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TV観戦 天皇杯 JFA第102回全日本サッカー選手権大会 ベガルタ仙台vsHonda FC

2022-06-03 18:34:48 | サッカー視聴記(2022年その他)

<仙台スタメン> 4-4-2
GK 杉本
RSB 真瀬 CB 吉野 CB キムテファン LSB 石原
RSH 加藤 DH 梁勇基 DH フォギーニョ LSH 鎌田
FW 中山 FW 富樫
<Hondaスタメン> 3-4-2-1
GK 楠本
RCB 三浦 CCB 岸田 LCB 堀内
RWB 川浪 DH 草刈 DH 松本 LWB 八戸
IH 鈴木雄也 IH 富田湧也
FW 岡﨑

今年も始まった、恒例の「ジャイアントキリング」生成の時間……と思いきや、2回戦の日程は折りしもJ1の中断期間の最中。
そのため「全とっかえ」のターンオーバーは発生しにくいという、4年前と同様にJ1有利の日程となっています。(天皇杯の他、ルヴァンカップのプレーオフステージも間にありますが)
NHKサイドも、なるべくアマチュアクラブが勝利ないしは良い勝負をする可能性が高いカードを選択したのか、TV中継はHondaの試合が選ばれました。
J2の仙台が相手とあり、リーグの中断が無いためターンオーバーが激しい、という目論見もあったでしょう。
しかし仙台は「全とっかえ」は行わず、富樫・真瀬・フォギーニョを交えはしましたが、あくまでレギュラーを小出しにしつつの控えの上位メンバーといった構成で臨み。

井幡博康監督の退任(2020年オフ)が切欠となったのか、ここ2年でプロ経験の選手が皆無となったHondaのチーム編成。
前年のリーグ戦(JFL)は、Jリーグ参入を果たす事となるいわきの進軍を阻む事が出来ず、優勝を攫われてしまう結果となり。
今季もここまで6位と、4年連続優勝(2016~2019年)の栄光から隔世となりつつある状況で、この日の試合を迎えました。

試合が始まり、富樫・中山の2トップをターゲットにしての放り込みを選択するのが目立つ仙台を尻目に、伝統ともいえるボールポゼッションを主体とするサッカーを貫くHonda。
そのため、普段Jリーグ中継が中心の放送席(解説は早野宏史氏)からも賞賛の声が止まない程でしたが、良いサッカーをしている方が勝つとは限らないのがスポーツの世界であります。

ショートパスを繋ぐシーンが顕著のHondaですが、あくまで攻撃の中心はウイングバックといった感じであり。
立ち上がりは川浪・八戸の突破力に頼る場面も見られ、また彼らに裏抜けを指せるロングボールを送る事も。
サイドの攻防で優位性を作り、そこから量産されるコーナーキック。(先制点までに3本)

そして迎えた先制ゴールは13分でした。
左サイドで前進の体勢から右へと移り、右センターバックの三浦の上がりを絡めて川浪がクロスに辿り着き。
流れたボールを逆サイドで拾った八戸から再度クロスが上がると、ファーサイドでの川浪の折り返しに合わせたのは三浦。
流れの中でCBがフィニッシュを放つという分厚い攻撃に仙台はどうする事も出来ず、ゴールネットを揺らしたHondaがリードを奪う立ち上がりとなりました。

その後もボールを支配し、試合をコントロールしていくHonda。
根底の形はやはりミシャ式と呼ばれる、ボランチ1人が最終ラインに降りるものであり、監督交代後(現職はクラブOBの安部裕之氏)もそれは不変であるという事をアピールします。

一方、スコアでも内容でも後れを取る事となった仙台。
Hondaの変幻自在なパスワークに翻弄されないためか、プレッシングを控えめに中央を固める体勢で何とか凌ぎ。
アマチュアチームの組織力vsプロチームの個の力、という図式になり易いこの大会ですが、その個の力を発揮する時をじっくり待つという形でしょうか。
TVの放送席ではその劣勢を強いられる内容に批判の声が目立っていた事もあり、耐え忍ぶという表現がしっくり来る絵図となります。

それでもビハインドの展開なためか、自身がボールを持ってビルドアップするシーンが増えていく仙台。
そこから目立った好機も作れず時間を消化していってましたが、最初の変節は27分。
ボランチのフォギーニョが降り、最終ラインを3人にする形をこの日初めて見せると、サイドチェンジを挟みつつボールを運び。
中央で受けた加藤から右へと展開して真瀬のクロスに繋げると、ニアサイドで富樫がヘディングシュート。
ゴール左へ外れたものの、大外でサイドバックをフリーにする今季の仙台の得意な形で一矢を放ちました。

こうなると仙台の流れといった感じで、Hondaは追い打ちを掛けられるように、31分に反則を犯した鈴木雄が異議で警告を受けてしまい。
余計なカードを貰うという不穏な空気を作ったその直後の32分、左ワイドに開いた鎌田の落としから、再度中央で受けた加藤のスルーパスに富樫が走り込みエリア内左からクロス。
この低いボールに中山が跳び込んでヘディングシュートを放ち、ゴールに突き刺し。
ゲームの流れを見事に結果に繋げ、振り出しに戻した仙台。

尚も仙台ペースは続き、それでもパスワークを貫くHondaでしたが、好機を作れずに相手の攻撃を受けるという悪循環となり。
そして37分攻め上がろうとしたHondaに対し、中盤でフォギーニョがボール奪取して攻守交替。
加藤が右ハーフレーンをドリブルで持ち上がり、そのままミドルシュートが放たれると、豪快にゴールネットを揺らし。
個の力を見事に炸裂させた仙台、あっという間に逆転を果たしました。

