※前回の熊本の記事はこちら(2節・札幌戦、3-0)
※前回の富山の記事はこちら(6節・鳥栖戦、0-1)
<熊本スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 前節(鳥栖戦、3-1)を境に、再びウイングバックを採用した従来の3-3-1-3へとマイナーチェンジした模様。
- GKバーンズ・アントンがJ1・町田から育成型レンタルで加入し、今節から登録される。
- 大本の負傷が発表され、2/20に発生して全治約4週間との事で、前節復帰して途中出場。
- GK武者の負傷が発表され、3/8に発生して全治約6ヶ月との事。
- 4節(徳島戦、0-1)で負傷交代した豊田の詳細が発表されるも、治癒期間は未発表。
- 5節(山形戦、1-3)で負傷交代した阿部の詳細が発表され、全治約6週間との事。
- ユース所属のGK小園が2種登録選手となり、前節から登録される。
<富山スタメン>
- 前節(仙台戦、0-1)は井上がトップ下の4-2-3-1で、松田の起用により?再度4-4-2に。
札幌戦での快勝から一転、再び一筋縄ではいかないという成績を描いている熊本。
今季の新布陣(3-1-4-2気味)も、豊田をはじめ故障者という要素で思うように機能しなくなったようであり。
再びメインである、慣れ親しんだ3-3-1-3へと戻すに至りました。
前節は鳥栖相手に快勝と、J1からの降格クラブには滅法強い、そんな感想を抱かせる試合を演じ。
やはり特異な布陣かつ、昨今では貴重となった感のある地上でのパスワークにほぼ全振りしたかのような戦いは、慣れていない状態で相対すれば無残に粉砕されるのみであり。
そして今節は一転して、J3から上がって来た富山と対戦しました。
とはいえ、熊本のJ3時代にしのぎを削って来た相手である富山、大木武監督の戦術・傾向もある程度理解している(と思われる)だけに一筋縄ではいかず。
強風が舞い降りる環境となった、この日のえがお健康スタジアム。
前半風上となったのは富山で、それを活かすべく適度にロングボールを交えながら攻勢を掛け。
中央での持ち運び・ボールキープで溜めを作り、サイドバックを上げてのクロスに持ち込むもののフィニッシュには繋がらず。
シュート2本に終わったという前節の劣勢ぶりを、払拭するには至りません。
ならばと、守備で取り返す気概を見せる富山。
熊本の最終ラインからのボール保持に対しても、前線から規制を掛けてガッチリ組み合う姿勢で対抗します。
この日の熊本は、3バック+アンカーに加え、右の三島が後ろ残りで出口となるような位置取りが基本。
その分左の岩下に自由が与えられ、彼が広範囲で動く(当然後ろの組み立てに加わる事もある)が故のシステム、といった所でしょうか。
そんな熊本に対し、常時2トップ+左右のサイドハーフがベクトルを前に向けながら、構える事で容易に繋げさせない状態を保ち。
かくして、熊本にとっては動き辛い状況に持ち込まれる展開。
それを打開する李のロングパスも、向かい風という環境下で多用する訳にはいかず。
3バック+上村での組み立てで富山の前線を突破するに越した事は無いですが、それが果たせず、かつ右の三島にも伊藤のチェックが厳しく。
これ以上自陣に人数を掛ければ、富山もその分前に出てくるため「後ろに重い」状態になってしまう。(実際岩下が降りた際は6対5での剥がしとなっていた)
FWに縦パスを当てても、そのレイオフに対し激しく寄せられ防がれる場面が目立つなど、富山サイドの研究・対策はしっかりしているという感がありました。
崩しきれないため、止むを得ずというようにアーリークロスを多用するのがこの日の前半のハイライトであり。
そんなジリ貧状態の熊本に対し、自ら仕掛ける立場を得た富山。
17分、GK田川がキープしながら全体セットに入った中、布施谷が上がったのを見てそこへロングフィードが送られ。
その布施谷の落としはクリアされるも尚も浮き球を繋ぎ、右へ展開してスルーパスで奥を突く攻撃。(走り込んだ伊藤がクロスもブロックされる)
