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DAZN観戦 2019年J2リーグ第37節 栃木SCvsFC琉球

2019-10-24 16:52:34 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の栃木の記事はこちら(33節・鹿児島戦)
※前回の琉球の記事はこちら(28節・横浜FC戦)

不利な状況での忍耐。

33節・鹿児島戦で「ヘニキFWシステム」を採用したのが成功したものの、跳び抜けた効果は表れず降格圏から抜け出せていない栃木。
正GKのユヒョンが故障で長期離脱という激震も走る危機的状況。
代役に川田修平がGKを務めた過去2試合は、いずれも1-1の引き分け。
35節・徳島戦では、ボール支配率23対77という圧倒的な差を付けられながらもリードを保っていましたが、試合終盤で同点に追い付かれてしまいました。
そして前節・甲府戦でも、ポゼッションに拘らない甲府にまで支配率30対70と差を付けられ、しかも終了間際に同点弾を浴びるという焼き直しのような試合を展開してしまいます。
いずれも上位相手に引き分け、という点は評価できるものの、残留への勝ち点3を得る絶好機を失ったという印象は払拭できず。

この日も前節と同じスタメンで挑んだ栃木。
鹿児島戦を境に、枝村・大﨑・榊・久富が5試合連続でスタメンで名を連ねている辺り、既に今季はこの形で残留を目指す腹積もりなのでしょう。
相手は徳島同様、ボールポゼッションに定評のある琉球。

どんなに不格好でも結果が出れば良し。
そんな開き直りぶりは、前半2分瀬川のセンターサークル付近からのシュート(味方選手が倒れていたという要素もありましたが)で垣間見えます。(GKカルバハルキャッチ)
その後も、ロングボール主体で陣地を回復、という姿勢を貫く栃木。

そんな姿勢に、パスを繋ぐ事が基本路線である琉球は苦戦気味。
守備ではヘニキやユウリのフィジカルに手を焼き、攻撃では芝の状況の悪さ故か、思うように繋がらないパスワーク。
ボール支配率では上回るものの押されているのは明らかで、クリアで逃げる場面が多々。
まるで町田の試合を見ているかのような、スローイン数の増大。

そのスローインも、とにかく距離を稼ぐ事を念頭に置いた栃木。
ライン際へ長いボールを投げ入れてはセカンドボール狙いという戦術で、再びスローインとなる事多し。
そして敵陣深くでのスローインは全て両サイドバック(瀬川・久富)によるロングスローと、そこまでするか?という徹底ぶり。

不格好な漸進戦術ともいえる栃木でしたが、前半8分。
瀬川のロングスローの跳ね返しを大﨑がヘッドで繋ぎ、そのボールを榊がオーバーヘッドでシュートにいきます。(DFがブロック)
21分にも、久富のロングスローの跳ね返しをユウリがオーバーヘッドで狙う(ジャストミートせず)など、シュートシーンでは難しい事をする様が印象に残りました。

一方、琉球はアクシデントに襲われます。
ヘニキとの接触プレーで痛んだ右SB鳥養、一旦は復帰するものの、その後プレー不能となり前半15分でまさかの交代。
そしてこの日琉球はDFの選手をベンチに入れておらず、ベンチワークが注目されます。
果たして採った選択は、FWでジョーカー役であった上原を投入し、フォーメーションは弄らず彼をSBとして起用するというものでした。

大選手・小野を獲得したのは周知の通りですが、その小野加入と同時に、ジョーカーとして存在感を発揮し始めている上原。
それまで僅か3試合出場(1得点)に留まっていたのが、28節・横浜FC戦から10試合連続で途中出場(3得点)を果たし、しかも劇的なゴールでチームに勝ち点を齎す事数多の大活躍。

この上原、新戦力の小野・既に大黒柱の上里と同じく、元札幌という共通点を持っています。
「北と南の果てから……」というフレーズが頭をよぎるような編成となりました(上里・上原は沖縄県出身)が、これにより再び勝ち点を拾えるようになり、一時期の底から脱却しつつある琉球。

札幌時代にSB経験がある上原ですが、突然の出場・それも普段とは違う役割は厳しかったか。
栃木相手に機能不全に陥りかけていた琉球のサッカー、その歯車を正常に戻す事はままならず。
前半の後半、30分台には自陣でボールロストする事2度と、隙にも付け込まれてしまう上原。
結局、琉球の見せ場はアディショナルタイムの直接フリーキックぐらい(風間宏希が直接シュートも壁直撃)で、スコアレスで前半を終えます。

