※前回の長崎の記事はこちら(39節・甲府戦、1-1)
※前回の仙台の記事はこちら(35節・水戸戦、0-1)
※前回対戦時の記事はこちら(7節、仙台 0-1 長崎)
<長崎スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 前節までの4-1-2-3から、再びドイスボランチ基調の4-2-3-1にシフト。
- 負傷離脱していたエジガルが復帰し、21節(大宮戦、2-0)以来のメンバー入り。(ベンチ)
- 39節で負傷交代した中村はやはり離脱(放送席の談)との事で、以降ベンチ外。
<仙台スタメン>
- 37節から4-4-2に布陣変更。(DAZN予想では中島トップ下の4-2-3-1だったので、間を取って4-4-1-1で表記)といっても攻撃時には、堀孝史監督のオリジナルフォーメーションである4-1-4-1気味に可変するシステム。
- 前節退場(警告2度)となったホヨンジュンが出場停止。
- 中山の負傷が発表され、9/6に発生して全治6週間との事。
前回の甲府戦との状況から一転し、その甲府によって窮地に追い込まれている長崎。
前節(徳島戦、1-2)の敗戦により甲府に入れ替わられてプレーオフ圏から転落してしまい。
そして今節、ACLとの関係で、金曜に先んじて試合開催となった甲府が勝利。
そのため暫定で勝ち点差は5となり、残り2戦全勝が最低条件となるに至りました。
何としても勝利しなければならないのは勿論の事。
出来れば前回時に述べたムードの面でも、最終節に向けて一気に底上げできる内容が欲しい。
そんな「あれもこれも欲しい」というような状況で、ホーム最終節ならびにトランスコスモススタジアムがホームでの最終試合を迎える事となりました。
その長崎の思いとは裏腹に、立ち上がりから攻撃権を確保したのは仙台。
前節(山口戦、1-1)で残留が決まったという状態で、重苦しい雰囲気が削ぎ落されたかのように、サイド奥を突く攻撃を連発していきます。
堀監督が好む4-1-4-1の布陣はやはり特異故に今のJリーグでは無理があるのか、可変式でそうなるに留まっている最近の仙台のシステム。
バランス調整が為された結果は、4戦無敗という近況の成績に表れており。
そんな仙台に対し、何が何でも勝利が欲しい長崎。
攻撃時にアンカー役となる長澤に対し、カイオが前に出てチェックしにいくという積極性を見せ始め。
これにより10分頃から、仙台の好循環はストップさせられるに至ります。
その10分には、鎌田が自陣でドリブルする所に、松澤のチャージを受けた結果スパイクが脱げてしまうアクシデントが発生し。(反則無し)
そして16分、長崎の自陣からの攻撃。
仙台は前からそのビルドアップを阻みにいきましたが、長崎の左サイドの前進に対し、前線の選手を余所に小出が前に出るのか構えるのか中途半端な位置取りに。
これが命取りとなり、米田がドリブルで運んで松澤に渡し、その松澤が斜めに切り裂くドリブルで中央のチャンスエリアへ進入を許します。
エリア内で人数を掛けてボールをこぼすも、それによりあろう事かフリーになっていたフアンマが拾う事態となり。
そして悠々とシュートを放ち、ゴール左へ突き刺したフアンマ。
相手の対応ミスを突き、欲しかった先制点を早期に奪いました。
気を取り直し、ボールポゼッションを高めて攻め直しに入る仙台。
19分の郷家のヘディングシュート(ゴール左へ外れる)を号砲として、リードによりやや消極的となった長崎の姿勢もあり攻撃機会を独占します。
その長崎は、その後長澤に対してはカイオは付かず、トップ下のジェズスがチェックする体勢に。
その対応に曖昧さが目立った事で、ボールタッチを増やしゲームを作っていく長澤を軸にリズムを掴む仙台。
23分には郷家がフィードをブロックして敵陣で攻撃開始、中央から前進してエリア内を突く好機に。
しかし氣田が切り返しで鍬先をかわすも、倒れた鍬先による上半身からのスライディングという表現のディフェンスに引っ掛かり倒されてしまいます。
決定機阻止に限りなく近かったものの、この表現し難い鍬先の動きに、主審も反則の笛を吹けなかったでしょうか。
多彩な攻めで押し込んだ仙台ですが、失点以降シュートは3本のみに留まり。
一方守勢を強いられてきた長崎は、34分に再び松澤のドリブル突破で久々の好機。
