ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J1リーグ第8節 浦和レッズvs清水エスパルス

2020-08-05 17:18:27 | サッカー視聴記(2020年以前)

過去6シーズンで、3度も「最終節でJ1残留」を決めているという、感動的なのか不名誉なのか測りかねるクラブである清水。
しかし2015年にJ2降格を経験している(1年で復帰)事を考えれば、後者の方に針が振れている気がします。
そんなクラブの監督に今季から就任したのはピーター・クラモフスキー氏で、前年まではマリノスのヘッドコーチだった人物。

こちらで「新しい事をやろうとして失敗する」と書いたものの、その言い方には語弊があり。
むしろこの6年間、どんなサッカーを目指しているのか不透明だったので新しい事を取り入れた、と言った方が近いでしょうか。
もちろんJ1に復帰させた小林伸二氏(現北九州監督)や、久々に1桁順位を経験させたヤン・ヨンソン氏など個々の監督は奮闘を見せましたが、それが長続きしないのはマクロのレベルで芯が通っていないからだと思われます。

前年までの功績の通り、4-3-3というマリノス式のフォーメーションを早速チームに取り入れたクラモフスキー氏。
これ自体は新しい事でも無く、長谷川健太氏(現FC東京監督)の後期やアフシン・ゴトビ氏の時代にも基本形だったものです。
しかし両氏とも守備重視を第一に考えていた監督であり、今回との大きな違いはここ。
ひたすらに攻撃サッカーを貫き、前年J1優勝を果たしたマリノスを手本とする。(もちろん細かいアレンジはあると思われますが)

それ故清水にとっては斬新かつやった事の無いサッカーだったため結果も伴わない、という図式になりつつあった今季。
しかし前節・大分戦でようやく今季初勝利、しかも4得点と攻撃力を見せ付けた格好となり、勢いを持ってこの日の試合に臨んだ事でしょう。

助っ人の顔ぶれがスタメンに目立つ中、主にトップ下を務める後藤の起用が目を引く今季の清水。
前年まで大分に在籍、J2では点取り屋としてかなりの活躍を魅せたものの、チームがJ1に昇格した前年は伸び悩み。
そして今季移籍し、攻撃サッカーの舵取りを任された格好となりました。

立ち上がりからボールを握り主体的な攻撃を見せるものの、その成果という点では今一つ。
前半3分、こぼれ球をカルリーニョス・ジュニオがボレーシュートを放った(浦和・槙野がブロック)ものの、それ以外では「押し込んでコーナーキックを多く得られた」ぐらいの印象に映りました。
逆に10分前後から、カウンター主体に浦和が反撃体制。
11分、エヴェルトン縦パス→レオナルドポストプレイでボールを受けた汰木がドリブルで一気にエリア内へ。
そして右角でキープした後ラストパスを出し、走り込んだ杉本がシュートするも枠外に。
浦和はこの日復帰したセンターバックのトーマス・デンが、攻撃に守備に活躍。
守備ではカバーリングが早く、攻撃はロングパス主体にボールを散らせて起点となる場面が数多。
これほどの選手が補強できたのならば、なるほど槙野や鈴木大輔・マウリシオといった前年のレギュラーが脇に置かれるはずだと納得しました。(槙野はこの日スタメン)

しかし前半の浦和のシュートは結局上記だけに終わり。
かといって、ボールを握る清水も全面的に攻勢という訳では無く、むしろ浦和のカウンター精度の低さが目立つ展開となりました。
何度か清水のパスを遮断して攻撃を開始しても、シュートまで持ち込めないもどかしいシーンが続出。

清水は3トップという布陣を活かし、ウイングを中心にサイド奥へと運び、そこに人を厚くさせてのパスワーク。
それ故CKの数が膨れ上がり、前半で10本。
前節は4得点を挙げたものの、全てがこのCKで流れの中での得点は無く終わっていました。
これで良し、としている訳では無いでしょうが、クラモフスキー氏の理想には未だ程遠いと感じられました。
17分の左からのCK、キッカー西澤のクロスが跳ね返された後、金子がこぼれ球を拾ってシュート。
ブロックに阻まれたのち、左サイドで組み立ててからカルリーニョスがエリア内に切り込みヒールパス、走り込んだヘナト・アウグストがシュート(枠外)と連携を見せたもののゴールならず。
24分にはエリアすぐ手前で直接フリーキックのチャンス、キッカー西澤は直接狙ったものの、壁に当たってゴール上に外れてしまいました。

流れの中からという観点では、42分にヘナトが右へスルーパスを出し、受けた金子のクロスをファーサイドで後藤がヘディングシュート。
しかしGK西川のナイスセーブに阻まれ、得点する事は出来ず。
結局図式は大きく変わらないまま前半終了。
押され気味だった浦和は、後半開始前に青木→柴戸へと交代を敢行します。

