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DAZN観戦 2022年J1リーグ第2節 ヴィッセル神戸vsアビスパ福岡

2022-03-01 16:01:04 | サッカー視聴記(2022年J1)

<神戸スタメン> 4-3-1-2
GK 前川
RSB 山川 CB 槙野 CB 小林 LSB 酒井
RIH 山口 DH セルジ・サンペール LIH 佐々木
CH アンドレス・イニエスタ
FW 大迫 FW 武藤
<福岡スタメン> 4-4-2
GK 村上
RSB 前嶋 CB ドウグラス・グローリ CB 宮 LSB 志知
RSH 金森 DH 中村 DH 前 LSH ジョルディ・クルークス
FW ルキアン FW 山岸

「5年に一度」の呪縛から抜け出した福岡。
引き分けに終わった開幕節(磐田戦・1-1)から、ルヴァン杯1節をこなす間に、ACLのため9節を前倒して消化した神戸との対戦。

その神戸は前年から、攻守の切り替えの早さを重視し、ロングボールによる速攻狙いも厭わないというサッカーにシフトしており。
盛んに謳われていた「バルサ化」は頓挫したようでありますが、それが皮肉にも資本力を活かしたチーム強化をようやく成績に還元出来るクラブへと変貌を遂げる要因となったようです。

呪縛からの脱却を果たしたというチーム同士のぶつかり合い。
しかし過密日程となっている神戸サイドがコンディション的にキツさが窺える状況で、さらにツートップの大迫・武藤はフル稼働。
そんな状態で堅守の福岡を崩すのは厳しいといった中で、今季初スタメンのイニエスタにその期待がいつにも増して高まっている、といった試合前の寸評だったでしょうか。(個人の見解です)

神戸はボールポゼッションこそ高いものの、その殆どが後方でのキープであり、前方に勝負のパスを入れても福岡の強度の高さの前に中々繋がらず。
しかし前半7分、ロングパスを競り合った武藤が福岡・グローリに倒されると、腕を使ったという事で黄色い紙を突き出されたグローリ。
早期に守備の要が警告を受けるという制約を強いられる事となった福岡。

ならばと流れを掴めない神戸を尻目にカウンターを仕掛けんとし、10分に右サイドバック・前嶋がボールカットののち、前のスルーパスで抜け出してクロス。
ブロックされてコーナーキックを得たものの、あろう事かこのプレーで足を痛めてしまい、筋肉系トラブルという事で交代の憂き目にあってしまった前嶋。
早くもカードを切る羽目となり(湯澤が交代出場・同ポジション)、有利なはずの福岡が苦境に顔を滲ませるといった展開に。

これを機に神戸が押し込み。
15分には右CKから、キッカー・イニエスタのクロスがクリアされたボールを、サンペールがボレーシュートしたものの枠を捉えられず。
シュートシーンはこれ以外に作れずも、後方からの長いパスでの攻撃と、敵陣での短いパスによる攻撃シーンを交互に作っていきます。

イニエスタがトップ下に入る、ダイヤモンド型の4-4-2(4-3-1-2)という、最適解に辿り着いた前年の神戸。
既にトップ下は、2列目からの得点能力を期待されてのポジションという認識が強まっており、司令塔タイプが務めるのはJリーグでは殆ど見受けられないようになった現代。

その要因はプレッシングが色濃い守備意識で、流暢に敵陣でゲームメイクを行う余裕はそんな中では殆ど無いのが現代のサッカー。
現にこの日の神戸も、楔のパスを入れる役はむしろCBの槙野の方が目立っており、中盤から後ろの選手の役目になっているのが実情であり。
かといってキャリアも晩年で、強度の面で難があるイニエスタをボランチで起用というのは自殺行為に近く、やむを得ずといった感じの起用でしょうか。

かくして後方でのゲームメイクは槙野やサンペールが務め、イニエスタは敵陣でのボールキープとラストパス、といった役割分担が明白となっていたこの日。
27分、左サイドで佐々木のパスをダイレクトで裏へ浮き球を送ったイニエスタ、走り込んだ佐々木からマイナスのクロス。
ニアサイドで大迫が合わせにいきましたがシュートは撃てず。
勝負のパスを出す感は少しも衰えていない事を見せ付けたイニエスタ。
前半も終盤の43分には、敵陣でのパスワークから中央でキープするイニエスタ、これに対し福岡・中村がチャージしてしまい反則。
得た絶好の位置での直接フリーキック、イニエスタは直接狙いましたが、壁を直撃してしまいゴールならず。

その一方でロングボールの割合も多かったこの日の神戸、その供給先である2トップ(大迫・武藤)が、福岡ディフェンスの激しい当たりに苦しむ場面も目立ち。
それでも38分、クリアボールを収めた武藤がすかさずスルーパス、走り込んで受けた大迫がエリア内右へと進入してシュート。
2人だけで絶好機を作りましたが、シュートは惜しくもゴール左へと外れ。

そんな神戸の攻撃が目立つ中、福岡サイド(15分以降、サイドハーフの金森とクルークスがサイドを入れ替え)は隙を突いてのカウンターを狙いに行きましたが、効果は薄くフィニッシュには辿り着けず。
神戸のロングパス攻勢を見て、古巣である宮(ロングフィードに定評あり)に対し「彼が居る間にこのサッカーをしていれば、移籍する事は無かっただろうになあ……」という事を考えさせられたものの、試合とは無関係であり。
結局スコアレスのまま前半を折り返します。

