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DAZN観戦 2020年J2リーグ第2節 ザスパクサツ群馬vs水戸ホーリーホック

2020-07-01 12:42:03 | サッカー視聴記(2020年以前)

3年ぶりにJ2の地へと戻って来た群馬。
その3年前にJ3降格の憂き目に遭った際は、サポーターの阿鼻叫喚ぶりが伝わってくるような惨状で、正直これ程早く戻って来れるとは思いませんでした。
それでも1年での復帰が果たせなかった故、J3での戦いを繰り広げる間に舩津・岡田の2人を除く全ての選手が入れ替わるという選手編成(清水・高瀬は今季から復帰)と相成ってしまい、降格のダメージを痛感させられます。

ザスパ草津→ザスパクサツ群馬へのクラブ名変更が為されたのが2013年。
草津と名乗るにも拘わらず本拠地(正田醤油スタジアム群馬)が前橋市に存在するという歪な状態を緩和する、そんな意図が感じ取れます。
翌2014年には前橋市サッカー協会の理事長だった菅原宏氏が取締役に就任、名実ともに「群馬県のJリーグクラブ」へと歩む動きを見せました。

しかしここで奇妙な関係が生まれる事に。
菅原氏は同じ群馬県のクラブであるtonan前橋の取締役代表兼監督(監督業は2017年に元FC東京のアマラオに譲る)を務めている人物。
そしてtonanと群馬は、アマチュア時代から覇権を争ったライバルチームであり、その2クラブで重役を兼任するというここでも歪な状態を作ってしまいます。
(ちなみに前年の天皇杯予選で決勝で激突、群馬が3-1で勝利)

そんな関係が災いを招いた……かどうかは闇の中ですが、2016年から群馬→tonanへの選手移籍が盛んに行われ(若手に出場機会を与えるという名目)、群馬選手の不可解な退団も目立つなど、怪しげな編成が物議を醸し出す事態に。
そうして土台がグラグラになってしまった群馬は、2017年にJ2最下位で降格が決定。(決定したのはJ3最終節・栃木の2位が確定してからですが)
終盤には群馬サポーターが「SOS」の弾幕を掲げる有様で、救いはこうした惨状がメディアで取り沙汰された事もあり、菅原氏が引責辞任となった事でしょうか。

J2復帰を切欠にマイナスイメージは置き去りにしたい、そんな思惑からか初年度の今季は、クラブレジェンドとして名高い奥野僚佑氏を監督に招聘。
県リーグ~関東リーグ時代に選手兼監督であった奥野氏、JFL昇格と同時に退任した身でしたが、満を持しての復帰となりました。

オーソドックスな4-4-2の布陣で今季に臨む、奥野氏率いる群馬。
補強の目玉だった大前はこの日ベンチ外でしたが、中断中にレンタルで獲得した林がスタメンに名を連ね、陣容を揃えます。
そのビルドアップもオーソドックスなボックス型で、2センターバック(岡村と渡辺)ないしはボランチの内田のミドル・ロングパスを軸に、サイド攻撃を交えながらの攻撃を仕掛けていきます。

しかしこの日の相手の水戸は、同じく4-4-2の布陣であり、ミラーゲームの様相に。
序盤はまだしも、次第に相手のプレスの前に攻撃の形を作る事すら出来ず、守勢に回る事となります。
前半11分、群馬GK清水のロングフィードのセカンドボールを奥田が拾い、彼のパスを受けた右サイドハーフ・松崎(Jリーグ初出場)が中央をドリブル。
群馬守備陣を切り裂いたのち、エリア手前から果敢にシュートを放ちます。
これはGK清水がセーブしたものの、これが水戸の怒涛の攻撃の号砲となります。

22分には再び松崎、ボランチの山田からスルーパスを受け裏抜けしようとした所、群馬・高瀬に引っ掛けられて反則・フリーキックに。(高瀬に警告)
キッカー高瀬のクロスをGK清水がパンチングするも、跳ね返りをンドカ・ボニフェイスが拾い、そのままミドルシュート。(GK清水正面でキャッチ)
飲水タイムを挟んだ31分、右サイドで松崎の縦パスを奥田が開いて受け、右サイドバック・前嶋とパス交換ののちクロス。
これを中山仁斗がヘディングシュート、GK清水が弾いて何とかゴールポストに逃れます。

ミラーマッチとなったこの試合ですが、ビルドアップの面でも、両者ともにボックス型が基調。
しかし水戸の場合は、しばしばSHが降りてきてパスワークを助けていました。
右の松崎の勢いある攻撃が目立ちましたが、もう一方の左に控えるのはベテランの木村。
中央-左の中間地点にしばしば顔を出しボールを受け取っては、サイドバックの外山に高い位置を取らせ、中央・左どちらを使うかの択に持ち込む味のある動きを見せていました。

先制点が生まれたのは前半34分ですが、こうした攻めとは無関係のセットプレーから。
右コーナーキックを得た水戸、キッカー・外山がニアに低いクロスを入れると、奥田が合わせにいくも触らずボールはバウンドしてファーサイドへ。
これを中山仁が頭で合わせ、今度はGK清水の壁を破りリベンジ達成のゴールを挙げました。