風も味方に付けながら、得意手の「高く上がるSB」を押し出しに掛かります。
押し気味に進める富山ですが、決定力に欠け中々フィニッシュに持ち込めず。
26分に植田のパスカットから素早い前進により左CKを得ると、この機をモノにせんとゴール前に大密集を作り。
そしてその密集の手前へ送られたクロスを碓井が折り返しと搦め手を見せ、シュートは撃てずも再度左CKに繋がると、今度はニア近め・ファー遠目に集まる体制に。
そして今度もファーにクロス→今瀬折り返しで、碓井が撃ちにいくもミート出来ず。
得点力をカバーすべく変化を付けますが、成果を上げられません。
富山が好機をモノに出来ずという展開が続くと、流石に慣れが生まれその勢いは削がれ。
それを突くかのように、30分以降は熊本の攻撃機会が続く展開に。
当然ボール保持が主体ですが、その体制からは前述の通り我慢を強いられ、ショートパスの連続で富山ディフェンスを寄せたうえで戻し→逆サイドへ展開といった地道な作業が続きます。
好機はむしろボールゲインからで34分、藤井のパスカットから中央を素早く運び、左ポケットを取った塩浜がカットインシュート。(植田がブロック)
最終ラインからの前進は我慢が続くうえに、敵陣でのパスがズレて終了というらしくない絵図が目立つ熊本。
膠着を打破すべく、後方で繋ぐなか大西が前線に上がるなど要所で可変を見せますが、それも手段の一つに留まるのみとなり。
富山は最終盤にセットプレーの好機を迎え(中盤中央からのフリーキック)、キッカー植田は直接エリア内へは上げずに左奥を取ったうえでのクロスを選択。
これをニアで松田がフリック気味に合わせヘディングシュート、しかしGK佐藤優がキャッチ。
攻めあぐむ状況をセットプレーで打開、という流れになりますが、結局スコアレスのまま前半終了を迎えました。
エンドが変わった後半、富山は前半のように風を利用する事は出来ない状態。
キックオフは追い風の熊本ですが、ロングボールは使わず最終ラインから保持に入り、あくまで富山の前線守備と交戦を選びます。
そして左へ展開ののち上村が1タッチで縦パス→塩浜ポストプレイ→半代でプレスを脱し、逆サイドへ展開して好機に。
渡邉のアーリークロスがファーでこぼれ、拾った岩下が左ポケット奥へ切り込みクロスと、多重に攻めた末にCKに繋げ。
そしてこの右CKのキッカーは袴田で、ターゲットタイプの彼故に何か仕掛ける、という予感の通りショートコーナー。
そして中央への展開を経て、上村が送った浮き球に対し袴田が入り込むという変化。
これは跳ね返されるも尚も渡邉が浮き球を送り、今度は塩浜がフリックで繋げた末に李が混戦のなかシュート。
ブロック→藤井シュート→ブロックと追撃もしますが、結局は決められません。
その後のCKは全て上村が蹴り、かつライナーでのクロスを主とするという具合に、徹底して変化を付ける姿勢はやはり膠着状態の打破が目的だったでしょうか。
しかしペースを掴んだ熊本、5分にも長らくポゼッションを続ける攻撃。
サイドチェンジも交えた末に、三島のパスを間で受けた藤井のドリブルが契機となり、エリア内で彼のパスを受けた半代が奥へ切り込み。
ディフェンスでこぼれるも拾った渡邉がクロス、藤井が合わせるもミート出来ずファーに流れ、拾った岩下がシュートしましたがGK田川がセーブ。
熊本らしいパスワークでの攻勢も、最後の牙城を破れず。
すると流れが富山に移るのは必然というべきか。
8分富山は6対5の状況に持ち込んでの前線守備を制する形で、岩下のレイオフに対し竹中がデュエルで奪取、拾った高橋が右サイドから前進→カットインを経てクロス。
そして松田がヘディングシュート(枠外)と、繋ぐ熊本に対し後半もその前線は脅威になり。
再び前半のやり直しというような展開も、富山は前半のようにロングボール主体にする事は出来ず。
先程のように嵌めて奪う状況を作れれば……といった所。
一方熊本は地上主体のなか、時折裏を突くロングパスを見せるものの、それが風により伸び過ぎて繋がらず……という絵図が目立つのみに。
