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DAZN観戦 2020年J1リーグ第7節 サガン鳥栖vsセレッソ大阪

2020-07-31 19:23:48 | サッカー視聴記(2020年以前)

開幕節からの4-3-3というフォーメーションから一転、この日はオーソドックスな4-4-2で試合に臨んだ鳥栖。
FWの手駒は色々居るものの、長年チームを支えてきた豊田は最晩年で、助っ人のチアゴ・アウベス、レンゾ・ロペスは過去にJクラブに在籍したとはいえ実績面では物足りず。
前節・清水戦で金森が故障し、若手の林・石井を起用せざるを得ない苦しい状況となってきました。

3トップというフォーメーションながら、とにかく点が取れない。
前節でようやく今季初得点という遅さで、しかも未だ0勝という成績では、マッチしない故の変更と採られても仕方が無い。

それでもチームの根幹は失われていなかったようで、この日は出足の良さ、球際の激しさを武器に序盤からペースアップ。
開始6分で3本コーナーキックを得るというハイペースで、主導権を握らんとします。

一方のセレッソ、堅守が売りのチームですが、ありがちな「堅守速攻」という形では無く。
こうした鳥栖の攻勢を巧くいなしたうえで、ボールキープ時は基本的に遅攻。
堅守のチームに良くあるカウンター重視のスタイルとは一線を成し、ボールを握る時間を出来る限り増やし、相手の攻撃機会を減らす事で守備に役立てるというもの。(前年の広島も一時期こうしたスタイルでしたね)
それ故、押し込まれてもセーフティにクリアで逃げるという局面が目立ち、結果相手のCKになっても慌てない。

得点力不足の現状の鳥栖にとってはとても厄介な相手ともいえましたが、この日の鳥栖は一味違っていました。
無理にプレスを掛けて来ないセレッソ故、ボールを持たされる展開にされていた攻撃面。
守備面では、セレッソのビルドアップに対しハイプレスを敢行。
そのどちらも、上手くいかない場面も目立ちましたが、荒々しさで強引にセレッソからペースをもぎ取っていたという印象の前半でした。

前半22分に鳥栖が得た右サイドからのフリーキック、原川のファーサイドへのクロスを高橋秀人が折り返して中央へ。
これを原がヘディングシュート、GKキムジンヒョンがセーブしたこぼれ球を詰めたのは豊田。
ゴール間違い無しという距離でしたが、ライン上でセレッソ・松田がブロックするファインプレーで得点出来ず。
しかしこの「ファーへクロス→折り返し」という鳥栖のセットプレーのパターンは徹底されており、この前にもCKで2度高橋秀の折り返しを交えていました。
もっと言えば前年観た時も徹底して行っており、鳥栖の伝統ともいえるでしょうか。

一方すんでの所で先制を免れたセレッソ、その後はボール支配率を高め落ち着きを取り戻す、という普段通りの流れ。
その傍ら、長いポゼッションからフィニッシュに繋げるという攻撃も織り交ぜていきます。
30分、センターバック2人の間に降りる藤田からスタートし、左右へのパスを織り交ぜたのち右から松田がグラウンダーでクロス。
これが鳥栖ディフェンスに当たりずれるも、そのおかげで柿谷にエリア内で渡る好機。
切り返しの連続からシュートを放つ柿谷、ブロックされた後も清武に繋ぎますが、清武のシュートもブロックされてモノに出来ず。
32分は後方で鳥栖のプレスをレアンドロ・デサバト→丸橋→木本→デサバト→GKキムジンヒョンと繋いでかわし、キムジンヒョンの右への長いパスで逃げ切り成功。
その後もパスワークで遅攻を繰り広げるも、ここはシュートまでは繋がらずでしたが、持ち味を存分に発揮していくセレッソ。

しかし終了間際の43分、柿谷が足を痛めて動けなくなるシーンが。
一旦ピッチから出て、その後復帰しましたが、後半頭に退く事となりました。(片山が出場)
それに伴ってかは不明ですが、アディショナルタイムには鳥栖が左サイドを突破した小屋松がカットインからミドルシュート(GKキムジンヒョンがセーブ)という際どいシーンを作り、流れが変わった予兆を感じつつ前半を終えます。

鹿島の不振ぶりが一際目立つ今季のJ1ですが、その裏で清水・鳥栖もこの日まで未勝利。
「新しい事をやろうとして失敗する」という図式が、今季からサッカーの路線変更を謳っている鹿島・清水から浮かび上がって来ます。

一方の鳥栖も4-3-3を取り入れるなど一見すると共通っぽいですが、守備意識は忘れていないようで、また前年から金明輝(キンミョンヒ)監督が続投しているのも上記2クラブとは違う点。
鳥栖は過去2年、上記の失敗を嫌という程経験しており(フェルナンド・トーレス入団とか、ルイス・カレーラス監督とか)、過去2年シーズン途中から監督を務めた金氏としては「残すべき点は継続する」思考に行き着くのは当然すぎる事かも知れません。