後半の立ち上がりも、残留への執念を強く前面に出すかの如く栃木がチャンスを作ります。
しかしそれでも、セットプレーでの放り込みがメイン。
後半2分、右サイドからのフリーキック、かなり手前の位置ながら瀬川はエリア内へ上げます。
跳ね返ったボールを久富がミドルシュートにいきますが、シュートは枠外に。
11分には右からのコーナーキック、クリアボールは枝村が拾って再びエリア内に入れますが、これもクリア。
そのボールを大﨑が拾ってミドルシュートを放ちますが、これも枠に飛ばせず。

そんな展開でしたが、流れの中から栃木のチャンスがやって来たのが22分。
敵陣左サイドで枝村がルーズボールを拾い、大﨑とパス交換。
そして大﨑が川田拳登とのワンツーでエリア内に進入し、シュートを放つもののGKカルバハルに阻まれゴールとはなりません。

対する琉球、後半も苦戦気味なのは変わらず。
それもボールを繋ぐという長所を放棄する場面もあり、唯の蹴り合いと揶揄されるようなボール支配の移り変わりの絵図も見られました(特に28分~32分頃の辺りか)。
それでも守備を崩す事無く、アタッキングサードでの栃木の精度の低さにも助けられつつ、スコアは終盤まで動きません。
その忍耐強さはベンチワークにも表れ、良く無い流れにも拘わらず、前半のアクシデント以降は配置交換・選手交代を行わず(アディショナルタイムに風間宏矢→田中)。

攻撃は右サイドでアクシデントが起こった事もあり、左サイド中心。
後半はサイドハーフの河合がライン際に張り出しつつ、反対にSBの徳元が中央寄りへと位置を取るという場面も目立ち、相手を崩す工夫を怠る事はありません。
ここでも「苦しい状況でも、普段通りのサッカーをする努力」という忍耐が垣間見えます。

そして結果に繋がったのが34分。
左サイドでのスローインから、風間宏希・徳元・上里がボールを動かした後、エリア内へスルーパスを送ったのは風間宏希。
そこに走り込んだのは上門で、栃木・久富のアタックを振り切りシュート、角度の小さな所から見事サイドネットに突き刺し先制ゴールを挙げました。

前2試合から一転して終盤追う展開になった栃木。
既に2枚カードを切っており(25分榊→平岡・34分川田拳→浜下)、3枚目の交代はヘニキ→三宅というもので38分。
前半から前線で、ハードワークという表現すら生温いぐらいの奮闘を見せてきたヘニキ。
「ヘニキFWシステム」になってからというもの、5試合いずれも途中交代となっており、スタミナ消費の激しさが伺い知れます。

交代で入った三宅、41分に久富のロングスローからの攻撃でシュートチャンスが。
ここでもクリアされての二次攻撃、枝村→久富と繋いで右からクロスが上がり、ニアサイドに飛び込んでヘディングシュート。
しかしこれも枠を捉えられずに終わります。
一方ヘニキの代役は、アディショナルタイムも間近になりCB田代が前線に上がり務め、パワープレイ体制へ。

そのアディショナルタイム、カウンターで止めを刺したのは琉球。
徳元がクリアしたボールを山田がポストプレイで繋ぎ、河合がドリブルで一気に持ち込む絶好機。
エリア手前からのパスを受けた上門、落ち着いてシュートを放ってGK川田修平を抜き、本日2点目を挙げると同時に試合終了。
アウェイの洗礼を跳ね除ける勝利を挙げました。

この時期、死に物狂いで来る残留争い組のクラブとの対決は、その勢いにどこか萎縮してしまう内容・結果になる事も少なくありません。
前2試合で栃木と相対した上位組の徳島・甲府も、そんな図式に巻き込まれて勝ちを逃したという印象でした。
この日の琉球にも(決して上位組ではありませんが)それが襲い掛かりましたが、何とかいなす事に成功。
同時に降格の危機はほぼ去ったと言っても良く(この日で勝ち点43、残り5試合で13差)、また一歩クラブとして成長を果たせた事でしょう。


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