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DAZN観戦 2024年J3リーグ第3節 カターレ富山vs奈良クラブ

2024-03-13 16:18:40 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

一般的には春のイメージが強い3月ながら、まだまだ寒風吹き荒ぶ時期。
それを象徴するかのように、奈良・フリアン監督の帽子姿が似合う雪が荒れ狂う中での試合開催となりました。

降雪の厄介な所は、視界・識別の問題。
うっすらと積もった白銀のピッチによる、カラーボールの使用は開幕直後・閉幕寸前で良く見られるものであり。
この日は積雪こそ無かったものの、競技場のトラックには部分的に雪が残されており、開催するに当たっての裏方の苦労がしのばれますがそれプラス秋春制の是非は置いておく事にします。

そして降雪というのは、断続的に強弱が変化するというもの。
雨ならばまだしも、宙に舞う無数の白い物体が可視される事で、プレイヤーに多大なストレスを与えるのは想像に難くなく。
この日も例に漏れず、試合中に吹雪に近い状態となったり全く降らなくなったりと不安定なもので、突然の変化にも対応せねばならない。
加えてこの日は風の方も、方向が変わるランダム性が強い状態だったため、まさにダブルパンチ。

そんな環境でのプレーとなりましたが、試合開始時は降雪の無い状態。
富山がアバウトな攻めで押し込むものの、直ぐに奈良がボール保持の体制を採るという立ち上がりとなり。
前半6分に最後尾で持ったセンターバック・鈴木が、右ワイドの生駒へパスを送る体勢から、彼へのパスコースを切る吉平の動きを見てパス方向を切り替え。
右ハーフレーンに降りてきた西田への縦パスで、一瞬逆を突かれた吉平の脇を通すテクニックを見せるという具合に、パスサッカーのスキルの高さが窺えました。
ここから西田がミドルパスを裏へ送り、走り込んだ國武が合わせシュート(枠外)とフィニッシュにも繋げ。

しかしこの辺りから雪が降り始める富山のホーム・富山県総合運動公園陸上競技場。
奈良のパスサッカーを阻害するかのようであり、実際8分に高橋が敵陣でボール奪取。
そして中央でパスを受けた碓井がボールキープを経てミドルシュート(ブロック)と、ショートカウンターを浴びかける事に。

気を取り直して自身のサッカーに入る奈良。
先日取り上げた福島と同じ4-1-2-3のフォーメーションながら、守備時にインサイドハーフの國武が前に、中島が後ろに動く事で4-4-2へ可変するという最近のトレンドをなぞるチーム。
これにより富山とミラーマッチの状況となり、ハイプレスも良く嵌る事となります。

雪が止んだ10分台はほぼ奈良の独壇場という時間帯で、前線の守備により富山に攻撃をさせず。
攻撃では、得点源となり得る岡田優と下川のコンビネーションが冴える左サイドから押し込みを見せ。
特に前年まで松本に居た下川は、戦術が明確なクラブに移った影響か、サイド奥深くまで切り込むシーンを多々作るなどその印象を一変させられる事に。(以前はアーリークロスが多かったイメージ)

しかしその奈良のペースも20分台には途切れ。
立ち上がりは裏狙いが多かった富山も、最終ラインから組み立てる攻撃姿勢を取り始めます。
それと合わせるように再び雪が降ると、今度は遠目のカメラからでも肉眼で判る程の激しいものに。

奈良は次第にビルドアップが冴えなくなり、27分には生駒と対峙する吉平が、GKヴィトからのパスのトラップ際を読みきってボール奪取。
そしてショートカウンターに繋げ、高橋を経由しパスを受けた安光が右ポケットを突いてシュートし、戻った中島が何とかブロックと際どい一幕となります。

天候のように試合展開も混沌としてきた中、何とか得意手で落ち着けに掛かる奈良。
最後方から繋ぐ姿勢は、富山選手間を通すパスを積極的に送るそ事から判るようにブレは無く。
ポゼッションスタイルの宿命か、フィニッシュ数は中々膨らまないものの、相手の攻撃機会を減らすという裏の目的は達成されつつあり。
この日の両チームの前半の攻撃機会は28度。(自分の集計です)
今季取り上げた試合では開幕節・岐阜vs福島で40度、2節・琉球vs松本で42度なので、その少なさは際立っており。
試合をコントロールさせる力は、リーグ内でもかなり上位に居るであろう事が伺えます。