そんな状況を動かすのは采配、そう言わんばかりに15分同時に交代を敢行。
熊本は渡邉→大本、富山は植田・伊藤→末木・浦。
負傷離脱から復帰した大本は言わずもなが、今季初出場の浦と、新たなサイドアタッカーに局面打破を託すような交代策に。
そしてこれ以降、大本と浦の経験値の差がそのまま出るように、熊本へと針が振れる試合展開。
三島の追い越しも交えながら、右サイドを抉っていく熊本の攻撃。
当然パスワークによる左からの攻めも見せながらのため、富山は全てに対応は出来ず撤退守備を強いられる事となり。
全員敵陣に入り込んでの保持と、やりたいサッカーへと突入する熊本でしたが、富山の粘りもあり中々フィニッシュは生まれません。
10分以上も受けに回る事となった富山。
それによる疲弊感を落ち着けるかのように、27分にGK田川がエリア外でボールを持つと、戻りながらのキープで中々前に出さず。
熊本サイドもそれを静観するも、動かないのを見て半代が仕掛けた所でようやくフィードを送った田川。
そのフィードをポストプレイで繋いだのは碓井で、これをヒントに彼を囮として他選手を抜け出させる意識を高めたでしょうか。
続く好機は中央から、末木のスルーパスに浦が走り込むも遮断されると、尚も繋いだ末に降りてきた碓井が縦パスの供給役に。
このパスを西矢がフリックし、エリア内へ抜け出したのはまたも浦でしたが、袴田に倒される格好となり(笛も鳴らず)決定機とはいきませんでした。
これ以降も、浦はサイドよりむしろ中央で、名前の通り「裏」抜け中心の立ち回りで貢献する事に。
30分にまたも両者同時交代。
熊本は藤井・塩浜→竹本・大崎。(半代が左ウイングに回る)
富山は竹中・松田→濱・武。(高橋がボランチに、布施谷が右SHに回る)
再開は富山のFKからで、これが右CKへ移るとショートコーナー。
クロスは上げずに戻しから右ポケットへの縦パスと先程の熊本のように変化を付けると、これを受けたのは浦。
そのまま奥へ切り込みますがディフェンスの壁は厚く、クロスもシュートも撃てず終わり。
それでも脅威を感じさせたのか、熊本ゴールキックでの再開では、選手を上げてロングフィードを送る体勢から意表を突いてショートパスを選択したGK佐藤優。
そして右から前進の姿勢を見せたのち裏へのロングパス、と変化を付けた末にCKと、お互い膠着からの変化合戦という様相も示します。
そんな苦労を重ねるも得点には結び付かず、試合は終盤に。
41分、熊本のロングパスをカットして敵陣で攻撃開始する富山、ここも降りる碓井を囮として中央から突破。
末木縦パス→武ポストプレイ→高橋エリア内へスルーパスと崩しかけましたが、抜け出した浦のシュートはオフサイドとなり無効に。
ひたすら浦を活かす攻撃も、ゴールを上げられないまま打ち止めとなり。
43分に布施谷→溝口へ交代(浦が右へ回る)したのちは、一度も攻撃機会を得られずとなりました。
最後の攻勢に入りたい熊本ですが、こちらも決定打に欠き。
45分に右CKを得ると、キッカー上村はやはりストレート性のクロスをファーに送り、袴田が折り返したボールに合わせにいく半代。
デイフェンスに遭い今度は逆の左CKになり、上村はまたもストレートのクロス、そして袴田が折り返しに入るという具合に貫かれるその手法。
しかし袴田は折り返しでは無くグラウンダーでの縦パスを選択、ゴールに向かうこのボールを混戦のなか岩下がトラップ。
ここから乱戦になるも、岩下が戻りオフサイドを取られてこちらも無効で終わりました。
負傷者も揉め事も起こらなかったため、アディショナルタイムは+3分という短さ。
熊本はそこで残っていたカードを使い、半代→松岡へと交代。
その投入された松岡が、左ワイドからカットインを経てシュートするシーンもありましたが、その行方は大きく枠を外して終わり。
結局スコアレスのまま試合終了となり。
難しい展開のなか、どちらも無理攻めはせず勝ち点0に終わるのを避けた、という終末だったでしょうか。
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