その効果か、後半立ち上がりは浦和に主導権が移ります。
1分・3分ともに関根がエリア内にラストパスを送ります。
前者は浮き球で杉本が走り込み、後者はスルーパスでレオナルドが走り込みと、エリア内でFWにシュートチャンスが生まれそうな場面でしたがともに撃てず。

しかしゴール付近でのプレーで清水にプレッシャーを与える事には成功したか、この時間帯の清水の攻撃は冴えず。
そしてその流れが結果に表れたのは9分でした。
右からのスローインを素早く行った浦和、レオナルドがエリア手前でボールを受けて中央の杉本へパス。
清水のディフェンスでこぼれるも、拾ったレオナルドがエリア内に進入してシュート。
左隅のシュートにGK梅田は逆を突かれる、というレオナルドの技術の高さが光った得点となりました。

先制された清水ですが、その後もペースは一向に上がらず。
15分、エリア手前でファン・ソッコが左からカットインしたのち右へ展開、受けたエウシーニョもカットイン。
そしてシュートを狙いましたがブロックに阻まれます。
前半から顕著でしたが、サイドから崩してもこの場面のような、カットインからのエリア手前でのシュートが関の山。
エリア内に持ち込んでも撃てない、サイドで崩してクロスを上げても合わない、という繰り返しでは得点は望み薄でしょう。

逆に浦和は16分、デンのドリブルから好機。
ドリブルで持ち込んで縦パス→レオナルドポストプレイ→デン受けて左へ長いパス→汰木と渡り、汰木はカットインしてエリア内へ。
そしてシュートを放った汰木、追加点か、と思ったボールはゴール右に外れてしまいました。(ブロックされたように見えたが判定はゴールキック)
止めを刺し損なった浦和。

この直後(18分)に清水は2枚替えを敢行、後藤→中村、金子→ティーラシン・デーンダーに交代。(カルリーニョスが右ウイングへシフト)
それでも低調のままな清水の攻撃を余所に、浦和は20分に汰木→荻原へと交代。
この流れを保ちたい浦和でしたが、この交代はどちらかというと凶と出たでしょうか。
今季初出場と、汰木に大きく後れを取っていた荻原、飲水タイムの後はサイド突破から自身でシュートを狙う場面が目立ち始めます。

30分、自身のスローインからボールを受けた荻原、キープしたのち角度の無い所から狙いましたがGK梅田の正面。
35分は自らのドリブルでエリア内左まで持ち込みましたが、今度はシュートなのかクロスなのか良く判らないボールを蹴っては明後日の方向へ。
自分が得点に関与したい、という気持ちが表れ過ぎな印象でした。
そして36分、関根→武富へと交代した浦和。
武富は故障上がりでこれが今季初出場という立場、試合を閉める状況での交代は疑問符が付くものでした。

そして清水は38分、ヘナト・西澤→鈴木唯人・川本と2枚替え。
鈴木唯はこれが7試合目の出場(スタメン3試合)ですが、川本は初出場。
ここに来て若手を2人投入してきた清水ですが、これが吉と出て反撃。
39分、西澤に代わって左ウイングに入った川本が突破力を見せてCKを獲得すると、西澤の代わりにキッカーを務めるのは鈴木唯。
連続でCKとなった2本目、これもクリアされたものの、拾った中村が右サイドに流れてドリブルした後ゴールラインぎりぎりからクロス。
ファーサイドに上がったボールをヴァウドがヘディングシュート、これがゴール右に突き刺さり同点に。
マリノスのような美しい崩しとは対極という印象でしたが、泥臭さを交えてのゴール。

これで勢い付きたい清水でしたが、ここから浦和は底力を発揮し形勢逆転。
43分に放ったエヴェルトンのシュート(枠外)を皮切りに、最終盤は攻勢に出て勝ち越し点を狙わんとします。
アディショナルタイムにもレオナルドがシュート(清水・竹内がブロック)するなど、見せ場を作った浦和でしたが結局2点目は生まれず。
逆に交代枠を残したままで、荻原・武富の投入と併せてベンチワークが今一つという印象を残しつつの試合終了となりました。

連勝はならなかった清水、引き分けにより最下位は脱出した(16位)ものの、流れの中からの攻撃が嵌らないという内容なのは変わらず。
幸い今季は降格が無いから……というフレーズも定番になっていますが、生え抜き重視のきらいがある清水の土地柄、外様監督には結果が出ないと辛い立場となるのは避けられません。
ここからサッカーの質を上げていく事は出来るでしょうか。


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