前半は鳴りを潜めていたような福岡でしたが、後半が始まるとその攻撃陣が火を吹き始め。
後半2分、GK村上のロングフィードの跳ね返りを収めたルキアンから攻撃開始、右へと展開したのち湯澤のかなり手前からのクロスが上がると、中央でルキアンがヘディングシュート。
枠を捉えられずも、後半のファーストシュートに持っていった福岡。
すると5分に絶好機が訪れ、左からのスローインがクリアされたのち、拾って中央→右へと先程のように展開。
そしてクルークスのクロスが上がると、跳ね返りをファーサイドで金森がシュート、しかし神戸・山川がヘッドでブロック。
その跳ね返りを中村がエリア内へ落とし、ルキアンがさらにシュートしましたがこれも枠外に。
コンディション面で不安を抱える神戸に対し、反転攻勢が期待された立ち上がりとなります。

しかしその直後(6分)の神戸、GK前川のロングフィードから大迫がフリック、一旦奪われるも奪い返したのちにイニエスタがエリア内へと持ち込む展開に。
キープするもシュートは放てず、それでもこのイニエスタのプレーで勢い付かせる効果はあったようで。
9分敵陣でパスカットしたイニエスタ、サンペールとのパス交換からエリア内へとスルーパスを送り、走り込んで受けたのは佐々木。
決定機を迎えたものの、佐々木のシュートはGK村上の脚に当たってゴール右へと外れてしまいモノに出来ず。
尚も直後のCKからサンペールがシュート(ブロック)とフィニッシュを重ね。
フィニッシュ攻勢で勇気付く反面、出来ればチーム全体スタミナが切れる前に先制点を奪いたいという焦りの思考も窺えました。

17分に(福岡のアクシデント交代を除いて)最初のカードを切る神戸、佐々木→汰木へと交代。
20分にはイニエスタが中央をドリブルしたのち、自らミドルシュートを狙いましたがブロックに阻まれ。
ペースを掴みながらも得点に辿り着けない神戸、すると福岡サイドへ流れが傾くという、恐れていた事態が発生してしまいます。

22分ゴールキックを敵陣で山岸が落として攻撃開始、一旦はこぼれ球を神戸・サンペールが回収するもプレッシングでパスミスを誘発し、エリア内右からルキアンがクロス。
これを中央で山岸が捉えヘディングシュート、しかしGK前川が横っ飛びでキャッチ。
これで流れが変わり、福岡の落ちない強度の前に苦境に立たされる神戸。
25分には左サイドでキープする金森に対し、神戸・山川がスライディングで削ってしまい反則・警告。
これで得たFKから、キッカー・クルークスのクロスを中央でグローリが捉えてヘディングシュート、しかし惜しくもゴール左へと外れてしまいます。

溜まらず神戸は27分、サンペール→扇原へと交代。
開幕節で一発退場処分を受けた扇原ですが、この苦境を建て直すべく名誉挽回を期しての出場となり。

何とか福岡の攻撃を耐え忍ぶ神戸、31分にクロスをGK前川がキャッチしてからのロングフィードでカウンター。
これを大迫が入れ替わりで受けてドリブルに入り、エリア内左を突いてマイナスのクロスを出し、ニアに武藤が走り込み。
しかしクロスというには強さが足りないボールとなり、合わせる前にクリアされてしまい撃てず。
ここで決められていれば、カウンター一閃という非常にカッコいい形での勝ち越しでしたが……。

依然として攻勢を維持する福岡は、35分に2枚替え。
山岸と金森に代え、フアンマ・デルガドと田中を投入。
フアンマとルキアンのツインタワーといった布陣で、先制点を狙いにいきます。

圧を強める福岡に対し、37分にクルークスのドリブルを小林が後追いの形で倒してしまい反則・警告。
41分には中村をアフターで倒してしまったイニエスタが反則・警告を受けるという具合に、被害模様が膨らんできた神戸。
足が止まりつつあるのは明らかで、必死に守りを固めるのに対し福岡はどう決定機を得、そして決めきるかという展開に。

40分敵陣でこぼれ球を拾った中村から攻撃、左サイドで受けた田中がマイナスのカットインを経て、手前からクロス。
このゴールへと向かうボールに対しルキアンがヘッドで跳び込むという、二択を強いられたGK前川でしたが、スルーされたボールを冷静に押さえて防ぎます。
ほか前述のように神戸の反則が膨らむ中、セットプレーでクロスの雨あられを降らせるものの、シュートには結び付かず。
アディショナルタイム直前に、神戸も左サイド奥で酒井がクルークスに反則を受け、FKの好機。
しかしキッカー・イニエスタがクロスを入れるも、中でポジション取りで反則となり活かせず終わります。

そしてATへと突入(その最中に福岡はクルークス→田邊へと交代)し、やはり好機を掴んだのは福岡。
クリアボールをフアンマが落とし、拾ったルキアンとフアンマの2人で前進し、ディフェンスに入られるも繋いだのちエリア手前でルキアンが持ち。
そしてペナルティアークからシュートが放たれましたが、これもゴール左へと惜しくも外れて先制ならず。
結局0-0のまま、引き分けで幕を閉じる事となりました。

ボールが休まる場面は(セットプレーを除いて)神戸が最終ラインでパスを回しているシーンだけ、というぐらいに両チームプレッシングの激しさが印象深かった試合。
お互いペースを掴む事が難しく、激しいボールの入れ替わりを素早い攻めでモノにしなければ決定機は生まれず。
その強度の高さに、「自分達のサッカー」を流暢に貫く余裕は既にJ1には無いと思わされた、そんな内容となりました。

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