しかし前述の吉平の生駒からのボール奪取というシーンはその後も目立ち(前半だけで計3度)、一度間違えば個人能力の差に屈しかねない危険性も抱え。
システム的には、奈良が最終ラインでサイドを振りながら繋ぐなか、富山のサイドハーフが奈良のCBにプレッシャーにいくシーンが何度か生まれ。
そしてサイドに叩かれると、奈良のサイドバックに富山のSBが詰めにいかなければならない状況を強いられるので、この辺りが戦術面で相手を上回るカギとなっていたでしょうか。

試合の方は、35分に富山・末木が敵陣左サイドでのボール争いの最中、後ろから西田のチャージを受けて激しく痛む事態に。
ここで長らく倒れ込みながらも暫くプレーが続けられるという具合に、J3における審判団の試合運営能力の面が表れる絵図も生まれ。(もっと言えば、末木が自身で転倒の際に痛んだと勘違いした実況・牧内直哉氏も)

これにより富山は色を失ったか再度奈良ペースへと移り変わり、39分には右サイドでボールを確保したのち堀内がスルーパス。
これで裏を取った西田が大迫に倒されて反則(大迫に警告)となり、エリアから近めの右サイドからのフリーキックを得た奈良。
キッカー中島のクロスが流れた所を左奥で岡田優が拾うと、カットインの姿勢から再度クロスを送り、ニアサイドで生駒がヘディングシュート。
これが川上のブロックに阻まれるも、こぼれ球を強引に百田が右足を上げて合わせ、ゴール右隅に飛んだボールに跳び付くGK田川。
キャッチが間に合ったかに見えたものの、田川は掴みきれずにゴールへと転がるボール。
絵的にはスッキリしないながら、流れが生み出したかのような先制点が齎されました。

その後もボールを握りながら、あくまで攻め急ぐ事無くペースを保ちに掛かる奈良。
しかし45分、自陣での左スローインから素早く縦に運んだ末に、岡田優のクロスが上がり。
これをGK田川が抑えると、素早く左へとスローしてカウンターに入った富山、大迫ドリブルからスルーパス→碓井カットインで左ポケットを素早く突き。
そして戻しから坪川がミドルシュート(エリア内で鈴木ブロック)と、やはり攻め上がる際はシュートで終わりたいというシーンとなり。

結局0-1のまま前半が終了。
思うように攻撃出来ずに終わった感のある富山、ハーフタイムでベンチが動き。
佐々木→松本へと代え、ターゲットを明確としたうえで後半に臨みました。

迎えた後半、開始当初は雪は止んでいたものの、途中からまたも降り始め。
今度は画面ではかなり近くならないと識別できない程の細かな粒と、前半とは違った雪質でありました。

1点を追い掛けるべく反撃体制に入る富山。
松本狙いのロングボールや、左からの大迫のロングスローなど、パワープレイ紛いの攻撃で奈良にプレッシャーを与え。
その気象環境も加わる事で、与えるダメージは相当なものとなったでしょうか。

押し込まれる奈良。
後半8分の富山の攻撃は、右サイド(富山から見て)での攻防を経て拾った川上がドリブルで持ち上がったのが始まりとなり。
これはディフェンスに阻まれるも尚も繋ぐ富山、坪川のサイドチェンジを経て今度は左から前進。
上がってきてボールを持った大迫が奥を窺う姿勢を取ると、ここで奈良ディフェンスは彼に2人(生駒と西田)が付く事を強いられ、すかさず大迫の戻しを受けた吉平がフリーでクロス。
これはこぼれてCKに落ち着いたものの、ダメージの影響か対応でエラーを見せた事が失点の伏線となり。