カットインで左ポケット奥を取り、マイナスのクロスを入れた先にはフリーのカイオが。
しかし合わせたシュートは右へと逸れてしまい、楽にする追加点は奪えず。
再度攻め込む仙台に対し、必死の凌ぎを見せる長崎。
41分に右奥を取った仙台の攻撃、小出のエリア内へのパスはズレてしまうも、長崎のクリアを菅田が直接エリア内へ縦パス。
これもカットされるも、反応した小出が再度ダイレクトでクロスと執拗に突き続け。
このクロスをブロックしたカイオが、小出と交錯して痛んでしまうという具合に、シュートこそ防ぐ長崎ですがそのダメージも目立っていきます。
45分にはポストプレイで身体を張ったフアンマが福森のチャージで痛むなど、不利な戦況を個々の頑張りでカバーするという展開に。
結局1-0のままスコアは動かず前半が終了。
リードは得た長崎ですが、かなり押し込まれたという状況を変えたいのは当然であり。
そのためポジションを弄り、ジェズスとカイオの位置を入れ替えて後半に臨みます。
前に出がちとなるカイオの守備対応を活かすべくか、ないしは前半終盤の痛んだシーンの影響か。
結果的には前者の意味合いが強かったでしょうか、後半から仙台のビルドアップに対し、プレッシングの圧を強める長崎。
GKに対しても果敢に詰めにいきますが、それをいなして無効化しに掛かる仙台が依然として優勢を保ち。
後半5分、GK林と長澤がパス交換を続けたのち、右へと展開してからの前進。
パスワークでプレッシャーを剥がした末に、エリア付近での郷家のカットインがカイオに倒されて反則。
これで右ハーフレーン・エリアからすぐ手前という好位置で直接フリーキックを得た仙台。
キッカー中島の直接シュートは壁に当たるも、尚も右コーナーキックで継続し(ショートコーナーを経て)中島からクロス。
手前でのジェズスのクリアがフリックとなり、ファーに流れた所を菅田がヘディングシュートしましたがゴール左へと外れ。
このセットプレーからの好機をモノに出来なかった仙台。
以降長崎が押し返し、こちらも地上からのビルドアップで前進を図る立ち回りに。
そして12分に右CKを得て、キッカー増山の中央へのクロスをジェズスが合わせヘディングシュート(ゴール右へ外れる)と、こちらもセットプレーからの一撃。
おまけにこちらには増山のロングスローも加わるので、この要素では長崎に分があるという感じに。
乱戦模様を象徴するかのように、14分に長崎の攻撃から、増山のエリア内へのパスがズレた事で仙台のカウンターに。
スルーパスを受けた鎌田がドリブルに入るも、敵陣に入った所で澤田のスライディングで止められ実りません。
すると直後には長崎がカウンターに持ち込み、カイオがパスカットからのドリブルで一気に右ポケットを突き。
シュート気味のクロスを2度続けたものの、ブロックとGK林のセーブでともに防がれこちらも実らず。
この読み辛い展開は歓迎かあるいは拒絶か。
仙台ベンチが先に動いたという事は、やはり避けたかったものだったでしょうか。
15分に鎌田・山田→加藤千・菅原へと2枚替え。
これにより中島がボランチに降り、郷家が中島の位置に回ります。
しかし試合が動いたのは、その変更が全貌を表す前でした。
交代直後、仙台の左スローインから再開すると、中島の斜めの縦パスを中央で受けたのは投入されて間もない加藤千。
切り返しを経てペナルティアークから放たれたシュートがゴール右に突き刺さり。
最初のワンプレーで見事過ぎる得点を挙げた加藤千により、同点に追い付いた仙台。
「追い付いた方が有利」という流れを固めたい仙台は、続く17分にゴールキックから短く繋いでビルドアップ。
前進→戻しの流れを経て左サイドから前進し、氣田が奥を突いてクロスに辿り着く(フィニッシュには繋がらず)という具合に、あくまでポゼッションによる攻めを貫く体制で勝ち越しを狙いにいき。
20分に敵陣まで運び、長澤が左→右へのサイドチェンジを前方スペースに送ると、小出は走り込まずに相手(米田)のクリアボールを拾う事で継続。
前半の連続攻撃のシーン然り、押し込まれる長崎は単純に跳ね返す事に執着していた感があり、小さなクリアを拾われてはその後も凌ぎを強いられる悪循環に。
