral-Snakefarm/dp/B00000I0QR/
Anna Domino初期の曲「Land Of My Dreams」↓
http://www.youtube.com/watch?v=10h6FItf4bY


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2 コメント

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Unknown (パイクマン)
2007-05-20 01:53:18
アンナ・ドミノって懐かしいです。みたいな話をブログでしていたら、アンナ・ドミノと知り合いだという人がいつもコメントをくれる人の中に現れて相当ビックリしました。

突然復帰していたとは知りませんでした。
Land Of My Dreamsのライブ映像で、動いているアンナ・ドミノを初めて観ました~!
やっぱり美しいわぁ。曲も好き♪
このアンニュイさは憧れましたよ。

元々帽子のデザイナーをしていたとか聞いた様な気がするので、今はその仕事をしているのかもしれませんね。
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Unknown (atpaleys)
2007-05-20 12:51:13
パイクマンさん、こちらにもありがとうございます。

いつもコメントをくれる人がアンナ・ドミノの知り合いだったとは
さすがにパイクマンさんのブログだなと感心いたします。

アンナ・ドミノは85年に来日した時にTBS「ポッパーズMTV」に出演し、
その時流れたこの「Land Of My Dreams」のビデオに衝撃を受け
レコードを探し回った思い出があります。
全然見つからなかったのですが、何店目かにたまたま入った新星堂で
やっと手に入れることができました。
当時、クレプスキュール作品は新星堂の独自レーベルからの輸入発売でした。
(人気が出るとすぐにビクター音産に取られてしまいましたが)
今思うと、この曲がインディーズを聴くきっかけだったようです。
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