富山ベンチはさらに勝負手を打ち、13分に坪川→松岡へ交代。
松岡が右SHに入る事で、高橋が空いたボランチに回りました。

そして15分の富山の攻め、一旦アタッキングサードを突くも最終ラインへと戻され、CBから右へと展開。
ワイドに出されたボールを最初にSHの松岡が受けにいった事で、マンマーク的には彼に付くべき奈良のSB・下川は、既に追い越していた安光の方に付くのか迷いを見せてしまった隙にワンタッチでのスルーパスを出される事に。
そしてフリーで走り込んだ安光が低いクロスを入れ、ニアに居た碓井の逆を突くボールとなるも、そのままファーに流れた所を吉平が拾ってシュート。
ゴールネットが揺れ、待望の「富山のキャプテン翼」のゴールで同点に追い付きます。

一見目立ち辛いものながら、ディフェンスのエラーによりリードを失った奈良。
その後追い風を生かすようなロングボール、主に下川の対角線を描くロングパスで押し込みに掛かり。
18分にそこから得たCKで、キッカー中島のニアへのクロスに生駒が合わせましたが、このヘディングシュートはゴール上へと外れ。
そのうえで本来の持ち味である地上でのビルドアップを敢行しに掛かりますが、崩しきる事は出来ず、フィニッシュは遠目からのシュートが中心に。

27分に双方選手交代し、富山は碓井→マテウス・レイリア。
奈良は中島・西田→神垣・嫁阪へと2枚替え。
その後再び左から、(主に岡田優が)アーリークロスともいえるロングパスを送る奈良の攻撃。
やはりこの環境下では、繋ぐスタイルを徹底させるのは至難の業といえたでしょうか。
29分にこれにより得たCKから再度フィニッシュ、クロスの跳ね返りを堀内がワンタッチでエリア内へ送り、嫁阪が左ポケットからシュートするもGK田川がキャッチ。

富山も31分にCKからの二次攻撃で決定機を迎え、左サイドをパスワークで進んだ末に末木が奥からマイナスのクロス。
ニアに走り込んだ安光はスルーを選択し、エリア外へ流れたボールを松岡がミドルシュート。
強烈にゴールを襲ったものの左ポストを直撃と、完璧な流れで放たれたこのフィニッシュも得点には至りません。

しかし時間が進んだ事で、奈良の耐久力自体も落ちて来たか。
32分には大迫のロングスローによる攻めに対応できず、ファーに流れたボールを松岡が拾ってシュート。(下川がブロック)
ビルドアップの面でもパスミスが目立つようになるなど、攻守ともに苦境に陥る事となります。
すかさず35分に百田→パトリック・グスタフソンに交代と、ベンチワークを交えて乗り切りを図り。

前線を交代させた事でプレッシャーも強まりを見せ、38分には敵陣で奪われたのちすかさずゲーゲンプレス、囲んだ末に奪い返した國武。
そして細かい繋ぎを経てグスタフソンが左ポケット奥へ切り込み、上げられた柔らかいクロスに嫁阪が跳び込んだものの、惜しくも合わず。
その後富山もマンパワーを活かして攻め上がり、攻撃機会が膨らむという、奈良にとっては最早ゲームコントロールどころでは無い展開となります。(同点なのである意味当然だが)
43分にまたも双方同時に選手交代、富山は高橋・吉平→河井・布施谷へと2枚替え。
奈良は岡田優→桑島へ交代し最終局面に。

オープンな展開になると地が出やすく、やはり富山の方が有利な展開に。
44分にロングパス→松本フリックという定番の流れから好機、布施谷が左奥を突いてからの戻しを経て大迫がクロス。
これを松本が収め、シュートは撃てずもレイリアが繋いだ末に末木がミドルシュート(枠外)と、力技を交えながらゴールに迫ります。
奈良も45分の攻めでCKを得て、堀内のミドルシュート(枠外)に辿り着いたもののこれが最後のフィニッシュとなり。

アディショナルタイム突入後も猛攻を仕掛けた富山ですが、これまで勝ちきれない試合が続いている自身の戦績に従うかのように、勝ち越し点は奪えず。
最後の攻撃でCKを得た奈良も、展開をひっくり返す劇的弾を生み出す事が出来ず。
結局1-1のまま、試合終了の笛が鳴り響きました。

環境的に難しい試合ながら、共に良い時間帯を作った末の引き分け。
お互い未勝利だけに勝ち点3が欲しかったと思われますが、これも天候とともに与えられた天からの試練と納得するべきでしょうか。

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