リードを失ったばかりか、一気に追いかける立場となったHonda。
前半の終盤は左サイドアタックが中心で、再び八戸を中心として攻め上がるも、立ち上がりのようにはいかず。
結局同点とする事が出来ないまま前半を終了します。

ハーフタイムで選手交代を敢行するHonda、三浦→佐々木へと交代。
CBを一枚削るという采配で、その通りにフォーメーションも変更となります。
<後半のHonda> 4-2-3-1
GK 楠本
RSB 川浪 CB 岸田 CB 堀内 LSB 八戸
DH 草刈 DH 松本
RSH 佐々木 CH 鈴木雄 LSH 富田湧
FW 岡﨑
基本は左肩上がりといった感じで、八戸を軸とした攻撃は変わらず。

布陣変更で逆転を目指すHonda。
しかしオーソドックスな形に近くなった影響か、仙台サイドの対処が幾ばくか楽になった感があり。
思うように好機を量産できず、逆に仙台にゴールを脅かされるシーンが増えていきます。

後半8分にはミスから仙台・加藤がボールを拾い、左サイドへ展開ののち石原がエリア内左を突いて低いクロス。
中央で受けた中山のポストプレイを挟み、右ハーフレーン・エリア手前から真瀬がシュートを放つも枠外に。
ホッとしたのも束の間、その直後のHondaはバックパスがズレてしまい直接CKを与えるシーンも作り。
プレッシャーを感じての戦いを強いられていた感がありました。

何とかペースを作り直すHonda。
前半とは違い無闇にクロスを入れる形にはいかず、3人の2列目を活かしてエリア内へスルーパスを打ち込む攻撃を押し出し。
仙台も中央を固めて防ぎますが、それを受けて対となるようにクロスも交える等、再びHondaサイドがプレッシャーを与える展開に移行しつつありました。
13分左サイド奥を突いて草刈がクロスを上げ、クリアボールを拾って尚も攻撃を続けるHonda、松本の縦パスをエリア内左で受けた佐々木がシュート。(ゴール左へ外れる)
対する仙台も14分に再びフォギーニョのボール奪取から好機、中央から鎌田がミドルシュート。(ブロックに当たり左へ外れる、何故かゴールキックの判定)

次の1点が明確にゲームを左右するといった流れで、是が非でも得点したいのはビハインドのHonda。
15分には鈴木雄がエリア内右から、クロスを入れると見せかけて直接シュートを放つ(ゴール上へ外れる)など、ゴールへの意識の高まりを見せていき。
そして17分には決定機、左サイドのスローインから草刈がカットイン、岡﨑のポストプレイも絡めてゴールへ迫りシュート。
GK杉本がブロックするも、跳ね返りが草刈に当たってゴール前に転がりましたが、仙台・石原にクリアされて惜しくもゴールはなりませんでした。

この日の後半最もゴールに近付いた場面でしたが、これを逃してしまった影響は大きく。
以降も好機を作ったHondaでしたが、21分には松本が、25分には草刈がともにシュートにいくもジャストミート出来ず。
空回りするようなシーンを量産するなど、勢いは削がれていきます。
それでも押し込まれていた仙台、20分台に用意していた最初の交代は、中々試合が途切れずに26分までずれ込み。
中山と梁に代え、中島とレアンドロ・デサバトと、実力者の投入で層の厚さを見せます。(同時にHondaも富田湧→川畑へと交代)

この交代策で落ち着きを取り戻したい仙台でしたが、その直後の28分に自陣深めでフォギーニョがHonda・松本にボールを奪われてしまう危機を招き。(その後エリア内へのパスが繋がらず)
依然として攻め上がるHondaのプレッシャーに晒されるのは変わりませんが、中央を固める意識をさらに強めた結果、Hondaの攻撃は再びクロスへの傾倒を余儀なくされます。
それでも少なくなっていく残り時間、理屈よりもとにかく好機を作る事を優先し、ゴールを目指すHonda。
32分に川浪→冨永へと交代し、さらに仙台も33分に2枚替え。(富樫・加藤→皆川・氣田、鎌田が右サイドハーフへシフト)

レギュラーメンバーの投入もあり、以降奥深さを発揮していく仙台。
35分にはロングボールの跳ね返りを拾い、中島の浮き球パスを収めた皆川がシュート。(枠外)
38分には左サイドで長いボールポゼッションを経て、デサバトのエリア内へのミドルパスを鎌田がポストプレイ、皆川がダイレクトでシュート。
ブロックされたボールを拾った中島がさらにシュート(GK楠本キャッチ)と攻め立て、遅まきながらプロクラブの貫禄を見せます。

その仙台の槍を受けながらも、攻撃の手を緩める事は許されないHonda。
パスワークでエリア内脇を突いた末のマイナスのクロスを入れる攻撃で仙台を脅かしますが、それでも実る事は無く。
40分に最後の交代カードを切り(松本・八戸→清水・岩切)迎えた終盤戦。
川畑・岩切のポジションチェンジを頻発させる幻惑を交えながら、尚も攻勢を続けます。
CKも再び量産されていく流れとなりますが、肝心の得点は生まれる事無く、とうとうアディショナルタイムへ。

そして仙台は残されたカードを切り、フォギーニョ→若狭へと交代。
3バックへ移行ともとれる交代策ですが、これを境にHonda陣内で仙台がボールキープする流れとなったため、具体的な布陣は判らず。
無事に逃げ切りへのレールを作った仙台、2-1で勝利を果たしました。

結局この日の試合は全て上位カテゴリが勝利と、通称「ジャイアントキリング」は皆無という珍しい展開となり。
残されたのは8日に行われる3試合ですが、各プロクラブ波乱無しで締める事が出来るかどうかが焦点となるでしょう。

コメント
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