こうした「伝統を踏みにじる行為」が深刻な影響を及ぼしたのか、シーズン前には、スポンサーの契約終了(今年途中までの契約らしい)に伴っての経営問題が浮上。
鳥栖に限らず、九州のクラブはこうした事が目立ち、2009年には大分がチーム消滅の一歩手前まで追い詰められる程の経営危機に。
福岡も同時期に表面化し、大分ほど深刻では無かったものの2014年頃まで引きずる始末。
長崎はジャパネットのおかげで立ち直りましたが、逆に言えばそれが無ければ今頃は……といえたでしょう。
身の丈経営の大切さはこうした近所(?)の事象からも思い知らされますが、鳥栖は既に2003~2004年にも経営危機に直面しているので、得たはずの教訓を忘れていやしないかと不安に駆られてしまいます。

それはともかくとして、セレッソが柿谷を失って始まった後半戦。
その影響か右サイドの坂元にボールを集め、彼の突破力に期待をかけるセレッソと、彼を阻止したい鳥栖とがぶつかり合う立ち上がり。
右サイドの深めで坂元に対する反則が発生する事2度、しかしそれはシュートには結びつかず。
この反則連発の影響か、以降はCBのエドゥアルドが、ボールを持つ坂元にアタックするというシーンも目立ちました。

しかしこれにより流れを得たのは鳥栖の方だったか。
後半6分、GK高丘の右サイドへの長いパスから、受けた森下が前方へスルーパス。
走り込んで上げた原川のクロス、中央で豊田が合わせられなかったものの、小屋松が拾い石井に横パス。
ダイレクトで石井が左足のシュートを放つと、綺麗な軌道でゴール左へと突き刺さり、先制に成功。
まさかとも言うべき、「最弱の矛」が「最強の盾」を破る展開に。

先制されたセレッソ。
Jリーグでは特異なチーム戦術なため、先制されると脆いのは4節・名古屋戦(0-2)で証明済みで、文字通りの窮地。
ポゼッションは握れる下地はあるだけに、守りに入る相手をどう崩していくか。

しかしその後も鳥栖はチャンスを作ります。
10分は縦パス→ポストプレイの連続で前進し、小屋松がキープして出したパスを再び石井が受け、エリア手前やや左からシュート。(ゴール左に外れる)

前年J2で猛威を振るった2人、内田(前徳島)と小屋松(前京都)が揃った左サイドの突破力は、堅守のセレッソと言えどもかなりの脅威。
19分には小屋松から受けた内田の突破を、藤田が後方から倒して反則・警告を受ける場面もありました。

飲水タイムを挟み、何とか流れを取り戻したいセレッソは28分に3枚替え。
丸橋・清武・豊川→小池・奥埜・鈴木へと交代。
都倉とブルーノ・メンデスがベンチ外な状況のこの試合でしたが、手駒はまだまだ健在とばかりに、大胆に実績ある選手を同時投入しました。

すると30分。
木本の縦パスを受けた鈴木が反転し坂元へ渡すと、坂元がエリア手前から思い切ってシュート。
豪快にゴールネットに突き刺さり、同点に追い付いたセレッソ。

交代で流れが変わったと踏んだか、鳥栖サイドも34分に動きます。
原川・小屋松に代えて、樋口・安庸佑(アンヨンウ)を投入。
樋口がボランチ・安が左SHに入り、それまでボランチの松岡が右SHへシフトします。
すると35分、セレッソ同様直後に好機到来。
右からのクロスが流れた後、安が左奥で拾って内田がクロス、これがクリアされるとボールは変わったばかりの樋口の下へ。
樋口は坂元と同様に思い切ってミドルシュートを放ち、これが木本に当たって僅かにゴール左に外れる際どいものに。

セレッソも40分、デサバトの後方からのドリブルで前進してから右サイドへ展開し、松田がスルーパスで奥へ。
受けた坂元からエリア内の鈴木へ渡り、鈴木のグラウンダーでのクロスに小池が走り込むも、松岡のディフェンスで倒れシュート出来ず。(反則無し)
45分には奥埜がドリブルからエリア内へスルーパス、これに片山が走り込んでシュートするも、GK高丘の飛び出しでコースは無く防がれます。
セレッソ側も、試合終了が迫った事でなりふり構わずチャンスを作るスタイルへ移行していたのでしょうか。

しかしATに突入後、最後のチャンスを得たのは鳥栖。
これもCKからで、キッカー梁勇基(リャンヨンギ・エドゥアルドと交代で出場)のクロスがファーに流れると、林がトラップから折り返しという鳥栖の形に。
そしてエリア内の逆サイド(左)で原がトラップする絶好機となるも、シュートは松田がブロックして勝ち越しならず。
「松田が居なければ……」という鳥栖サイドの叫びが聞こえるかの如く、そのまま1-1で試合終了となりました。

結局この日も勝利には届かなかった鳥栖。(清水が勝ったため唯一の未勝利に)
グラウンドレベルと同じように、経営面の問題でも、この時勢の中すぐに解決に向かえず相当苦労する事になるでしょう。
一度は暗雲を跳ね除けた経験を持つクラブだけに、生き残りを果たして欲しいものです。


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