リードを奪われた群馬、その後は反撃に出るもののシュートは41分・44分と放っただけに終わり、結局前半のシュート数は3本。
終了間際は水戸CB・細川の出血による数的有利だった事もあり、ペースは握っていたものの物足りない結果に終わりました。

開幕節・新潟戦は0-3の完敗であり、何とかJ2に足跡を付けたいという立場である昇格組の群馬。
そこに立ちはだかり力の差を見せ付けるという役回りになったこの日の水戸ですが、その指揮を執る人物が、かつて群馬にゆかりのある男だったのは皮肉としか言いようが無いでしょう。

その男とは、今季から水戸の監督に就任した秋葉忠宏氏。
選手時代は典型的な守備的MFという選手で、晩年に群馬でキャリアを重ね、指導者時代は2013~2014年に群馬の監督を務めたという因縁持ち。
その時の成績はパッとしなかった(20位・18位)ものの、その後アンダー日本代表でコーチを歴任。

そして現在に至るものの、今季の水戸は、オフに主力選手の大量流出を経た状況。
憚らずも前年7位のクラブが一から出直しを図るという苦境となっていますが、水戸のサッカーに新たな色を付けるのは新監督次第。
逆に言えば、非常に腕の振るい甲斐のある立場でもあるでしょう。

さて後半、立ち上がりこそ田中の左サイドでの仕掛けから攻勢に出られた群馬ですが、その後は再び水戸に主導権を握られます。
ボール支配しつつも時折速く鋭い攻撃を見せ、群馬に反撃の隙を与える事無く展開していくゲーム。

後半4分、GK松井のフィードを中盤で中山仁がヘディング、拾った奥田のパスを受けた松崎がドリブルで再び切り込み。
エリア内右を抉りシュートまで持ち込みますが、惜しくもサイドネット。
7分にはカウンターで再び松崎がドリブルし、彼のパスを受けた奥田がワンツーでエリア右脇へ。
この好機はシュートに繋がらずもCKを得、キッカー・安東のボールをンドカがヘディングシュート。(GK清水セーブ)

押されっぱなしの群馬、溜まらずベンチも先に動き、12分に高瀬→飯野に交代。
16分にはその飯野が左サイドをドリブルで、エリア内に入った後クロス気味にシュートを放つもブロックされモノに出来ず。
反撃の雰囲気漂うも、「一矢報いた」という域を出ませんでした。

19~20分の水戸の攻撃は遅攻で、木村→中山仁→奥田→松崎と渡って右サイド奥へ、一旦は松崎のクロスが跳ね返されるも拾い直してバックパス。
作り直して左サイドからの攻撃、安東の縦パスを受けた山田のクロスに、ファーサイドで中山仁がボレーシュート。(枠外)
長短織り交ぜた奥深い攻撃で、力の差を発揮する水戸サイド。

25分にはSH2人を揃って交代し、木村→森・松崎→山口へ。(山口が左、森が右)
するとその直後の26分、外山が左サイドで拾ってから細かなパスワークで前進。
群馬の守備もありパスがずれるも、浮き球を森がヘディングで前へ送ると、中山仁が収めて左の山口へ。
山口は中山仁へリターンを出すと、後ろ向きで受けた中山仁はすかさず反転シュートを放ち、右下の絶妙なコースを突いてゴール。

2点差を付けられた群馬は、29分に田中→進へと交代。
その直後にはCKから林がヘディングシュート(枠外)と、反撃の意思は伺えましたが、水戸の攻勢は止まず。

33分、左サイドで外山がドリブルで奥に進入してクロス、ファーで受けた森は切り返しの連続で群馬・進をかわしてシュート。
ここもGK清水がセーブし、その後の39分にも森のドリブルシュートを清水がセーブします。
劣勢な中でもファインセーブ連発と、「自分のやれる事をやる」精神を存分に発揮した清水。
しかしその直後のCKで、ンドカのヘディングシュートを決められついに力尽き3点目。

交代枠5枚をフルに使い試合を閉めにかかる水戸(35分に前嶋→乾、42分には中山仁→アレフ・ピットブル、外山→住吉ジェラニレショーンに交代)に対し、流石に群馬も終了間際には意地で攻め込みます。
43分、左サイドのスローインからの攻撃。
スローインを受けた宮坂がエリア内へ送り、岡田(加藤と交代で出場)ポストプレイ→進シュートと、流れる攻撃で水戸ゴールを揺らす事に成功。
今度は本当に一矢報い、何とか今後における希望を繋ぎました。

最後は水戸を押し込み、何度もエリア内へボールを送るもシュートに結び付かなかった群馬。
結局1-3で、今季初勝利を掴んだのは水戸の方でした。

今季の降格無しというレギュレーションは、当然下位が予想されるクラブにとっては助け舟となるでしょうが、今季を戦うモチベーションの喪失という事にも繋がってしまう可能性もあります。
果たして戻って来たJ2の舞台で群馬は何を残すことが出来るか、3年前とは違うという雰囲気を醸し出す事が出来るか。
その戦いはまだ始まったばかりですが、今季終了までに何とか答えを探し出したい所でしょう。


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