そして右ポケットを突く姿勢から中央へ送られるチャンスとなったものの、郷家はシュートかパスか中途半端なキックにしてしまいゴール右へと逸れてモノに出来ず。
悩ましい展開になった長崎は、20分辺りからカイオとジェズスが再度位置を入れ替えるに至りカイオがボランチに。
そしてロングボール主体に舵を切った事で、敵陣でスローインを得ては増山が(長短交えて)投げ込むという流れで何度か好機を作ります。
26分に再度交代敢行する長崎。
澤田・松澤→岡野・高橋へと2枚替えし、彼らをSBで投入する事で増山・米田をSHに上げる策を採り。
同時にまたもカイオとジェズスが位置を入れ替えと、ポジションチェンジも極まれりといった格好に。
29分に仙台が好機を迎え、右サイドでの前進から郷家のクロスが流れるも、拾った氣田のカットインに繋がり。
そしてポケット奥からGKの眼前に迫り、マイナスのクロスを入れたもののディフェンスを掠めた事で流れてしまいます。
これを拾った長崎がカウンターを仕掛け、ジェズスの(フアンマのポストプレイを挟んでの)中央突破で一気にバイタルに持ち込みましたが、米田への浮き球パスは遮断されて繋がらず。
決定機になる一歩前という所で終了と、お互いもどかしい流れを描き。
しかし仙台の攻めの流れは、前回同様長澤の交代で途切れてしまい。(エヴェルトンと交代・同時に秋山→キムテヒョンへと交代、30分)
サッカーに欠かせないキープレイヤーが、スタミナ面で常時交代を強いられる辛さを味わう現在の仙台。
ここから長崎が攻め込み始めるも、「勝たなければならない」という思い故にそれは悲壮感に包まれたものとなり。
38分、鍬先ロングパス→岡野落としを経て右サイドでボールを持ったジェズス、溜めてクロスを上げたのち後方から走り込んだ鍬先が再度落とし。
中央のフアンマが足を振り、ディフェンスに遭いこぼれた所を岡野がシュートと波状攻撃を仕掛けますが、福森のブロックに阻まれ。
続く39分にはスルーパスを受けた米田が左奥からカットイン、中島と交錯してこぼれるも、後方から鍬先が走り込んでシュート。
しかしこれもエヴェルトンがブロックと、どうしても決められません。
そして41分、最後の交代カードを使う長崎。
復帰したてのエジガルの投入に踏みきります。(鍬先と交代・同時に増山→名倉へと交代)
これでフアンマ・エジガルを2トップとした純正4-4-2へとシフト。
劣勢の仙台、43分にGK林のロングフィードからの攻撃で、右からカットインでポケットを突く菅原。
白井に倒されこぼれる(反則無し)も尚も繋ぎ、エヴェルトンが中央からシュートするも櫛引がブロック。
終盤故に、仙台もポゼッションに拘る余裕は無くなり。
そして迎えたアディショナルタイム。
フアンマ狙いのロングボールの比重が高まる長崎でしたが、最後はドリブル突破で道を切り開きます。
名倉が反転で前を向き左ハーフレーンを突進し、米田のポストプレイを挟んでなお奥へ切り込み。
ディフェンスでこぼれた所を高橋がダイレクトでクロス、ファーに上がったボールをエジガルが折り返し。
完璧な流れで中央のフアンマに送られると、放たれたヘディングシュートがゴールバー下を叩いてゴール内へ。
落ちた跳ね返りをすかさずGK林が抑えるも、ラインを割ったとの判定でゴールが認められます。
微妙な雰囲気から一転しての歓喜が、苦労の末の勝ち越しに色を加える結果となりました。
残り時間は極少ながら、直後のキックオフでの仙台の攻撃。
ロングパス→菅田落としを左サイドで拾った菅原がカットインから前進し、ポケットを突いてシュート。
GK波多野がセーブしたのちボールを抑えるという具合に、最後まで気を抜く事は許されない長崎。
そして無事にやり過ごし、試合終了の時を迎え。
2-1で勝利に辿り着いた長崎、勝ち点2差を保って最終節に望みを繋ぎました。
欲しかったであろうムードを高める劇的な幕切れに、試合後のセレモニーも挟まれた事で、勢いを嫌でも付けなければならない展開に。
その最終節の相手は千葉で、一方の甲府は同じくPO圏を争う山形という直接対決。(ただし千葉は今節でPO圏が確定)
よって、勝利に加えて甲府vs山形が引き分けという厳しい条件が付加される事となり。(得失点差では現段階で勝っているのでそれだけでOK)
どんな結果が齎されるか、神のみぞ知るといった所でしょうか。